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2015年2月16日 (月)

曽野綾子氏「居住は人種別に」 産経コラム、南ア大使が抗議

産経新聞社は2月14日、同紙の11日付朝刊に掲載された作家、曽野綾子氏のコラムについて、南アフリカのモハウ・ペコ駐日大使らから抗議を受けたことを明らかにした。アパルトヘイト(人種隔離)政策を容認する内容だとして、インターネット上で批判を浴び、海外メディアも報じていた。
コラムは「労働力不足と移民」と題して、介護分野での外国人労働者の受け入れの必要性を指摘。「居住区だけは、白人、アジア人、黒人というふうに分けて住む方がいい」と書き、人種差別の廃止後の南アで、生活習慣の違いから白人と黒人が分かれて住んだ例を紹介した。産経新聞社広報部によると、大使からの抗議文は「アパルトヘイトを許容し、美化した。行き過ぎた、恥ずべき提案」との内容だった。NPO法人「アフリカ日本協議会」(東京)も産経新聞社と曽野氏に抗議したという。コラムをめぐっては、掲載後からツイッターで「アパルトヘイト擁護だ」などと問題視する声が広がり、ロイター通信など海外メディアが「首相の元アドバイザーがアパルトヘイトを称賛」といった見出しで報じた。
産経新聞は「当該記事は曽野綾子氏の常設コラムで、曽野氏ご本人の意見として掲載しました。産経新聞は、一貫してアパルトヘイトはもとより、人種差別などあらゆる差別は許されるものではないとの考えです」との小林毅・東京編集局長のコメントを出した。(朝日新聞:2月15日)


曽野綾子のコラムの論理展開を確認する。

  ・ 日本では若い世代の人口比率が低下する。
  ・ 労働力の補充の為に労働移民を受け入れなければならない。
  ・ 特に高齢者介護について必要になる。
  ・ 介護に資格や語学のバリアを除かなければならない。
  ・ これは孫が祖母の面倒を見るのに、衛生上の専門知識は要らず優しければそれで良い。
  ・ 移民の法的資格は厳重に守る制度にしなければならない。
  ・ 移民と居住を共にするのは問題が発生して難しい。
  ・ 南アフリカでは白人だけが住むマンションに黒人が住んで、白人は出て行くことになった。
  ・ 「人間は事業も研究も運動も何もかも一緒にやれる、しかし移住だけは別にした方がいい。


という話である。アパルトヘイトに関する話の前に気になることを記す。

介護の仕事を孫が祖母の面倒を見ることになぞらえている。家族相手に介護をするという行為の延長線上に、対価を得る業務として介護することを置いて良いのだろうか。これを是とするのなら、現在実施されている介護業務の一定領域については特別な資格は不要というこbとになる。資格なしで問題があるから資格制度が出来たのだと考える。介護福祉士の資格制度は1987年である。この仕事は賃金が安く業務内容の苛酷さから、離職率が高いことが知られている。厚生労働省の発表によると、2010年の施設等の介護職員17.7% (常勤職員:16.7%、非常勤職員21.3%) と、全労働者離職率が5%程度であることと比較すると高い。孫が祖父母の面倒を見るという形式に持ち込もうとしても、労働対価が低いや肉体的な負担が大きいことで労働として経済的に閉じない状況になってしまっている。そもそも、孫と祖父母の関係と、経済原理とは等しくないのだからそこに無理がある。
曽野の主張には、簡単な業務において必要以上の規制を取り外せば、安い賃金の海外の労働力が確保できるという前提がある。福祉関係が低賃金にあるのは、この簡単な作業だから安くて良いという論理があるからだろう。しかし、実態は肉体的、あるいは精神的な負担が大きいから賃金が見合わないとなり、結果として離職率が高くなってしまっている。つまり、福祉関係の業務は、簡単で安い仕事ではない。この状況の理解がなされていないというのが一つ目の疑問である。

日本に途上国から働きに来るとする。フィリピンからと仮定しよう。フィリピンの最低賃金が日給436ペソ(約1千円)である。日本での介護福祉士の日給が1万円とする。曽野の論理からすれば、介護福祉士の資格より簡単な仕事を業務範囲にするから3千円としたとしよう。月6万円で、日本での食費や住宅費用などに4万円使ったとすると、仕送り可能な金額は2万円である。これはフィリピンでの最低賃金の月収と同じくらいになる。
対ドルの為替レートは80円から120円に大きく変化した。これが160円や200円まで動く可能性はある。GDPに占める輸出割合が小さい国で少子化が進行すれば、GDPが低下することは避けられない。結果として、その国の通貨は安くなるものである。そうすると、仕送り額の2万円は為替レートの変化によって1万円に下がるかもしれない。それでも日本に出稼ぎするか。日本の地位が周辺地域より高く、それが未来においても続くという発想が理解できない。そうあって欲しいと願うことと、検討の前提にすることとは違た話である。これが二つ目の疑問である。

この先はアパルトヘイトに関する話を書くところだが止めにする。曽野はときどき物議を醸す発言をする。思想の基本に保守的な色合いが濃くあると感じるが、整合性の取れない部分もある。何でも会社のせいにする甘ったれた女子というのは、会社を社会に、女子を曽野綾子に置き換えたら、多分まったく意味の違うことになるから間違いだろう。乱暴な発言にどんな意図があるのかを知りたい気もするが、案外、そんなことはひとかけらもなくて空っぽであったりするものかもしれない。空っぽというのは、色即是空、空即是色の空のことといったら叱られないかと思ったが、クリスチャン相手に色即是空でもない。

記事のコラムの原本を読んで、随分昔に似たものを読んだ気がしていた。その時と共通する不快感だと感じて、少し考えたら思い出した。それは記事の外国人を同和問題のある地域に置き換えたものだった。いろいろ違いはあるが、行政の仕事として、離しておけば平和だという発想が、実際にはすぐに行き詰った。これと同じ臭いを感じた。
問題になるであろうことは容易に想像が付く話だと思うのだが、知ってやっていることかもしれないし、まったく気が付かない鈍感さを持ち合わせているのかもしれない。不思議な人であるし、なんとも内容の乏しいコラムである。


アパルトヘイトならこの程度だが、同和問題だったらどのくらいになったか。

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