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2014年5月13日 (火)

やまびこ:北米向け草刈り機が好調

「米国では、大きな庭付き戸建てに住む人が再び増えてきている。庭の手入れ機材の需要は、今後も伸びる」。草刈り機やチェーンソーなど屋外作業用機材で大手の「やまびこ」の伊藤真・上席執行役員は、こう期待を込める。 2014年3月期の売上高は、前年より16.6%増の1,038億円だった。北米での売上高が、全体のほぼ半分を占める。庭付き戸建てが多い北米向けで、家庭向け草刈り機や落ち葉を風圧でかき集める機械などが伸びた。農作業向けが主力の国内でも、消費増税前の駆け込み需要がふくらんだ。2015年3月期も米国の住宅着工件数の増加を見込み、売上高は前年比4%増と予想する。(朝日新聞:5月13日)


やまびこについて考える。


馴染みのない会社であるが、農林業機械メーカーの大手である。新ダイワ工業と共同が2008年12月に統合してできた会社である。統合されてもブランドが整理されない典型的な会社で、刈払機でみると旧社名のもとで用いられた、共立・エコー・新ダイワのブランドがそのまま使われている。やまびこというブランドはないようだが、最近の製品ではブランドと社名を併記する方法になっているようだ。整理すれば良いのにと思うのだが、そうはいかない事情もあるのだろう。せめて、価格帯や性能によるブランド区分をつくればよいと誰もが感じるところだろうが、ホームセンターの安売り広告に同じ会社のブランドが並ぶということが起きる。販売しているのは別の店であるのだが。海外からの並行輸入品もあるようだから、ブランドの管理は苦労が多いところだろう。しかし、手間を惜しんでは競合会社との差別化は達成されない。
知られていない会社なので横道に逸れた。やまびこの四半期毎の経営推移を下に示す。

■ やまびこ(3月期)の四半期経営推移 (単位:百万円)
   四半期   売上高   営業利益  経常利益   純利益
  2014-Q4    26,272     825      632      887
    Q3     24,651    1,185     1,650     1,241
    Q2     27,713    1,514     1,564     1,029
    Q1     25,212    1,496     1,869     1,499
  2013-Q4    20,386     55      596     1,392
    Q3     20,205     351     1,024      446
    Q2     23,967     832      672      309
    Q1     24,487     884      663      276
  2012-Q4    19,188    -274     -110      -76
    Q3     20,452     383      599      451
    Q2     24,082     970      698      298
    Q1     23,183    1,730     1,698     1,299
  2011-Q4    18,306     262      335      161
    Q3     19,444     357      452      293
    Q2     24,101    1,692     1,459      917
    Q1     21,530     576      324      -60
  2010-Q4    16,628    -169     -270      -403
    Q3     16,959    -498     -521     -735
    Q2     22,145     149     -199     -2,650
    Q1     21,136     694      601      199

2014年3月期の業績は良好である。第4四半期で売上が伸びているのに、営業利益が少ないのが気になるが、似た傾向が他の年度でも見られるので販売促進に関する商習慣があるのかもしれない。上期が良くて、下期が悪いというのも理由があるのだろう。2009年4月以降の比較になったのは、企業の統合による影響である。
記事では北米の状態が良いとのことなので、地域別の売上高の推移を確認した。結果を下に示す。

■ やまびこ地域別売上高推移 (単位:百万円)
   四半期    国内     北米    北米以外
  2014-Q4   11,481    10,637    4,154
    Q3     8,946    13,084    2,620
    Q2     10,123    15,037    2,554
    Q1     11,214    11,269    2,728
  2013-Q4    8,751     7,625    4,010
    Q3     8,080    10,173    1,952
    Q2     9,958    11,957    2,053
    Q1     11,834    10,114    2,537
  2012-Q4    8,781     6,870    3,537
    Q3     8,586     9,983    1,883
    Q2     9,788    11,130    3,164
    Q1     10,666     9,154    3,362
  2011-Q4    8,321     6,487    3,498
    Q3     6,899    10,065    2,480
    Q2     8,718    12,701    2,683
    Q1     9,475     9,068    2,985
  2010-Q4    7,560     6,220    2,847
    Q3     6,311     8,897    1,753
    Q2     8,034    10,995    3,115
    Q1     9,493     9,188    2,454

日本国内と北米の売上が同じくらいで、それ以外の海外が一割強というところである。北米の売上が伸びたというのは二つの四半期には認められるがそれほど大きいようにも思えない。それでも為替の影響はあるだろうから、利益面での貢献はあるだろうと思われる。2012年3月期のドルは80円弱であるのに対し、2014年3月期は100円強であるから影響は大きい。為替の変動は短期的には利益に効くだろうが、長期的にはエネルギーコストの変動があるから話は単純ではない。仮に北米売上の5%が営業利益に貢献するとすれば、四半期で500百万円の営業利益増が見込まれる。現実にこのくらいの改善が生じているが、利益率の高い商品の販売の増加があったという事情も関係していることだろうと想像される。
製品セグメント別の売上高と営業利益の推移を確認する。結果を下に示す。

■ やまびこ製品セグメント別売上高・営業利益推移 (単位:百万円)
   四半期 ≪            売上高            ≫ ≪          営業利益           ≫
       小型屋外機械 農業用機械 一般作業機械 その他  小型屋外/農業用機械 一般作業機械  その他
  2014-Q4   13,739    4,730     3,539     4,265        979        40       -193
    Q3    12,570    4,568     3,222     4,290        181        133        871
    Q2    15,374    4,904     2,707     4,729        338        -22       1,198
    Q1    13,351    5,319     2,181     4,359       1,002        24        469
  2013-Q4   11,240    3,288     2,460     3,397        -217        -13        286
    Q3      9,858    4,036     2,625     3,686        -368        81        638
    Q2    12,752    4,460     2,815     3,941        159        83        590
    Q1    12,269    5,221     2,805     4,190        254        162        467
  2012-Q4   9,919    2,860     2,900     3,510        -206        231       -300
    Q3     9,861    3,927     3,276     3,387        -117        180        321
    Q2    13,265    4,364     2,785     3,669        230        137        603
    Q1    11,919    4,667     2,171     4,424       1,254        60        415
  2011-Q4   10,108    3,040     2,038     3,120        546        118       -401
    Q3    10,944    3,456     1,504     3,542        -179        -73        608
    Q2    13,967    4,242     1,388     4,502        553       -101       1,240
    Q1    11,851    4,541     1,235     3,902        765       -114        -74
  2010-Q4   12,773     398     1,329     2,128        -347       -130        308
    Q3     8,560    3,975     1,575     2,850         714        175      -1,387
    Q2    12,108    4,564     1,202     4,270        553       -101       -303
    Q1    10,966    4,937      995     4,237        765       -114        44

やまびこは、小型屋外作業・農業用管理機械と一般作業機械の二つのセグメントで報告している。小型屋外作業と農業用管理機械は売上高では区別されているが、営業利益ではまとめて報告される。製品セグメントと具体的な製品の対応を下に示す。

■ やまびこの製品セグメントと製品例
    セグメント                 製品例
  小型屋外作業機械  .........   刈払機、チェンソー
  農業用管理機械    .........   乗用管理機、スピードスプレーヤ
  一般産業用機械    .........   発電機、溶接機
  その他          .........   補用部品、アクセサリー

売上高割合は、小型屋外作業機械が五割強、農業用管理機械が二割弱、一般作業機械が一割強で残りがその他となる。小型屋外作業機械に属する刈払機、チェンソーという製品は単価が数万円レベルのもので、農業用管理機械に属する乗用管理機、スピードスプレーヤは百万円を超える製品単価である。スピードスプレーヤは聞きなれない名前だが、人が乗って農薬などをサンプルする四輪の機械である。
決算資料を読むと、北米市場で売れているのは小型屋外作業機械であるようだ。日本と北米では製品特性に大きな違いがありそうだ。使用者の腕の太さの違いと考えても良いが、まあ庭の広さの違いも大きい。

今回の記事の利益の拡大に貢献したのは、北米市場と小型屋外作業機械であると考えて良いようだ。東日本大震災の後は発電機が増えたようだ。実際震災前の100億円強の四半期売上が300億円前後まで伸びている。しかし、一般作業機械は売上が伸びた後も赤字になっている期もあるので、判断が付かないところではある。
このブログで企業の経営状況を調べているが、この会社の情報公開は親切な方には含まれない。事業の柱になっている製品や地域が明確でない。また、その他の部門が大きな利益を計上している期もあって分かり難い。良く分からないのだが、利益が拡大して配当も増えるようだ。株価は統合後1,000円くらいで推移していたのが、4,000円まで値上がりしている。ご同慶の至りである。もう少し発表に工夫をしてくれることを期待する。


朝日新聞で扱うような会社ではないと思うが、何があったのだろうか。

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