« マクドナルド最終赤字75億円 1~9月、客離れ止まらず | トップページ | シチズンHD純利益6%増、減益予想一転 15年3月期 »

2014年11月 7日 (金)

イオン、埼玉・久喜に植物工場 トマトを生産

イオンは11月7日、埼玉県久喜市に植物工場を建設すると発表した。2016年4月からトマトを生産する。県と市との共同事業で、県の研究所の敷地を使う。温度や湿度、気流を調整できるビニールハウスで通年で栽培し、17年度に1200トンの生産を目指す。
農業子会社のイオンアグリ創造(千葉市)が埼玉県園芸研究所内の1ヘクタールの敷地に建設する。17年4月からは最大で4ヘクタールに広げる計画だ。収穫したトマトは関東の「イオン」「ダイエー」「マックスバリュ」などグループのスーパーで売る。
ビニールハウスは通常よりも天井は2倍高く、天窓を開閉したり、空気の流れを調整したりして温度や湿度を管理する。冬は地元の間伐材を原料とした木質ペレットを暖房に使い、化石燃料の使用量を一般的な園芸施設の3分の1に抑える。建設費には国の補助金も充てる。(日本経済新聞:11月7日)


植物工場について考える。


この国で植物工場とくれば、栽培するものはトマトかレタスと決まっている。葉物野菜は収穫以降に手間が掛るので、収穫作業の負担が小さいレタスとなる。実野菜で栽培のし易さと、価格を考えるとトマトとなる。
植物工場の栽培方式は、水耕栽培で収穫量とサイクルを早めて生産性を向上させるというのが相場である。通常のハウス栽培では植物工場とは呼べないから、植物工場と水耕栽培を基本とした生産方式というのが結び付く。ほぼ言葉の定義に近いものがある。水耕栽培とIT技術の活用というところが冒頭に書かれる内容になるのが決まりのようだ。
そんなに生産性の向上が期待できるなら、他の野菜もやれば良いと思うが、栽培の難しさによるのだろう。確かにキュウリの方が難しいだろう。こっちのほうが病気が多い。そのトマトについても病害虫の発生により全滅状態になった話を聞く。ハウスの安定した環境は、野菜の成長に最適であると同時に病害虫にも最適である。菌や虫の室内への侵入を防止する対策をしているようだが、効果を上げるには難しいようだ。
トマトが選ばれる理由は、生食のみならず調理用食材で利用されることになっている。しかし、この手の説明は怪しい部分が隠れている。一般に流通される野菜全般に共通するが、生食用と加工用とを比較すると重量単価に数倍の開きがある。トマトだと生食用が1kg単価で300円であるのに対し、ジュース用は100円以下である。加工用は契約して必ず購入されることや、製品に対する形やサイズの規定が緩いということ生産者側にとってのメリットある。しかし、加工用に農家が動かないのは価格が採算に合わないレベルになっているということである。ジュース用の100円を確認するには、100%トマトジュースのペットボトルでの販売価格が重量当り200円程度であることで分かる。

記事の内容は、[1] 生産性の向上を計る為に、ハウスの温度や湿度を管理を行い易く変更する、[2] 間伐材木質ペレットを暖房に使い暖房コストを抑える、[3] イオングループの店舗で販売をする、という三項目である。[2]と[3]は生産性の向上に寄与しない。[1]のみが変化する要因となる。埼玉県久喜市は、夏季は高温多湿、冬季は低温乾燥であると市のホームページにある。トマト栽培をするのに、露地ものが流通する7月から9月はハウス栽培しても意味はない (価格、品質とも) だろう。そもそもトマトは高温多湿になると収穫量が減少する。病害虫の被害も出易い。夏の時期にトマトを生産しないという訳にはいかないだろう。苗の栽培にも少々温度が高すぎる時期である。
トマトの植物工場の話で比較されるのはオランダの例である。オランダは夏場でも気温が低く、燃料用の天然ガスが安いといった条件が日本と異なる。後者を間伐材で解決したとしても前者の解決は難しい。冷房を利かすというほどエネルギー価格が安いということもないだろう。そもそもオランダのトマトは加工用で、日本人が思うようなトマトではない。簡単に言えば、大量生産に向く不味いトマトである。日本人が食べているトマトは果物だが、オランダに流通するトマトは野菜だという話で代表してよかろう。

植物工場が成功しない理由は、野菜生産の専門家が関係していないことだろう。トマト農家は競合関係にある植物工場に協力しないという思い込みはある部分正しいだろう。しかし、専門家の意見を入れないで成功するとは思えない。埼玉県園芸研究所はトマト栽培について専門家であるだろうが、営農をしているという意味では素人に過ぎない。そもそも1ヘクタールというのは、イオングループで流通させるにはあまりに狭い。実験を開始しますという宣言と理解するのが正しいだろう。


新しい試みの難しさに別の課題を加えて複雑にすれば失敗するに決まっている。

« マクドナルド最終赤字75億円 1~9月、客離れ止まらず | トップページ | シチズンHD純利益6%増、減益予想一転 15年3月期 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« マクドナルド最終赤字75億円 1~9月、客離れ止まらず | トップページ | シチズンHD純利益6%増、減益予想一転 15年3月期 »

2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
無料ブログはココログ