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2014年7月24日 (木)

日本家畜貿易、堆肥発電を全国発売

日本家畜貿易(帯広市)は牛ふんなどで作る堆肥を直接燃やして発電する独自のバイオマス発電システムを開発、全国販売に乗り出す。ふん尿からメタンガスを発生させる従来方式に比べ、設備構成を簡略化でき、機器の寿命が4倍程度に延びるという。年間約10システムの販売を目指す。将来は電力販売にも参入する方針。 7月24日、帯広市内で実証プラントの落成式を開いた。敷地面積は約500平方メートル。燃料室と機械室の大きく2つで構成。牛ふんなどで作る完熟堆肥を乾燥させ、燃焼炉で直接燃やす。熱で蒸気を発生させ、圧力差を利用して発電機で発電する。蒸気熱は堆肥の乾燥などにも活用する。乾燥堆肥を焼却してできた灰はリンやカリウムを含み、肥料として再利用できる。 メタンガスによる発電方式はふん尿を発酵させたり、ガスを脱硫、脱水したりする装置などが別途必要になる。 蒸気発電機1機で出力は約160キロワット。24時間稼働する場合、電力供給能力は1メガワットの太陽光発電に匹敵するという。来年をめどに発電機を増設し、出力は約265キロワットに高める計画。システムの価格は約4億円。同社のグループ会社のエコマックスジャパン(東京・港)を通じて販売する。 (日本経済新聞:7月24日)


酪農について考える。


牛に関することは何度か書いた記憶があるが、該当するものが見当たらなかった。他のところで使った資料なのだろうが、どこで牛の話題になるのか想像が付かない。ちょっとした思い違いというのは世の中にわんさか転がっているものだ。
牛の糞尿を利用するということなので、乳牛と肉牛の1日当たりの発生量を確認した。結果を下に示す。

■ 1日1頭当たりのふん尿量
                ふん量   ふん水分    尿量
   乳牛  搾乳牛   36~54kg   84~86%   14~17kg
        育成牛    16kg      78%       7kg
   肉用牛         20kg      81%

生き物相手の話なので、気温などの要素、つまり季節変動はつきものだが、この位という目安にはなる。さて、バイオマス発電システムで何頭の牛が必要なのかは示されていない。記事には敷地面積は約500平方メートルということしかないが、循環掲載新聞によると2000~3000頭分の牛ふんを処理できる計算とある。ということで、農林水産省大臣官房統計部の畜産統計から乳牛、肉牛の飼養頭数を引用する。

■ 乳用牛の飼養戸数・頭数
         飼養戸数    飼養頭数   経産牛頭数 1戸当たり飼養頭数
  年度      [戸]       [千頭]      [千頭]      [頭]
  2003     29,800      1,719      1,120      57.7
  2004     28,800      1,690      1,088      58.7
  2005     27,700      1,655      1,055      59.7
  2006     26,600      1,636      1,046      61.5
  2007     25,400      1,592      1,011      62.7
  2008     24,400      1,533        998      62.8
  2009     23,100      1,500        985      64.9
  2010     21,900      1,484        964      67.8
  2011     21,000      1,467        933      69.9
  2012     20,100      1,449        943      72.1

■ 肉用牛の飼養戸数・頭数
         飼養戸数    飼養頭数  肉用種頭数 1戸当たり飼養頭数
  年度      [戸]       [千頭]      [千頭]      [頭]
  2003     98,100      2,805      1,705      28.6
  2004     93,900      2,788      1,709      29.7
  2005     89,600      2,747      1,697      30.7
  2006     85,600      2,755      1,703      32.2
  2007     82,300      2,806      1,742      34.1
  2008     80,400      2,890      1,823      35.9
  2009     77,300      2,923      1,889      37.8
  2010     74,400      2,892      1,924      38.9
  2011     69,600      2,763      1,868      39.7
  2012     65,200      2,723      1,831      41.8

生乳の生産量で北海道の占める割合は約二割である。飼養頭数は、北海道は本州の2倍と考えて良い。つまり、3,000頭必要となると100頭単位で活動するのが当然な北海道なら比較のテーブルに乗るが、30頭程度の本州では成立しそうにない。TPPの影響をもろに受ける産業であるから、状況が悪い方に動く可能性もある。そうでなくても頭数は減少傾向にある。
記事の160kWを年間の九割で24時間稼働するとして、売電単価を20円kWhとすると年間売上高は2,500万円となる。システム価格の4億円と辻褄を合わせるというのは難しいことだろう。このことはすべての自然エネルギーに共通しているとも言える。システム価格を1億円にするのはどうするかから始めないと成立しない事業だと思うが、起業家は糞尿の処理コストと、循環型社会という名の社会的な価値を重く見るのだろうと想像する。
単純に、牛を飼育している人達を幸せにするものでなければ事業にはならない。広い北海道で数百頭の牛を飼育している農家にとって、最大の関心事は糞尿の処理ではないだろう。逆に糞尿の処理に手を焼いている都市近郊の農家は、飼育頭数が少ないと決まっているし、農家も分散している。もう一工夫がないと投資家は集まってきそうにない。


発電量を一桁増やせば話は変わる。まあ、どれも桁を変えればということではある。

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