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2014年10月31日 (金)

ヤマハ、半導体の自社生産撤退 鹿児島の子会社を売却

ヤマハは10月31日、半導体の自社生産から撤退すると発表した。主にスマートフォン(スマホ)向けの半導体を製造している鹿児島の生産子会社を岡山県の企業に売却する。生産は台湾メーカーへの委託に切り替え、ヤマハは開発・販売に専念する。固定費や生産費用を削り、需要の変化に対応しやすくする。
子会社のヤマハ鹿児島セミコンダクタ(鹿児島県湧水町)を売却することで、半導体製造のフェニテックセミコンダクター(岡山県井原市)と基本合意した。時期は来年10月ごろで、価格は未定。122人いる正社員はフェニテックに移る。
半導体を中心としたヤマハの電子部品事業の売上高は188億円(2014年3月期)。単価下落による採算悪化を受け、鹿児島の子会社は12年に音源半導体の生産をやめ、全地球測位システム(GPS)などで使うスマホ用の地磁気センサーの生産に特化している。(日本経済新聞:10月31日)


ヤマハについて考える。


その昔は、日本楽器製造という社名であった楽器製造を主な業務とする会社である。創業は明治20年(1897年)という歴史ある会社でもある。この会社がなぜ半導体をというと、エレクトーンに必要だったという事情から始まっているようだ。電子楽器が増え、パソコンでの音の充実もあって市場が拡大したということであろうか。ヤマハのホームページを見ると以下のような記述がある。

自社の電子楽器の音源を内製化するために始まったLSIの製造。楽器用LSIの開発を通して蓄積されたノウハウは携帯電話やアミューズメント機器用LSIに生かされ、さらに車載用LSIやデジタルアンプICなど、新規分野での技術開発も推進してきました。これらの半導体製品は世界中で高い評価を受けています。ヤマハ半導体事業部は、これからもつねに市場のニーズにマッチした商品開発にチャレンジしていきます。

現在形で事業が継続するように書かれているのは、売却の話が反映されていない当然の結果ではある。ヤマハの決算推移を確認する。

■ ヤマハの3月期決算推移 (単位:百万円)
   年     売上高    営業利益   経常利益  当期純利益(損失)
  2010年    414,811     6,828     4,910      -4,921
  2011年    373,866     13,165     10,971      5,078
  2012年    356,616     8,110     7,255      -29,381
  2013年    366,941     9,215     8,580       4,122
  2014年    410,304    25,994     26,146     22,898

売上高より利益の方で変動が大きい会社である。半導体の企業の中での重さが分からないのでセグメント業績を確認しよう。結果を下に示す。

■ ヤマハのセグメント売上高推移 (単位:百万円)
  セグメント    2010年    2011年    2012年    2013年    2014年
  楽器 *1     276,252    271,124    265,089    235,507    262,310
  音響機器 *2   54,409     57,023     53,165    92,571    105,485
  電子部品      19,745    20,610     16,233    15,038    18,828
  リビング *3    36,942      -        -       -       -
  その他      27,461    25,108     22,128    23,823    23,679
  合計        414,811    373,866    356,616   366,941    410,304

*1, 2 2014年3月期第1四半期より、AV・IT事業の名称を音響機器事業へ変更し、PA機器を楽器事業から音響機器事業に移動
*3 リビング事業は、2010年3月31日付け一部株式譲渡に伴い連結対象から外れる


電子部品セグメントの売上高は楽器事業の1/10に満たない。とはいえ200億円近い売上規模がある。既に昔話になってしまっているが、1990年代にはHDD用の薄膜ヘッドを量産して市場シェアが20%程度あったと言われた時代がある。ヘッド事業だけで現在の電子部品セグメントの売上高よりはるかに大きかった。700億円くらいの売上高であったという報道を読んだ気がする。記憶だからあてにはならない。この事業も半導体技術と深い関連性がある。この事業は2000年にRead Rite社に設備を売却して撤退している。
HDD用のヘッドというのは、フェライトヘッド、MIG(Metal In Gap)ヘッド、薄膜ヘッド、MR(MagnetorResistive)ヘッド、GMRヘッドと進化している。ヤマハが参入した1980年代半ばというのは、HDDの普及が始まる前で国内の電気通信会社ではフェライトヘッドが使われていた時代である。MIGヘッドの検討はされていたし、薄膜ヘッドの研究開発もされていた。市場も技術も進んでいた米国では薄膜ヘッドが使われ始めていた頃である。国内で早く量産を開始して市場を獲得した結果大きな売上を獲得したということになる。記録密度の急速な向上により、ヘッドはMRに移行し、ついでGMRへと変遷した。そして、ヤマハはGMRヘッド競争で脱落していった。急な変化は企業の体力を問うことになる。新規参入で市場拡大に対応する設備投資に多くの資金を入れて、研究開発が追い付かなくなるというのは良くあるパターンではある。
時計を現在に、といってもまだ過去の話ではるが、セグメント利益について確認する。

■ ヤマハのセグメント営業利益推移 (単位:百万円)
  セグメント   2010年    2011年    2012年   2013年   2014年
  楽器       5,117    8,616     7,713    6,451    19,728
  音響機器    1,405    2,547     2,872    4,553     5,866
  電子部品     -606     510    -2,913    -2,044      770
  リビング      365       -       -        -       -
  その他       546     1,490     437     254     -370
  合計       6,828    13,165    8,110    9,215    25,994

電子部品セグメントが儲からない状況が見える。2014年3月期には黒字化しているが、楽観的な見方というのは出てこない状況だろう。楽器が安定的に利益を出し、音響機器が売上を伸ばし、利益額が拡大しているのなら、部品の内製化は優先的な課題ではなく、購入に切り替えるという結論は経営判断をして飛躍があるとは言えまい。そもそも音源半導体の生産は2012年に止めている。それが理由で40億円の売上が落ちたが、利益の方はそれ以上に落ちている。昔からの事業に戻るという判断は妥当なところなのだろう。


最近、公開が遅くなっている。何とかしなければ。

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