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2015年3月 4日 (水)

投手と捕手、他ポジションより負担大 少年野球全国調査

全日本野球協会は3月4日、小学生を中心に硬式、軟式でプレーする選手1万人余りを対象に昨夏から実施した全国規模のアンケートの結果を発表し、投手と捕手が肘、腰など体に何らかの痛みを感じた割合は、それ以外のポジションよりも高いことを裏付ける数字が示された。
調査は障害予防対策の資料として活用するのが目的。けがの状況や練習頻度など質問項目は多岐にわたる。同協会の田和一浩評議員が「これだけの規模は世界初じゃないか」と話す大掛かりな調査で、来年も今回対象となった選手に継続して実施するという。(共同:3月4日)


小学生の運動とケガについて考える。


調査対象を調査結果から引用する。下に示す。

■ 調査協力団体と対象チーム・選手数
            協力団体              種別   チーム数   選手数
  公益財団法人 全日本軟式野球連盟(学童)     軟式    12,663    253,260
  公益財団法人 日本リトルーグ野球協会       硬式     725      18,000
  公益財団法人 日本少年野球連盟          硬式     141      2,113
  公益財団法人 日本ポニーベスボル協会      硬式       5        57
  一般社団法人 全日本少年硬式連盟         硬式      19       195
  フレッシュリーグ九州硬式少年野球         硬式      20       333
  -------------------------------------------------------------------
         合計                           13,573    273,958

※ 公益財団法人 全日本軟式野球連盟(学童)の選手数は1チーム20人、公益財団法人日本リトルーグ野球協会の選手数は1チーム25人と仮定し、調査の対象者数とした。

対象となる推定25万人の選手から、アンケート回収総数は539チームの 10,228人であった。このうち小学生が10,084人で、リトルリーグ所属の中学生74名あった。アンケートで、これまでに痛みを感じたとがあると回答した選手数は、5,880人(57.5%) であった。加えて、痛みがあって通院、 治療を受けいる選手は648人(11.0%)で、整形外科への通院は 285人 ( 4.8 %) であった。
表現に気になるところがあったので確認をした。アンケートの文章を確認することは出来なかったが、発表した文章で「これまでに痛みを感じた」と経験を問うているのは事実で、一方、「治療を受けいる」と現在の状態を確認するという流れになっている。回答者の過半数が現在治療中では野球が出来そうにないので、過去に経験があったという理解は正しいだろう。ということは、痛みが現在もあるというのがその一割ということになる。ここで唐突に整形外科が出てくるのは、整形外科学会が調査に関係しているからである。
少年野球の選手の半分がケガしていて、その内一割が治療中というのは、結構野戦病院化していると感じる。アンケートの回答者には527人の指導者があるとのことである。ブログで扱う記事では、アクセス可能な範囲に限定されるものの情報ソースで確認することにしている。しかし、この記事の調査では、協会の発表資料よりマスコミの発表資料の方が、情報量が多いことが発生している。しかも、記事に扱っている会社によって差がある。これで困るのが、数字が正しいのかどうか判断できなくなることである。527人の指導者が回答していて、小学生と中学生とを合算すると総回答数より多くなる。いかなる解釈をすべきなのか分からないが、問い合わせするほどのことでもないようにも思う。
ついでに書くと、その会社では回答率はほぼ100%とあった。つまり、1万3千団体ある中から、指導者500人分の団体を選択したということである。抜き取り調査が全体の傾向を示す重要な事項として、抜き取り方法の任意性がある。そこで偏りがあれば結果にも影響する。全体の傾向を反映させるなら全日本軟式野球連盟から93%選ばれなければならない。日本リトルーグ野球協会なら5%である。チーム数の少ない三団体は対象から外れてしまう。これだと全日本軟式野球連盟の調査結果と等しくなってしまうから、統計的な工夫が必要になるのだろう。

統計的な正しさが怪しいと感じられるので、これ以上の議論は仮定の上に仮定を加えるような話になってしまう。整形外科学会が関わっているから、整形外科に通院し易いかについて考える。
厚生労働省の医療施設数調査結果がある。医療施設数の推移から確認する。

■ 医療施設数推移 (厚生労働省)
 調査年    2013     2012   2011   2010    2009     2008    2007   2006    2005    2004    2003
総数      177,769   177,191 176,308  176,878  176,471  175,656  176,192  174,944  173,200  172,685  171,000
病院       8,540    8,565   8,605   8,670    8,739   8,794    8,862   8,943    9,026   9,077   9,122
一般診療所 100,528   100,152  99,547   99,824   99,635   99,083    99,532   98,609   97,442   97,051   96,050


上の数字のもとのデータには、歯科診療所が含まれていたが割愛した。病院と一般診療所の区分は、病床が20床未満であれば一般診療所、20床以上であれば病院となってる。病院は減少傾向で、一般診療所は増加傾向なのが分かる。自治体が関係している病院の整理統合の影響が出ていると考えられる。
同じ資料から、病院限定ではあるが、診療科目別施設数の推移をまとめたのが下である。

■ 一般病院の診療科目別施設数の推移 (厚生労働省)
 年    2013    2012   ,2011   ,2010   2009   2008   2007  2006   2005    2006   2005
総数    7,474   7,493   7,528   7,587   7,655   7,714  7,785  7,870   7,952   7,999   8,047
-------------------------------------------------------------------------------------------------
内科    6,879   6,897   6,928   6,972   7,034   7,089  7,186  7,256   7,310   7,314   7,344
外科    4,745   4,786   4,825   4,883   4,931   4,978  5,113  5,191   5,268   5,334   5,376
整形外科 4,956   4,975   4,980   4,999   5,041   5,085  5,124  5,173   5,205   5,230   5,233
-------------------------------------------------------------------------------------------------
小児科   2,680   2,702   2,745   2,808   2,853   2,905  3,015  3,075   3,154   3,231   3,284
産婦人科 1,203   1,218   1,239   1,252   1,294   1,319  1,344  1,383   1,423   1,469   1,524
産科     172    169    156    180    180    177   195   193    193     197    191

内科と比べると整形外科が三割くらい少ないという水準である。外科の数とそれほど差はない。減っていることが社会問題として取り上げられる、小児科や産婦人科の十年で二割減と比べれば、5%減であるから減少の度合いは、内科と同じか少し減少が少ないというところである。病院で見れば施設数が極端に少ないということはないようだ。しかし、病院の整形外科ということは、多くは規模の大きな病院であり、小学生がスポーツで生じたケガで通院するのに最適とは言えない。大きなケガでなければ通院するのは一般診療所になるだろう。しかし、医師免許は麻酔医を除いて共通の免許であり、診療所の看板にどの診療科目を掲げるかは任意に選択出来る。この事情があって診療科目を統計的にまとめたデータがないものと思われる。仕方がないので、内科学会と整形外科学会の専門医名簿人数で比較することにする。全国を集計するのは大変なので、東京都でのみ比較してみた。結果を下に示す。

■ 東京都の専門医名簿人数比較
  総合内科専門医名簿人数 (内科学会)      3,247人
  整形外科専門医名簿人数 (整形外科学会)   2,023人

ここの人数でも七掛けという水準になっている。整形外科の医師がいないから通院しないという説明は難しそうだということである。

調査では肘などの部位に痛みが生じることを、投球数制限によって対策しようとする意図が感じられる。公表の資料にはどこにもそのような話は出てこないが、何かあるのだろうと思う。公表すればよかろうにと思うが、もしかすると勝つことを重視する団体の特性に注目されるのを嫌った可能性もある。穿った見方と言われそうだが、公表しないで結論に導くということは、何を言われるのも受け入れるということである。嫌なら結論など出さなければよいだけの話である。
ウォーミングアップやクールダウンが適切に実施されているというコメントもあるが、ケガが多く発生しているのなら不十分とする結論の方が馴染むだろう。ケガ予防の為の対策も同時に検討するのが筋が良いと思うが、如何だろうか。


結論ありきの調査は、調査に値しない。

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