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2014年11月18日 (火)

HDD: 大容量品が2~5%安 10~12月大口価格

パソコンなどに使われるハードディスク駆動装置(HDD)の10~12月分の大口取引価格が下がった。デスクトップ型向けや外付け用に引き合いが強まっている2テラ(テラは1兆)バイトや3テラバイトの大容量品は7~9月分に比べ2~5%下落した。パソコンの需要が頭打ちとなるなか、HDDメーカーは値下げをテコに収益性の高い大容量品の比率の引き上げに動いている。
HDDメーカーとパソコンメーカーなどが取引する10~12月分の大口価格は3.5型の3テラバイト品が1個75~85ドル程度と約5%値下がりした。2テラバイト品も約2%下落した。国内のパソコンメーカーは高性能モデルのデスクトップ型パソコンに2テラ~3テラバイト品のHDDを搭載している。国内のパソコンは海外に先行して大容量へのシフトが少しずつ進む。このため、2テラ~3テラバイト品は国内市場が主戦場になっている。一方、ノート型パソコン向けの2.5型の500ギガ(ギガは10億)バイト品は1個39.5ドル程度、デスクトップ型の普及モデルに多く使われる3.5型の1テラバイト品は1個50ドル強となった。それぞれ7~9月分と横ばいだった。(日本経済新聞:11月18日)


HDDについて考える。


HDD会社は統合が進んで、Seagate、WD、東芝の三社になってしまった。少し前まで東芝は3.5"HDDの製造をしていなかったが、日立からWDに事業譲渡がなされた際の審査結果による指導によって、WDの設備が東芝に移って量産している。そうはいっても三社の寡占であることに変わりはない。
2011年末からのタイ洪水によりHDD業界は大きな被害を受けた。HDD生産工場の被害 ( WD ) も出たが、スピンドルモータで最大シェアを誇る日本電産の工場が深刻な状況であったことが業界に大きなダメージをもたらした。市場での供給不足は値上がりをもたらすというのが市場原理であり、価格は大幅に上がった。数ヶ月後には供給不足が改善したが、寡占状態というのは競争原理が働かないことになっているから、製品価格は高止まりしたままでHDD会社は高い利益を確保するに至った。これが洪水以降2012年までの流れである。
HDD事業の発表のない東芝以外のWDとSeagateの四半期毎の状況を確認する。出荷数量と売上高・営業利益の推移を2012年CQ1からまとめた結果を下に示す。

■ WDとSeagateの出荷数量(千台)と売上高・営業利益(百万ドル)推移
       2012                     2013                     2014
出荷数   CQ1   CQ2    CQ3   CQ4   CQ1   CQ2    CQ3   CQ4   CQ1    CQ2   CQ3
WD     63,800  71,038  62,480  59,241  60,175  59,896  62,610  63,082  60,423  63,097  64,744
Seagate 60,700  65,900  57,600  58,000  56,000  53,900  55,700  56,600  55,200  52,500  59,500 

売上高
WD     3,035   4,754   4,035   3,824    3,764   3,728   3,804   3,972    3,703   3,651   3,943
Seagate  4,450   4,482   3,732   3,668    3,526   3,425   3,489   3,528    3,406   3,301   3,785 

営業利益
WD     542    808    592    478     417   -221    542    478     419    352    469
Seagate 1,210   1,057    624    555     465    448    478    444     444    410    456

タイの洪水が業界に与えた影響を示しているのが2012年CQ1-CQ2の営業利益である。洪水の直接的な被害のなかったSeagateは出荷数を伸ばし、大きな利益を出している。利益は通常期の2倍水準である。売上高は20%増、出荷数は10%増というところであるから、単価が上がり利益が舞い込んだことになる。これは被害のあったWDでも同様で、CQ2において利益は2倍近くなっている(出荷数・売上高は20%増)。焼け太りというのはこういうことを指す用語であっただろうか。

利益拡大は長く続かず、PCの出荷数量の減少によってHDD市場が伸びなくなったしまった。それでも、大容量とビット単価の優位は動いておらず、失ったのは容量が小さく、持ち運びする用途で、失わずに済んだのはビデオ録画用途である。後の市場は大きく伸びることになっていたが、それ程にはなっていないようだ。関係者は嘆いていることだろう。まあ、通信速度が大きくなればダウンロードする方式でカバーできる部分が広がるから個人用は拡大しないかもしれない。しかし、映像を提供する側には高速大容量のメモリが求められるから、サーバ用は順調に伸びていることだろう。辛いのはサーバ用が全体の一割程度であることである。
ウィンドウズXPのサポート終了の買い替え需要もひと段落して、PC市場が拡大しないことを織り込んだ生産計画に移行して時間が経つが、そう縮小傾向では事業が立ち行かないから増産に動いたということだろうか。ここ一年値下がりが小さかったことからすれば、年末に掛けての値下げには、供給側の体力があることが要因になっているのかもしれない。そうはいっても寡占市場である。大きな値崩れに動くこともないだろうと思うがどうだろうか。


需給バランスによる価格決定が生きている市場があった。

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