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2014年12月22日 (月)

ハイレゾ、音楽市場に光明 情報量「CDの3~7倍」

「CDより高音質」が売りのハイレゾ音源が注目を集めている。ミュージシャンも聴き手も納得の高音質配信データ。低迷する音楽産業の新たな収益源になるとの期待は高く、対応作品は増加の一途だ。ライブコンサートを楽しむ人が増えているのも、「臨場感」が味わえる音源の普及を後押ししている。 「聴き手と作り手が同じ音質で作品をわかり合える時代がやってきた」。音楽プロデューサーの小室哲哉さんは、昨今のハイレゾ人気を歓迎する。音の情報量はCDの3~7倍で、「レコーディングスタジオの音そのものを届けられ、聴き手にいろんな音を感じてもらえる」。所属する音楽ユニット「TM NETWORK」の新作も12月にハイレゾ配信した。 音源はインターネットの専用サイトからパソコンなどにダウンロードする。1曲300~500円。ハイレゾに対応した携帯型音楽プレーヤーやオーディオシステムを使えば、豊かな音を最大限に堪能できる。 2005年にオンキヨーの「e-onkyo music」が配信を始めた。当初はアップルのi Tunes(アイチューンズ)人気の陰に隠れていたが、3万円を切る携帯プレーヤーやイヤホンなど低価格の対応機器も登場し、昨年ごろから「ハイレゾ元年」と呼ばれるほど普及が加速。現在ではソニー「mora」やビクターエンタテインメント「HD-Music」、「OTOTOY」などのサイトが競合する。(朝日新聞:12月22日)


高音質について考える。


従来と同じ仕事をしていては仕事にならないというのは、どこにでも転がっている話である。音楽に関するところとして、CDが規格により制限されているところを高音質に変えれば商売になるかもしれないと考えるのはもっともな発想である。ポータブルオーディオプレーヤで用いられている音源は、CDのデータを更に1/10に圧縮したものだから音質は劣る。それで十分な用途もあるが、供給側の論理としては質の高いものを高く売りたいという希望はあるだろうから、差別化と称した販売方式を考える必然性がある。
CDの規格は、1980年にフィリップスとソニーによって作られている。16bitのプロセッサであるインテルの8086の販売開始が1978年、この上位プロセッサの80286が1982年である。PCが広く普及するきっかけになったIBM PCの販売開始が1981年であることを考えると、技術的に最先端のものを取り入れていると考えられる。8086の半導体デザインルールが3μm、80286が1.5μmであることを理解した上で、CDのトラックピッチが1.6μmを考えれば技術的な難しさが理解できる。フィリップスとソニーの規格決定に関する120㎜か115㎜かの議論はそれ程の価値はないと思うが、14bitか16bitかについては大きな意味がある。当時の技術で適用可能な選択をするなら14bitであった筈である。高いことが予想されるD/Aコンバータも量産されれば安くなるし、継続すればなおのことコスト削減が効く。14bitを採用して規格の見直しをするようでは、再生機もソフトも無駄になてしまう。結果としてソニー推奨の規格が通ったことが30年以上も続いたことに繋がっていると考えて良かろう。

さて、CDの規格である。音楽CDで使用されるサンプリング周波数は44.1kHzで、量子化16bit のステレオである2チャンネルとなる。これで音のアナログ信号をデジタル化するときに変換可能な周波数は、直流から22.05kHzまでとなる。この帯域では音声波形を損なわずに標本化できるとされる。CDの44.1kHz、16bitを超えるものをハイレゾリューションオーディオと総称する。ハイレゾの規格について比較したものを下にまとめる。

■ ハイレゾ音源の種類、およびCDクオリティとの比較
    種類       サンプリング周波数  量子化bit数 情報量(1/channel・sec)  CDデータ容量比
  PCM(CD音質)       44.1kHz        16bit        705.6 kbps      1.0倍
  PCM(ハイレゾ)      96kHz         24bit       2304  kbps      3.3倍
  PCM(ハイレゾ)     192kHz         24bit       4608  kbps      6.5倍
  DSD64(SACD音質)   2.8224MHz        1bit       2822.4 kbps      4.0倍
  DSD128           5.6648MHz        1bit       5664.8 kbps      8.0倍

最近のSDカード、つまりフラッシュメモリを用いた書き換え可能な記録媒体の価格は、16GBで千円を切る価格になっている。Class 4 の読み書き時のデータ転送速度が最低4MB/secであることから、上記の仕様を速度と容量でカバー可能である。(kbpsは毎秒千ビットの意味だから、バイトを示すBは8bit、即ち8倍となる) 1986年のDRAM価格は、64kbit品でチップ140円くらいであったから 8kBで140円となる。30年前とは技術が大きく変化しているから、価格を比較する意味を持たないだろうが、仕様を決定して広く流通した時代と現在との差は認識しておかなければならないだろう。参考の為に記すと、最近のDRAMモジュールの価格は4GBで32ドルというレベルである。
容量と速度が大きくなった時代に、より良い音源を提供することで新たな市場を作り出そうとするのは企業として当然の行動ではある。記憶容量にも処理系にも問題がなければ、課題として残るのは記録方式の標準化となる。複数の方式があること、ましてや乱立することがあると失敗することになる。いろいろの規格があるというのが問題だが、その状況というのはCDが出来る前の時代にも、ドイツのテレフンケン提案の機械式と、日本ビクター提案の静電式があった。CDに収斂する前には競合する技術があった。行動しなければ何も始まらない。

とはいっても、ハイレゾでその能力が発揮されるには、レコーディングされた際にハイレゾ対応していなければ何もならない。近年のレコーディング技術は、24bit/44.1kHz以上で収録していると言われるので、一定レベルのハイレゾ化は達成されそうである。しかし、古いデジタル録音からハイレゾ化を実現しようとしても、所謂リマスター版以上の価値を出すのは難しいだろう。アーティストの息づかいや、録音スタジオの空気感を伝えるとなると簡単な話ではない。ハイレゾ化の効果を享受可能な環境としては、レコーディング側がハイレゾ対応していることと同時に、再生する機器がハイレゾ対応していることが重要となる。人間の可聴領域をカバーすれば良いという考えで組み立てて価格を低下させれば、ハイレゾの効果は小さいだろう。
同じ音源で、低品質のものは安く、高音質のものは高く売れるというのが提供者にとってはうれしい環境になる。そうなると数売れることより、高音質を求めるユーザの数が多いことの方が利益を生み出し易くなるからである。しかし、多くのユーザの使用環境が、ポータブルオーディオ機器やスマートフォンといった性能の劣る装置であり、ごく少数の高級オーディオでの再生に期待するというのでは企業経営が難しい。少なくとも大企業の手に負える仕事ではなくなると感じる。


音楽関係の市場はもともとそれほど大きくない。

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