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2014年12月25日 (木)

ガラス製のCDについて

先日のハイレゾ音源に関連して、ガラスを用いたCDの話を記す。


追記型や書き換え可能な媒体は外に置くとする。まず、長期の信頼性から考える。
信頼性を落とす部位は、反射膜と基板材料となる。反射膜は主としてアルミニウムをスパッタリングをすることで作成されている。反射率は高いものの、酸化する(錆びる)と反射率が下がることが信頼性を損ねる要因になる。諸々の見解があるようだが20–30年というのが一般的な見方であるが、保存環境により大きく異なるというのは、この手の議論に大きく影響するので難しいところである。基板材料については、ポリカーボネートが用いられるが、湿気にあうと加水分解して徐々に白濁していく。CDは基板を光が通過する方式なので、白濁する、つまり光が散乱すれば読み取りエラーが生じることになる。似た光記録媒体であるレーザーディスクでは、基板材料にアクリル樹脂が用いられるが、こちらは吸湿により反りが発生する特性があるので使い難い。
反射膜をアルミニウムではなく、酸化しない金にすれば改善することが期待できる。しかし、金の基板への付着力が低いこと、つまり剥離が生じ易いことは残るのですべて解決したという話ではない。コストが上がるには否めないから、広く流通するには難しい。
ポリカーボネートの変わりにガラスを用いれば信頼性の向上が期待できる。セーラー万年筆がN&Fと共同で開発してExtreme HARD GLASS CDというガラス基板を用いたCDを生産している。これについて確認した。以下N&Fの解説ページに従う。
ポリカーボネートには複屈折がある。ガラスなら複屈折はないといっていいから、改善することが期待できる。ガラスと同じような素材として、水晶(クリスタル)や石英を引き合いにして、これらが強い結晶構造体により強い複屈折があることを述べている。石英は二酸化ケイ素の結晶である。石英の中で特に無色透明なものを水晶と呼ぶ。同じものを二重に表現していることになるから、水晶はこの通りで石英は合成石英ガラスだろうと想像することにする。こちらだと歪はごく小さいから、複屈折の話には馴染まない。ということは、やはり水晶のことを指しているようである。水晶でディスク状の形状になるほどの大きさのものを用意するのは大変そうである。
複屈折が品質上重要であるとしている。複屈折が無いと、読み込みレーザーの効率やS/N比の向上が図れるということである。CDに記録されている情報はデジタル情報で、波長780nmの赤外線レーザを用いて、光の干渉により0と1とを判断している。ずっと0が続くと困るからコード化するとかいう話は横に置くとして、0と1の区別はここに尽きる。読み込みレーザーの効率は難解で理解できないが、S/N比の向上というのは読み取りエラー発生率の低減ということになるのだろう。ガラス基板採用による効果として、温度や湿度による面振れ偏移がない、強化ガラスの使用で耐久性も大幅に向上し長期の保存に優れる、ピックアップのフォーカスやトラッキングが安定するなど、サーボ系の安定による再生S/Nの改善する、ということである。最後の再生S/Nに関しては、D/Aコンバーターの基準電圧が変動すれば、再生されるアナログ出力が変化してしまうから、消費電力の変動が少ない方が良いというのは理解できる。どんどん散らかっていくので、H&FのガラスCDの利点を転載する。

  (1) 物理特性が優れている
  (2) 光学特性が優れている
  (3) ディスクの耐久性が高い
  (4) 時間軸の精度が向上
  (5) 機械的(トラッカビリティ)特性が低減される
  (6) 信号特性が良好

ということである。(3)で強化ガラスの表記が出てくるが、化学強化したガラスという理解で外れていないだろう。最後については、光硬化技術による高精度微細転写方式とあるから、ガラス基板の上に、紫外線硬化樹脂を塗布してCD製造で使用される金属スタンパーによる転写技術で凹凸を形成しているということと推定される。反射膜にアルミニウムを用いているが、金を採用しない理由について、ビームがカラーリングされない配慮だとしている。
分からない話は考えずに先に進む。H&Fは、西脇義訓と福井末憲の頭文字を社名にしているようだ。西脇が代表取締役で録音プロデューサー、福井が録音エンジニアである。

難解さが限界を超えたので少し別のところに焦点を合わせる。ガラス基板を用いると1枚約10万円になっている。ガラスは高級光学強化ガラス基材ということである。高い値付けの言訳が高級であるのだろうが、この手の利用には化学強化なしのガラス基板を用いるというのはないだろう。透明である必要性からすれば結晶化ガラスは採用できないし、ユーザが触ることを考慮しなければならないとなると、化学強化を施すよりないという結論に至る。高級というのは定義が分からないが、もし価格が高い材料を使用しているということであれば、化学強化に最適なガラス材料でそれ程高いものにはならない。材料を吟味しているからという理由であれば、高くなる理由は見出せるものの、光学ガラスなら管理されていて当然である。価格は製造量の問題に帰結することになる。突飛な材料で高くする理由もないから、現実的に流動している材料を選定すれば、高級ではないにしても性能と価格のバランスが良い製品を選定できる筈だ。
類似した製品で量産しているものに、HDD用のガラス基板がある。2.5"サイズのものはすべてガラス製である。ほとんどに化学強化が施されているようだ。HDD用が65㎜外径で厚みが0.8㎜、CDが120mm-1.2mmとなっている。重量で5倍、記録面の面積で3.5倍違う。前者がガラス素材の価格、後者がディスク加工全般の加工費に効くと考える。HDD用を基板完成品で100円とするとCDサイズを加工するとしたら500円程度には収まりそうである。その後の加工工程はCDと同じようなものだろう。雑誌の付録にCDがついている時代である。景品法の規定から、雑誌価格の二割を超えてはならないのだから、今日のCDの製造原価は100円程度と思って良いようだ。これも枚数によるのだろうが、1万枚作成を100万円で可能だと考えて外れてはいないだろう。ステレオサウンドが2012年10月に限定数200枚で発売した製品の単価が136,500円で、合計273万円であることからすればガラスが高いというより、限定数がコストアップ要因になっていると理解した方が良さそうだ。

電力消費によるデータ読み込みエラーやアナログ変換の不安定さは、再生前にDRAMに展開しておけば良い。DRAM価格からすれば現実可能な話である。無線通信で1Mbpsというのだから、CDの仕様が決まった時代とは環境が異なる。最良のデータを通信で送って再生するというのが最も実際的だと思うが、CDをセットして再生しないと気分が出ないようだ。


冷蔵庫で冷やすとか、いろいろと楽しい話が出てきて疲れた。

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