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2015年2月 3日 (火)

ソニー、長崎などで設備投資1千億円 スマホ向け半導体

ソニーは2月2日、スマートフォンのカメラなどに使われる画像センサーの生産能力を増やすため、長崎県や熊本県などの工場に計1050億円を投資すると発表した。生産能力を現在の月産6万枚(300ミリウェハー換算)から3割増強し、来年6月末に月産8万枚に増やす。
CMOSイメージセンサーと呼ばれる半導体を増産する。レンズから入る光を電気信号に変える「目」の役割を果たし、カメラの性能を左右する半導体で、中国をはじめ、世界的に需要が拡大している。ソニーは昨年7月にも、長崎県と熊本県の2工場に計350億円を投じて生産能力を1割増強すると発表している。旺盛な需要を踏まえ、さらなる増産投資に踏み切る。ソニーはテレビ事業が10年連続で赤字になるなど、主力の電機事業は苦戦しているが、イメージセンサーは好調。自社のスマホ向けに加えて外販もしており、世界シェアは39.5%(14年、金額ベース)でトップ。国際競争力の高い分野に投資を集中させる。(朝日新聞:2月3日)


ソニーについて考える。


高画質デジタルカメラやハイエンドスマートフォン市場向けのイメージセンサー市場において、ソニーは高いシェアを持っている。ソニーの説明によれば、スマートフォン向けセンサーのシェアは40%程度であるという。性能面でも優れていて、スマートフォンのカメラ機能は、ソニーのイメージセンサーを付ければおおよそ完成というのはフィクションでもないようだ。他にも重要な要素はあるのだろうが、販売価格数万円で高性能を手に入れる背景には、高度な部品を簡単に組み入れるという環境があるからと理解するのは正しいことだろう。
このイメージセンサーの売上高を2017年に1.3兆円から1.5兆円にしたいというのがソニーの経営目標である。現状の2倍にするということだから強気な数字である。シェアも50%程度まで上げる計画であるという。ソニーの事業は威勢の悪いものが多い中で、異彩を放っている事業である。
投資額の内訳は、子会社ソニーセミコンダクタの長崎テクノロジーセンター(長崎県諫早市)に780億円、熊本テクノロジーセンター(熊本県菊陽町)に170億円、山形テクノロジーセンター(山形県鶴岡市)に100億円と発表されている。資金は、半導体チップを重ね合わせる設備などを増強することに用いられる。この積極的な投資の一方で、ゲーム向けなどのシステムLSIをつくる大分テクノロジーセンター(大分県国東市)は来年3月末で閉鎖する。約220人の従業員は、イメージセンサーなど他の半導体工場への異動を予定している。

これ程の投資を行い、差別化されている製品を有しているのに、この製品を用いたアプリケーションである事業は芳しくない。カメラ事業はブランドイメージが弱いというところもあるが、そもそもカメラ市場でそこそこの知名度のあるミノルタの事業を譲り受けたものである。事業を買った目的に、保守的なカメラ市場でオートフォーカス一眼レフで高いブランドイメージのあるαブランドを取り込み、家電イメージのソニーの市場での地位を向上させることであった筈である。事業譲渡は、時間を買う行為であるのだから、短期間に成果を上げなければ意味がなくなる。その意味では、既に言い訳にはならない時期になってしまっている。
振り返ってみる。2006年に譲渡される前のコニカミノルタのカメラ事業の売り上げ規模は1,100億円を超えていた。(営業利益は赤字。2006年3月期は750億円の見通しだった) コニカミノルタと提携して、デジタル化の進行に上手く乗って市場を獲得するというのがソニーの当初の思惑であったと思われる。その話が始まってからそう時間が経たないところでコニカミノルタが撤退を決めた。保守的なカメラ製品をコニカミノルタが担い、ソニーがその資源を活かした新しい提案をするというアイデアは当初から無効になってしまった。譲渡額は公表されていないようだが、タダで貰っても上手くいかないのなら仕方がない。HDD市場でのM&Aの成功・失敗を考えたときに感じたが、金額の大小が成功の要因ではなく、買って良い案件と買ってはならない案件があるということである。つまり、ソニーの判断は誤っていたのだろう。ソニーが大企業であって、当該事業の規模が小さくて公開されている情報が乏しいことを考えれば、成否の判定をするのは難しい。それでも上手くいかない状況ではある。まあ、上手くいかないのが事業なのであるが。
もう一つのアプリケーション事業にスマートフォン事業がある。カメラ性能だけが商品の魅力を決定する訳では無いにしても、商品性を上げる効果は十分あるだろう。しかし、人気のある商品とはなっていない。数万円の製品が三年程度で置き換わると仮定すると、利益が出るか否かは台数の方が支配的な要素になりそうだ。十万円で売れるなら利益は出しやすくはなるだろうが台数は出ない。現状の半値にして四倍売れるというのがビジネスの本筋のようだが、薄利多売型の商売をこの国でするのはビジネスエリート達に評価されないことは確実である。高い価格で沢山売る方法を考えるのを今世紀のビジネスというようだ。市場に価値を打ち立てるというなら、適切な価格で一定量売るというのが本線であることは揺るがない。高く沢山売って儲けるというのは、短期的に資金回収を計る手法であり、顧客のことを思うというかつての日本の商習慣とは離れたものである。しかし、儲からないというのは、商売において罪悪であるから許されない。これはいつの時代も同じである。

ソニーは所帯が大きいので、事業の整理をするといっても容易でないだろうが、銀行や保険がソニーの中心であることの違和感というのは多くの人が感じるところだろう。真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由豁達にして愉快なる理想工場の建設、というのは、現在でも生きているのだろうか。


自由の象徴のような会社が官僚的であるのはままある話ではある。

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