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2014年9月22日 (月)

富士フイルム、DHCに製販差し止め要求 特許巡り

富士フイルムは9月22日、化粧品通販大手のディーエイチシー(DHC、東京・港)の製品の一部が、富士フイルムの特許を侵害しているとして、製造・販売差し止めの仮処分を19日に東京地方裁判所に申し立てたと発表した。DHCは「申立書を確認していないのでコメントできない」としている。
仮処分申し立ての対象は「DHCアスタキサンチン ジェル」と「DHCアスタキサンチン ローション」。富士フイルムはこの2つの製品が、有効成分のアスタキサンチンを効果が安定したまま微小化する同社の特許に抵触しているとしている。(日本経済新聞:9月22日)


特許の侵害について考える。


富士フイルムがDHCを訴えたということである。富士フイルムが主張する特許権を侵害したとしているDHCの製品と、富士フイルムの競合する製品は下記の通りである。価格は @cosme のサイトにある価格を採用し参考に示した。

■ DHCと富士フイルムの製品名と価格
  DHC      アスタキサンチン ジェル        80g   4,500円 ( 5,625円/100g )
           アスタキサンチン ローション    150ml   2,200円

  富士フイルム アスタリフト ジェリー アクアリスタ   60g  12,000円 ( 20,000円/100g )
            アスタリフト ローション       150ml   3,800円

DHCのアスタキサンチンジェルは、今年の3月にはサンプル配布をしているのが話題になっていた。話題というのは似ているからである。成分の話ではない、パッケージや名称が類似しているということである。もちろん、内容も類似しているのである。一方の富士フイルムのアスタリフトジェリーアクアリスタは、2007年から販売している商品である。DHCは最近テレビCM (叶美香) を沢山流しているから、力を入れて販売しようとしている商品であると推定される。富士フイルムは、2011年から松田聖子、小泉今日子で、2013年からは、松田聖子、松たか子のCMを流してる。2010年以前の確認は行わなかったが、松田聖子、小泉今日子の共演が話題になったのは記憶するから、この辺りからだろう。後発のDHCの方が安いというのは当然ではあるが、当然といえば訴えることもそうである。
ということを確認した上で、富士フイルムが9月22日に公表した内容を転載する。

富士フイルム株式会社(社長:中嶋 成博)は、株式会社ディーエイチシー(以下、DHC社)に対し、同社が製造販売しているスキンケア化粧品「アスタキサンチンシリーズ」の一部が、富士フイルムの所有する「アスタキサンチンに関する特許権を侵害していること」を理由に、平成26年9月19日付けで東京地方裁判所において、同製品の製造、販売などを差止める仮処分命令の申立を行いました。
今回の申立において、当社がDHC社による侵害を主張している当社特許は、「アスタキサンチンを含む分散組成物およびスキンケア用化粧料に関する特許」です。抗酸化成分アスタキサンチンは、自然界に広く分布している天然由来の成分で、カロテノイドの一種です。強い抗酸化力を持ちますが、不安定で扱いづらく、従来の技術では安定的に化粧品に配合することが難しいという課題がありました。当社は、同課題に対して研究開発に取り組み、先進・独自の技術によって、同成分の化粧品への安定配合に成功しました。当社の当該特許は、この課題解決に大きく寄与するものです。
当社は、アスタキサンチンを安定配合したスキンケア化粧品「アスタリフトシリーズ」を2007年に発売。お客さまから高い評価を得て、多くの方にご愛用いただいています。

1.  対象製品
  (1)「DHC アスタキサンチン ジェル」
  (2)「DHC アスタキサンチン ローション」
2.  対象特許
  特許対象番号 :  特許第5046756号
  発明の名称 :    分散組成物およびスキンケア用化粧料並びに分散組成物の製造方法


特許番号の特定がなされている。物は試しと、"アスタキサンチン 富士フイルム"で特許検索を行った結果、48件がヒットした。最初の出願は2006年2月28日である。比較的最近の研究成果であることが分かる。このうちで特許が成立しているのが15件である。該当nする特許について出願年毎分類して、出願件数と成立件数の推移をまとめたのが下である。

■ "アスタキサンチン 富士フイルム"で特許検索を行った結果の出願年と特許成立件数
  出願年    件数   成立件数
  2006年     9      2
  2007年     19      9
  2008年     5      1
  2009年     3      1
  2010年     3      2
  2011年     3      0
  2012年     3      0
  2013年     3      0

出願は2007年に集中している。以降一定レベルで出願しているが、成立しているものは少ない。無論、最近出願したものは審査前、審査中であるものが多いのは当然予想できる。記事の特許は2007年に出願したものである。せっかく検索したから特許が成立している15件を下に示すことにする。

■ "アスタキサンチン 富士フイルム"で特許検索を行った結果 (特許成立分)
    特許番号             出願日          発明の名称
  5535808 (平26.5.9)       2010年7月28日   アスタキサンチン含有水系組成物、化粧料、及びアスタキサンチンの
                                 分解抑制方法
  5599649 (平26.8.22)       2010年5月18日   エマルション組成物及び粉末組成物
  4994397 (平24.5.18)       2009年1月5日   アスタキサンチン含有分散物及びその製造方法
  5393123 (平25.10.25)      2008年12月10日 皮膚外用剤及びその製造方法
  5150176 (平24.12.7)      2007年9月7日   粉末組成物
  5191177 (平25.2.8)       2007年7月2日   粉末組成物及びその製造方法、並びにこれを含む食品組成物、化粧品
                                 組成物及び医薬品組成物
  5101193 (平24.10.5)      2007年7月6日   化粧品組成物
  5046756 (平24.7.27)      2007年6月27日  分散組成物及びスキンケア用化粧料並びに分散組成物の製造方法
  4869979 (平23.11.25)      2007年2月27日  コーヒー豆抽出物含有水性組成物、容器詰飲料、コーヒー豆抽出物含
                                 有水性組成物の製造方法、及びコーヒー豆抽出物の沈殿防止方法
  4279319 (平21.3.19)      2007年2月6日   粉末組成物及びその製造方法、並びにこれを含む食品組成物、化粧品
                                 組成物及び医薬品組成物
  5019885 (平24.6.22)      2007年1月5日   分散組成物及びスキンケア用化粧料並びに分散組成物の製造方法
  4302159 (平21.5.1)       2007年9月6日    エマルション組成物、該エマルション組成物を含む食品及び化粧品
  5275561 (平25.5.24)      2006年10月30日  水分散可能なナノ粒子
  5459939 (平26.1.24)      2007年6月1日   カロチノイド含有エマルジョン組成物、その製造方法、それを含む食
                                 品及び化粧品
  4759413 (平23.6.10)      2006年3月10日  皮膚外用剤

コーヒー豆は化粧品に関係なさそうだが、多くは化粧品に注目した特許である。今回の5046756の特許を文面を読んで理解する能力はないので、簡単に触れておしまいにする。特許の背景技術の説明として下のようにある。

カロテノイド類は、天然に存在する黄色から赤のテルペノイド類の色素で、植物類、藻類、及びバクテリアに見つけることができる。カロテノイド類の一種であるアスタキサンチン類(アスタキサンチンおよびそのエステル等も含む)は、自然界では動植物界に広く分布しており、主として養殖魚や養鶏の色揚げ剤として使用されている。また、アスタキチンサンは、酸化防止効果、抗炎症効果、皮膚老化防止効果、シミやしわの形成予防効果などの機能を有することも知られている。このため、アスタキチンサンを食品、化粧品、医薬品の原材料及びそれらの加工品等へ添加することが検討・実施されている。
このようにカロテノイド類は、食品、化粧品、医薬品及びその他の加工品等に添加使用される際、多くの場合、分散性の高いエマルジョン組成物として添加されるが、天然物由来のカロテノイドは、不安定な構造であり、その上、エマルジョン粒子の粒子径が満足できる範囲内で、比較的長期にわたって高い分散安定性を維持することが容易でなかった。


アスタキサンチン類というのはカロテノイド類の一種で、皮膚老化防止効果があるということである。長期に高い分散安定性を維持できないことで使うのが難しかったということである。それをこの発明を用いれば、カロテノイド含有油性成分を含み、保存安定性に優れた分散組成物及びこれを用いたスキンケア用化粧料を提供することが可能になるということが主張され、当局はこれを認めたということだ。成立したのが2012年7月27日とある。DHCは今年になって販売に注力していることから想像されたのは、富士フイルムから当該製品の材料を購入するか、特許使用許諾を得ているという状態であったが、商品パッケージが類似していることからすると、少々疑問の残るところではあった。アスタキサンチンが赤いので、それを強調する為に赤いパッケージにするというのは容易に想像が付くが、新製品で似すぎていれば争い事が発生し易いのは容易に想像が付く。ある種確信犯的な行動である。DHCがこれらの特許の成立しないように努力したのか不明であるが、DHCとアスタキサンチンで検索しても特許は1件しかヒットしないのは事実としてある。
写真用フィルムの売り上げ減少で、医療や化粧品を成長産業と位置付けている会社は、DHCが従来から競合してきた化粧品会社の体質と文化が異なるだろう。もしかしたら、DHCは非常に高度な交渉を富士フイルムと継続してきたが妥結できずにここに至った可能性もあるが、それでも努力不足が否めないと感じるのである。


アルファベットの会社の特許検索は正式社名を確認しなければならず不安が残る。

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