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2014年12月24日 (水)

日立、伊豆大島で大規模蓄電の実証試験 15年度から

日立製作所は12月24日、2015年度から東京電力と東京都の伊豆大島で大規模蓄電システムの実証試験を実施すると発表した。気象に左右されやすい太陽光発電などの再生可能エネルギーの本格導入に向けて、電力網を安定的に支えることができるかどうかを検証する。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業となる。日立がシステム全体、グループの新神戸電機が電池製造などを手掛ける。(日本経済新聞:12月24日)


島の電力事情と再生可能エネルギーについて考える。


伊豆大島の電力事情について確認する。大島には伊豆半島から直接供給される電線は敷設されていないし、水についても同様である。電力は島内にある発電所によっている。水についても同様で給水能力日量7,500トンがあり、このうち脱塩浄水場2カ所で4,000トン (北部浄水場の2,500トンは日本最大) である。焼却場も年間約3,700トンのゴミ焼却処理を有しているし、火葬場もある。島には燃料も食料も入るが、価値のないものを島外にお金を掛けて持ち出すとなると大変である。島内で出来る限り処理するのが基本となる。さて、大島町の発電能力をまとめると下のようになる。

■ 大島町の内燃力発電能力 (すべてディーゼル燃料)
   号機   最大出力
   1号機   3,400 kW
   2号機   4,000 kW
   3号機   4,000 kW
   5号機   1,000 kW
   6号機   1,000 kW
  11号機   2,000 kW
   合計   15,400 kW

東京電力によると大島町の電力消費量は年間 5,729万kWhであった。平均稼働率は 43%となる。東京電力によれば、大島町の系統に接続可能な再生可能エネルギー発電所の容量は、1,150kW (短周期の変動) 、または、1,430kW (長周期の変動) だという。短周期の変動は数分単位、長周期の変動は数十分単位のものを指す。風や太陽高度などの変動で生じるが、結果として電力系統の電圧変動に表れる。これがあるから再生可能エネルギーは使い難いということになる。少しくらい変動しても良いと思ってしまうが、変動しないことを前提に装置が作られていれば装置稼働や、装置自身への影響も出てしまう。前の接続可能な再生可能エネルギー容量は、短周期と長周期の小さい方を採用するから 1,150kW ということになる。これは内燃力発電能力の7.5%に相当する。

今回の検討は、電気自動車の電池に求められる重量密度は、据え置き型の装置である大規模蓄電システムではそれほど重要視されない。しかし、大きな容量であることを求められるから、容量当りの価格と、瞬間的な変動に対応可能な内部抵抗の大きさが重要な項目になる。現在最も容量単価の安い二次電池は鉛電池になる。しかし、この電池は内部抵抗が大きい。加えて、充電を繰り返すと寿命に影響するという問題もある。一方で、近年注目されているリチウムイオンキャパシタは、内部抵抗が小さく、寿命も長いのだが、容量当りの価格は非常に高い。
電力を早く流せる小さな電池と、遅く流せる大きな電池を組み合わせることによって、全体として早く大きな電池を構成しようという考え方である。コンピュータで用いられるメモリの階層化に似た発想だと思うが、メモリでは速さ・容量が一桁以上違う階層を数段階に構成する。これはメモリの性能差に大きな違いのある素子が存在しているからであるが、電力の方はというと二階層に留まり、性能差も思いのほか小さい。つまりメモリの階層化のような効果は出し難い。速く(内部抵抗が小さい)、容量単価の安い電池が出来れば問題は解決するが、これは難しい。逆に、遅いが安い電池が出来れば階層化の意味は出てくる。鉛電池の開発はそれほど盛んであるとは思えないが、現在の1/10の価格を目指すというなら別の価値も見えてくる。
今回の実証実験案では、改良型鉛蓄電池の容量が8MWh、出力は1MWで、リチウムイオンキャパシタの容量が15kWh、出力は0.5MWとなっている。容量で533倍、出力で2,000倍の違いがある。変動要因をリチウムイオンキャパシタで安定化させ、基本的な電力供給は改良型鉛蓄電池という構成だから妥当なレベルだろう。もっと大きなシステムで効率化を達成したいのなら、鉛電池側を更に二桁大きくして、中間にリチウムイオン電池をいれて、出力端側にリチウムイオンキャパシタという構成の方がより性能が上がる気がする。装置構成の最終形は、改良型鉛蓄電池の容量単価が決定的に支配しそうである。最先端の技術が、最も古い技術の改良の結果に因るというのも皮肉な話である。

八丈島で行われている地熱発電、風力発電の実用化が大島では遅れている。八丈島に比べ、本土からの距離が半分以下であることも影響している可能性もあるが、発電に最適な用地選定が難しいのかもしれない。冬場は海が荒れるので輸送が難しくなる。エネルギー備蓄を大きくするのも限度があるだろうから、再生可能エネルギーの議論をするなら、もっとも安定的な供給が可能で、管理者も最小限で済む(福島県の柳津西山は無人運転だ) 地熱発電は島にとって最適な発電だろう。


大叔父の墓が伊豆大島にある。以前、父が墓参りに行ったときに、墓が小さいことが気になり尋ねたという。島では大きな墓を作ると入る人が増えるという言い伝えがあり、不幸がないようにと小さな墓にする風習があると説明を受けたと聞いた。風習であるかは分からない。遠くから墓参りに来て、大叔父の苦労を想っている人への礼として出た言葉に過ぎないかもしれない。それでも面積に限りがあるのは意識されていることだろう。大島でこの位なら、他の島ならと想像すれば限りがない。本州を大島より大きな島と割り切ってしまえば、少しの違いでしかない。石油も食料も海の向こうからの供給に頼ることは同じである。NEDOの助成などとぬるい話をしないで、日立製作所は営業的に成立させる意思を示して貰いたいものだと思うのである。


公開情報が乏しい。いろいろな会社が絡むと透明性が一番最初に失われる。

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