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2014年8月18日 (月)

三菱重工、ブラジルの地下鉄運行システム受注 500億円で

三菱重工業は8月18日、ブラジルのサンパウロで地下鉄の運行システム建設を受注したと発表した。受注額は約500億円。信号や通信、電力や架線など運行に必要な各システムを設計・納入し、2020年に引き渡す。
同社はこれまで、アジアで台湾新幹線やドバイメトロ、米国ではマイアミ空港向け無人運転車両システムなどの受注を積み重ねてきた。今回は重点地域に位置づける南米で、初めて鉄道システムの受注に成功した。現地の複合企業3社が組成する事業体、ムーブ・サンパウロから受注した。サンパウロ中心部から北西部を結ぶ全長15キロメートルの地下鉄の建設工事で、現地のゼネコンと組んで供給する。車両を除くほぼ全システムのEPC(設計・調達・据え付け)契約となる。19年までに据え付けを終え、試運転を経たうえで引き渡す。受注活動には三井物産が協力した。今後ブラジルなど中南米では交通渋滞や環境問題を背景に、地下鉄など公共交通インフラの整備が進む見通し。今後も受注を目指していく。(日本経済新聞:8月18日)


ブラジルの地下鉄について考える。


記事で面白いと感じたのは、三菱重工が三井物産の協力で受注していることである。財閥の括りで仕事をする時代はすでに過去のものであるのは承知している。銀行だって三井住友銀行になっている時代である。それでも、三菱重工と三菱商事は金曜会の中では特別な存在ではないかと思っていた。その程度の財閥意識というのは、消え去ってはないという理解があった。三菱商事のブラジルでの営業活動も活発にしているように見えるのだが、得手不得手もあるだろうし、現実的な話として三井物産が優っていればそちらが優位なのは当然の結果ではある。
余談はここまでとして話を進める。サンパウロはブラジルサンパウロ州の首府であり、ブラジル最大で南半球でも最大の都市である。人口は1,100万人である。標高760メートルと高知にあるが、周囲を高い山に囲まれた盆地でもある。標高760メートルがどのくらい高いかというと、日本の都市で比較すると松本市役所の標高は592メートルである。県庁所在地としては長野市が最も高いがこれが362メートルである。中央本線で標高の高い駅である下諏訪駅の標高が767メートルだから、これが近いといえる。ちなみに下諏訪町の人口は2万人強である。
また横道に逸れた。サンパウロはこのような地形的な特徴を抱え、多くの人が集まっていることから大気汚染と渋滞が深刻な問題になった。自動車利用を電車利用に置き換えるというのは合理的な判断ではある。その一つである地下鉄というと、環状線がなく、どの線もラッシュ時の込み様はすさまじい。加えて車輌、線路の老朽化、劣化も進み、保守が追い付かなくなり始めている。当然、故障が多発し、2012年5月には地下鉄が前に停止していた列車に突っ込むという事故が発生している。牧歌的な安全システムで大量輸送を行えば綻びが生じる必然性がある。逆に、綻びが生じないというなら、特殊な訓練を受けた者で構成されていることになる。もちろん、運用側も利用側も。
そんなプロフェッショナルな利用者は期待できないが、混雑具合は素人には扱いきれない環境にある。東京へ向かう電車の朝のラッシュは、米国なら訴訟ものと以前書いた気がするが、それの比ではない。まあ、混雑は致し方ないと諦めるにしても、運営会社に任せるよりない地下鉄の故障発生は、2010年に28件、2011年に51件、2012年は66件と増えている。このレベルがブラジルの電車標準のようだが、困ったことに違いない。特に故障が多いのは3号線であるが、地下鉄公社は毎日300万人が利用する乗客の過密を故障原因に上げている。確かに、誰の使わず、走らせなければ故障が発生しないと言えるだろうが、事業者としては口にしてはいけないセリフではある。
記事の路線は、ブラジル・サンパウロ地下鉄6号線である。大学のある地区を通るので大学線とも呼ばれているようだ。利用者の見込みは600万人*1というから、事前に対策しておかないと事故の理由に事欠かない状態になる。サンパウロの地下鉄は州が管轄している公社であるが、6号線については民間パートナーシップによっている。国も州も金がなければ、民間に委ねるという構図は良くあるが、金は出さない行政が口は出すというのが典型的な動きである。競争原理の生じない民間というのは、楽をすることと決まっている。その先にあるのは、口だけ出す行政の顔を立てて、利益を独占する民間という形である。最終的に辻褄合わせは料金に反映するというのが国を選ばずゴールとして設定されるものである。

*1:三菱重工のホームページでは「全長15km、15駅の路線で、1日あたり63万人の利用が見込まれています」とある。利用者のカウントの仕方が異なるのか、これでは少ないと感じる。

計画としては、全自動無人運転鉄道システムの信号、通信、電力、架線、車両検修設備、プラットフォームドア、トンネルベンチレーションにわたる各システムの設計・調達・据付・試運転を三菱重工が担当するという。無人運転だとストライキの心配がないというのが、州側の助かるところかもしれない。それでも、故障発生を抑制しようと資金を掛ければ高いものになるだろうし、金を掛けなければ動かないものになる。公社が民間に移すということで単純に成功した事例を知らないから想像が付かないだけとも言えるが、安く良いものを作るのは大変なのは公社でも民間でも簡単なことではない。三菱重工がサンパウロで安定的な運用が出来ることを示すことに成功すっれば、他の地域への売り込みも期待されることだろう。さてどうなることか。この事業の完成時期は少々不明確なのが気になる点ではある。


地下鉄を調べようとポルトガル語のページをいくら見ても仕方がない。地下鉄もポルトガル語も分からないのだから。

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