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2015年2月13日 (金)

少年犯罪の再犯率について

先日の実名報道に関連して、少年犯罪の再犯率についてまとめたので加えることにする。


未成年者の犯罪件数を確認する。犯罪白書の未成年者の刑法犯を抜粋した。結果を下に示す。

■ 一般刑法犯の検察庁罪名別・年齢層別既済人員 (2010年)
                 20歳未満計    14・15歳    16・17歳     18・19歳
  総数              98,929      37,270      37,591     24,068
  -----------------------------------------------------------------
  一般刑法犯         95,963      36,908      36,702     22,353
  -----------------------------------------------------------------
  殺人                36         8        8         20
  強盗               539         70       191       278
  傷害              5,873       2,560      1,922      1,391
  暴行              1,295        528       389       378
  脅迫               129         53         37        39
  窃盗             57,846       23,580      23,076     11,190
  詐欺              1,114        157       357       600
  恐喝              1,606        540       643       423
  横領             18,066       5,814      6,518      5,734
  盗品譲受け等        1,633        671       689       273
  強姦               137        15         39        83
  強制わいせつ         408        129       126       153
  放火                67         26        18        23
  その他刑法犯        7,214       2,757      2,689      1,768
  -----------------------------------------------------------------
  道交違反以外特別法犯  2,966        362       889      1,715

道交違反以外特別法犯 (ただしくは、道交違反を除く特別法犯) というのは、特別法犯というのが、刑法犯以外の犯罪を指し、道路交通法違反、覚せい剤取締法違反、売春防止法違反などがが該当する。件数の多い道路交通法違反を別の統計に分けて、刑法犯と並べて表記している。
刑法41条で、十四歳に満たない者の行為は、罰しない、とあるので、未成年者というのは、14歳から19歳までとなる。2歳刻みで比較すると、年齢が上がって減る傾向にあるのは傷害、暴行、窃盗で、逆に増えるのは、強盗、詐欺、強姦、特別法犯というように見える。殺人は増える傾向と読んでも良い。警察庁の定義する凶悪犯罪は、殺人、強盗、放火、強姦の四つである。放火を除いて年齢と共に上昇している。
再非行少年検挙人員と再非行少年率を犯罪別に示したのが下である。

■ 再非行少年率 (2010年)
                再非行少年検挙人員  再非行少年率(%)
  一般刑法犯           27,050         31.5
  殺人                  14         32.6
  強盗                  350         61.9
  傷害・暴行             3,095          50.1
  窃盗                52,435          30.8
  詐欺                 344          39.1
  恐喝                 834          60.8
  強姦・強制わいせつ        164          38.3

再非行少年率は三割を超えている。約七割は初犯ということも解釈可能だが、14歳から19歳と5年間しかなく、最初に犯罪で検挙されてから処分決定と、その後の様々な更生活動が予定されていることを考えると、再犯率が高いと考える方が妥当なようだ。重罪な犯罪で処罰されれば、長い更生期間が設定されそうな気がする。一般論としてはその通りなのだが、実際にどうなっているかを確認してみる。
殺人事件の少年事案についての刑事処分(第一審)をまとめた。期間は、2005年6月7日から2010年1月25日までのデータである。

■ 殺人事件少年事案に関する第一審判決 (2005年6月7日から2010年1月25日)
    死刑                  0
    無期懲役              12
    懲役20~30年            1
    懲役10~20年           12
    懲役8~10年             2
    懲役8年未満             2
    不定期刑              14
    懲役3年以下・執行猶予付き   1


殺人事件に関係しても多くの少年が不定期刑になっている。それと同じくらいの人数が無期懲役になっていることからすると、複数名が共謀して殺人を行った場合に、主たる役割を担った少年が無期懲役、それに従った少年が不定期刑という解釈が成立する。調べようという気持ちはあったが、個別の判決文と格闘しても得られるものの乏しさが容易に想像されるから止めにした。得られない理由は、闘い方を知らないということに尽きるのではあるが。
再非行で凶悪犯罪に関係するのは、前の犯罪は相対的に軽いものであったのだろう。前が凶悪犯罪であれば、いくら軽くても次は少年犯罪でとはなくなる。もし、少年の内に社会復帰しているのなら、相応の受け入れ環境が整っていることが条件になるから、結果として再非行の可能性は低くなる。しかし、この環境に恵まれないのが非行に関係する少年の特徴のようである。
短い期間であっても少年院に入院していたとなれば、社会生活に大きな制限を加えることになる。刑務所に服役するよりは良いということもあるだろうが、これらの更生施設が正しく運営されたとしても、社会の側に受け入れてくれる場所がない者が再び非行に走る事情は理解できる。肯定するつもりはさらさらないのだが、社会からはじき出された少年が、非行に走り易いという事実は動かないし、社会からの疎外感を強く覚える少年は更生施設から出た途端に非行予備軍のリストに名を連ねることになる。厳罰化を求める世の中の流れは、結果として非行に落ちる少年を、幾度かの非行と成人になっての犯罪により、長期の懲役か死刑で世の中から隔離しようということにしかならないだろう。厳罰化が犯罪の抑止力になると信じる人は、平和な生活を送っている証と見て良い。

以前、尊属殺人の復活を望んでいる弁護士資格を有する与党政治家を批判した。改正前の刑法で、尊属殺人は無期懲役または死刑である。これを違憲とした事件を読んだことがない法律家もいないだろうが、常軌を逸した事件より家族制度の維持こそが重要と考えるようだ。最近幾つも報道された子供を殺す親の事件 (これは尊属殺人に該当しない) がある。これらが重い罪になることだけで防げるとは思えない。上の政治家の意見を聞いてみたいものだと思う。
少年が犯罪に関わることを防止するのは難しい問題である。少年法が匿名にしているからのさばるという意見もあるが、非行少年の形式的な主張に過ぎず、知って欲しくない人には匿名は維持されない。知られても良い人に名前が曝されても、苗字が変われば分からなくなる。そもそも成人においても、氏名を公表する必要性がどれ程あるか疑問ではある。公表というのは、現代版の市中引き回しの刑 (この後に死刑は付かない) かもしれない。抑止力になるというのは大いに疑問である。

家庭環境に恵まれないから非行に走り、社会が悪いと叫ぶ輩を守りたいとは、ひとかけらも思わない。しかし、弱者の排除で多くの市民の平安が乱されて良い理由はない。もう少しの工夫を、もう少しの努力で何とかならないものかと感じるのである。世の中の篤志家に任せるというのでは、行政が怠けているとの謗りは免れまい。
追加して書いたくせに、さらに拡散してしまった。


弁護士政治家のアンティークな本棚を覗き見たくなった。

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