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2014年5月14日 (水)

楽器大手ローランドが自社買収へ 416億円、上場廃止に

東証1部上場の楽器大手ローランド(浜松市)は5月14日、経営陣による自社買収(MBO)を行うと発表した。買収総額は416億円となる見通しで、実現すれば同社株は上場廃止になる。 主力の電子楽器事業の低迷を受け、非上場化による経営判断の迅速化が必要と判断した。 ローランドの三木純一社長が代表取締役を務める企業が株式公開買い付け(TOB)を実施する。買い付け期間は5月15日から6月25日まで。1株1,875円で、大株主の投資ファンドなどから買い付ける。(共同通信:5月14日)


ローランドについて考える。


以前、楽器製造の会社について調べたときに少し扱った記憶がある。重複する内容でもないので、決算関係から確認する。

■ ローランド3月期決算推移 (単位:百万円)
   年     売上高   営業利益   経常利益 当期純利益
  2014年    85,607    7,797     7,762      470
  2013年    72,310     -451     -754     -4,066
  2012年    74,825     872      136     -1,930
  2011年    78,270    2,270      909      -694
  2010年    75,034     -813      -541     -2,090
  2009年    100,506    7,430     6,050     1,047
  2008年    108,560    13,333    13,090      3,621
  2007年    95,259    9,842     10,455      3,701
  2006年    89,274    8,374     9,004      3,208
  2005年    75,906    6,742     7,337      2,398
  2004年    65,398    3,586     3,654      1,120
  2003年    63,322    2,100     2,405      -1,189
  2002年    62,032    1,908     2,183       300
  2001年    58,756    1,984     2,304       808
  2000年    61,190    5,460     5,224      3,381
  1999年    66,232    9,035     9,460      4,390

最良の決算は2008年3月期で、売上高は1,000億円を超えた。その後、売上の減少があり再審の決算では800億円を超えるまでに回復している。2000年には660億円だったから急成長したが、その後芳しくない状態が続いている。記事では主力の電子楽器事業の低迷とあるので、製品セグメント別の売上高と利益の推移をまとめた。結果を下に示す。

■ ローランド3月期決算セグメント売上高・利益推移 (単位:百万円)
         ≪  電子楽器事業  ≫ ≪ コンピュータ周辺機器事業 ≫
   年     売上高   営業利益       売上高   営業利益
  2014年    43,258    1,370       42,349    6,427
  2013年    39,889    -2,094       32,420    1,643
  2012年    42,314    -1,036       32,510    1,908
  2011年    45,815     -128       32,454    2,398
  2010年    45,486    1,489       29,547    5,940
  2009年    58,875    -1,870       41,631    1,057
  2008年    62,943    3,284       45,616    10,048
  2007年    56,927    2,659       38,332    7,182
  2006年    58,005    2,409       31,268    5,964
  2005年    49,715    1,515       26,191    5,226
  2004年    47,343     929       18,054    2,657
  2003年    48,733     458       14,589    1,642
  2002年    48,905     492       13,127    1,415
  2001年    47,005     853       11,750    1,130
  2000年    49,972    4,161       11,221    1,298
  1999年    55,414    7,281       10,859    1,754

電子楽器事業が主力といっても、近年はコンピュータ周辺機器事業が成長しておおよそ半分である。2000年頃は電子楽器事業が八割を超えたから、分散化が進んだといえる。コンピュータ周辺機器は関連会社のローランドDGが行っている。こっちも営業利益が変動している。
電子楽器事業セグメントについてはもう少し分類された売上構成が発表されているので、下に示す。また、同時にそれぞれに含まれる製品も示す。

■ ローランド電子楽器事業セグメント売上高推移 (単位:百万円)
              2014年  2013年  2012年  2011年  2010年  2009年  2008年  2007年
電子楽器         16,513  14,839  15,458  17,447  18,364  24,752  35,625  31,540
ギター関連電子楽器   7,865   7,905    8,830    9,087   9,018  11,806
家庭用電子楽器    11,349  10,171  10,645  10,804   9,628  12,016   12,542  11,109
映像・音響及び      5,231   4,552   5,211   5,896   5,714    6,924
Computer Music機器
その他           2,299   2,420   2,168    2,580   2,760    3,374
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
電子楽器事業計    43,258  39,889  42,314  45,815  45,486  58,875   62,943  56,927

■ 製品分類と具体的な製品の対応関係
  電子楽器                  ステージ用ピアノ、ドラム、シンセサイザーなど
  ギター関連電子楽器            ギター用エフェクター、ギター・シンセサイザーなど
  家庭用電子楽器              キーボード、アコーディオン、電子ピアノなど
  映像・音響及びComputer Music機器  スイッチャー、ミキサー、Computer Music機器など
  その他                    通信カラオケ機器用音源など


2008年の決算以前は製品分類の一部に違いがあったが、主力製品が電子楽器と家庭用電子楽器であることは間違いないようだ。これは伸びそうだという目立つ製品がないのは、音楽関係の産業に特徴的で、無くなっては困る製品ばかり多いということで営利事業として中長期の計画を立てるのに苦労することだろうと想像する。
ローランドのスローガンというのがあったので転記する。

   「創造の喜びを世界にひろめよう」
   「BIGGESTよりBESTになろう」
   「共感を呼ぶ企業にしよう」

株式を公開していてはやり辛いことも多い。これはどんな事業でも株主の顔色を窺わねばならない状況が生じるのは共通であるが、文化的な活動に近い企業ほどその傾向は強いだろう。ローランドの大株主を確認した。

■ ローランドの大株主 (2013年3月31日現在)
     株主名          所有株式数(千株) 発行済株式総数に対する所有株式数の割合(%)
ローランド芸術文化振興財団        2,335        9.79
シティバンク銀行               1,789        7.50
梯郁太郎                    1,507        6.32
日本トラスティ・サービス信託銀行      1,234        5.18
NORTHERN TRUST CO.            1,119        4.69
ローランド社員持株会            767         3.21
りそな銀行                   561         2.35
日本マスタートラスト信託銀行        486         2.04
香港上海銀行                 436         1.83
クレディ・スイス証券              380         1.59
    計                   10,618        44.54

問題が生じなさそうな企業名が続いている。MBOも成立する見通しがあっての話なのだろう。なお、関連会社のローランドDGは、TOBを実施してローランドの出資比率を20%に下げる計画だという。ローランドDGの方はコンピュータ関連機器で、市場から資金を調達する必要が生じる事業形態であるから、独立した動きになるようだ。


音楽をビジネスにするのは難しそうだ。

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