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2014年12月29日 (月)

セーラー万年筆株式会社

ガラスCDの製造をしているセーラー万年筆について考える。


セーラー万年筆は社名の通り文房具を製造販売する会社であるが、産業用ロボット生産も行っている。これがCD生産に繋がっている。産業用ロボットのスタートは、筆記具のインクカートリッジ成形の自動化だという。文房具会社によくあるように歴史のある会社で、1911年創業である。株式も上場している会社である。最近の決算の推移を下に示す。

■ セーラー万年筆決算推移 (単位:百万円)
   決算期      売上高    経常利益  当期純利益
  2013年12月     5,525     -311     -359
  2012年12月     6,452      -26      -126
  2011年12月     6,604     -697     -749
  2010年12月     6,613     -385    -1,067
  2009年12月     6,606     -456     -553
  2008年12月     8,366     -366     -444
  2007年12月     9,095      -70      -112
  2006年12月     10,006      186      202
  2005年12月     8,626     -414    -1,960

最近五年の決算を調べるつもりでいたが、余りに業績が悪いので有価証券報告書から引用した。売上高の減少傾向は改善の兆候は見えない。当然、利益も増えることはない。売上、利益を出そうと足掻くと、更に業績が悪化するというのはどんな会社にも表れる現象である。それでもこれだけ続くというのは珍しい。従業員数は2006年以降200人前後で推移しているから、人員削減を実施した様子は見られない。これだけ利益が出ない会社で事業が継続できる理由が分からないので、セグメントごとの売上と利益を確認した。結果を下に示す。

■ セーラー万年筆セグメント売上高・営業利益四半期決算推移 (単位:百万円)
           売上高                    営業利益          
   四半期   文房事業 ロボット機器事業  計    文房  ロボット機器   計
  2014年9月    906     567      1,473     -45    -10      -55
  2014年6月   1,033     435      1,467     16     12      28
  2014年3月   1,175     460      1,635     14     -20      -7
  2013年12月   1,198     355      1,553     93    207      300
  2013年9月    939     324      1,263     -25     -30      -55
  2013年6月    937     416      1,352     -1     -48      -49
  2013年3月   1,033     325      1,357     -54     -95     -149
  2012年12月   1,231     405      1,636     -19    -242     -261
  2012年9月    916     769      1,685     -53      30      -23
  2012年6月   1,077     437      1,515     15     -21      -7
  2012年3月   1,150     466      1,616     -7      10       3
  2011年12月   1,306     545      1,851    -121    -72     -193
  2011年9月   1,091     470      1,560    -125     -8     -134
  2011年6月   1,010     359      1,369    -127    -60     -187
  2011年3月   1,076     748      1,824    -111     34      -77
  2010年12月   1,309     607      1,916     -47     34      -13
  2010年9月    994     490      1,484     -79      6      -73
  2010年6月   1,138     526      1,664     -79     35      -43
  2010年3月   1,146     404      1,550    -101    -28     -129
  2009年12月   1,392     515      1,907    -112    -32     -144

文房具がCQ1とCQ4で少し増えるのは、入学とクリスマスの関係だと思われる。近年は四半期売上で10億円といった水準である。ロボット機器はその半分に満たないといったところで、こちらもぱっとしない結果である。少ない方が成長していたり、利益が出ていたりすることがあるが、この会社には該当しない。ロボット機器のほうが利益の出ている回数は多いが合計すればマイナスである。
2014年4月に中期経営計画が発表されている。それから決算に関する数字を拾ったのが下である。

■ セーラー万年筆2014年4月中期経営計画 (単位:百万円)
  年度    売上高   営業利益  経常利益  純利益
  2013    5,525     -287     -311     -359 〔実績
  2014    6,240     300     250     217
  2015    6,840     495     455     420
  2016    7,440     605     580     550

2014年度については第3四半期まで済んでいる。目標達成には第4四半期に、売上高1,665、営業利益637 百万円が必要となる。売上高については可能性がないとは言えないにしても、営業利益の方は届く可能性はないと言って良いだろう。実際、7月31日発表の業績予想から10月31日に、その前の7月31日にも修正を発表している。順番に売上高が6,240  → 6,300 → 6,265、営業利益が 300 → 200 → 80に修正された。これも難しい数字である。
2,030ある有利子債務を減らす計画になっている。これだけ赤字が続けば借入金も増えたことだろう。それでも減らさないことには始まらない。経営が苦しい企業では人を減らすとか設備を売却するとか、固定費を削減することをするものである。もう一度損益計算書を確認した。結果を下に示す。

■ セーラー万年筆損益計算書より抜粋 (単位:百万円)
    年度                  2010   2011    2012    2013
  売上高                  6,614   6,605   6,452   5,525
  営業利益                 -989   -641    -35    -294
  -----------------------------------------------------------
  販売費及び一般管理費合計     1,971   2,060   1,718   1,660
  固定資産償却費              17     12      16     14
  支払利息(営業外)            -64    -71    -64    -63

人員削減は行っていないものの、費用削減に取り組んではいるようである。しかし、それ以上に売上高の減少が大きいということになる。となると、新製品に期待するよりない。文房事業とロボット機器事業の内容をもう少し確認してみる。
文房事業の売上高で自社製が六割、仕入が四割である。仕入で新製品が売上を伸ばすことが出来ても利益には結びつきそうにない。自社製の売上構成と、3年後の計画を下に示す。中期経営計画が割合で示されていたものを計算した。結果を下に示す。

■ セーラー万年筆文房事業自社製品計画 (単位:百万円)
   製品群        2013     2016     差
  万年筆         520      806    286
  ボールペン      1,040     1,411    371
  シャープペン      198      202     4
  マーカー        149      185     36
  液体ボールペン    149      168     19
  その他         421      588    167
  自社製計       2,476     3,360    884

製品群の割合が分かる。ボールペンが主体であり、その他の製品となっている。万年筆は最近見直されている製品ではあるが、これに多くを期待しなければならないというのは辛い。計画を見ると、なんのことはない、2013年に売上高シェアの高さに比例して売上高を伸ばしているという結果である。一律で伸ばすのが難しいから、売り上げの大きな方に期待する、いわば累進性の経営計画になっているようだ。ロボット機器事業について確認する。結果を下に示す。

■ セーラー万年筆ロボット機器事業計画 (単位:百万円)
    製品群           2013    2016     差
  射出成型用取出ロボット  539    1,067     527
  特注装置            468     758     290
  部品・工事           412     545     134
    計             1,419    2,370     951

こちらの方は射出成型用取出ロボットに期待しているのが明確である。部品・工事を増やすというのは無理だろうから残りの二つによるよりない。こっちは意味があるのかもしれないが、特注装置の受注を期待できる組織では既になくなっているという可能性も否定できない。


何とも大変な企業なようである。ガラスCD製造に関する契約がどうなっているか不明であるが、この製品を限定品ではなくレギュラー品として販売することを考えた方が良さそうだ。1枚10万円などという価格を提示していては市場の広がり様がない。1万円で売ることを前提にしなければならない。ポリカーボネートに比べてガラス基板代金は高いが、定期的に製造するなら千円を下回るのは確実だろう。年間100万枚くらい加工したいが、一桁少ないレベルで3,000円くらいの加工代金としての売上が期待できれば悪くない新製品だ。ガラス基板は海外で生産した方が安いだろうが、量が少ないことを前提にするなら国内で賄えない話ではない。100kpcs/Month くらいで海外に移すメリットは乏しい。
むしろ問題は、広く流通した場合にガラス製品について投げて怪我をするといった不測の事態だろう。PL法の対応の問題は、数が少なければ管理下にある (気がするだけなのだが) も同然であるが、不特定多数に広まると不安は残る。裁判になれば会社が倒れるだけと開き直ればそれ程の問題でもないか。

この程度のことなら誰でも思い付く話だが、気になるなら問い合わせ下さい。コメントにアドレスを書けば公開せずに回答します。これでは藁をも縋るということか。株価が50円を下回って久しい会社で、2008年から100円を下回っていて体裁を気にしている状況でもないだろう。


自民党山田美樹の話にしようと思っていたが、陰気になるので止めた。議員は選挙がお好きだ。

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