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2014年4月24日 (木)

バーバリー、日本を直営に 三陽商会との契約見直し調整

英バーバリーは高級ブランド「バーバリー」のライセンス契約を巡り、三陽商会と最終調整に入った。英社は契約を打ち切り、2015年7月から日本で直営店の展開を本格化する方針。主力ブランドの契約見直しとなれば、三陽商会は経営戦略の見直しを迫られる。三陽商会は英社と共同開発した紳士服「バーバリー・ブラックレーベル」など派生の2ブランドの継続を求めているもようだ。
英バーバリーは自社生産したトレンチコートなどを直営店で世界展開している。日本では1970年代から三陽商会、三井物産とライセンス契約を結び、企画、生産、販売を認めてきた。日本ではこれまで14店の直営店を運営してきたが、来年の契約終了に備えて出店を拡大する準備を始めた。三陽商会がライセンス販売しているバーバリーのトレンチコートやスーツ、ワンピースなどは英社が世界展開する商品とはデザインや素材などが異なり、直営店で扱う商品よりも価格帯は低い。英社は世界展開する商品に品質や価格などを統一することにより、ブランドイメージの再構築を目指す。(日本経済新聞:4月24日)


三陽商会について考える。


日本で販売されているバーバリーのコートのほとんどは三陽商会のものであるという。雑貨については2009年に設立されたバーバリー・インターナショナルが輸入している。バーバリー・インターナショナルの出資比率は、バーバリー51%、三陽商会29%、三井物産20%である。いろいろと複雑な関係が出てくるが、まず三陽商会の決算の推移を確認した。結果を下に示す。

■ 三陽商会12月期決算推移 (単位:百万円)
   期        売上高    営業利益  経常利益  当期純利益
  2013年     106,350     7,053     7,499     3,648
  2012年     107,630     5,855     5,933     2,144
  2011年     104,614     2,084     1,652    -1,181
  2010年     112,057     2,446     2,067      750
  2009年     114,231    -5,208    -5,455    -4,079
  2008年     133,089     4,763     4,839     2,296
  2007年     143,093     9,687    10,081     6,372
  2006年     139,108     9,730    10,065     6,087
  2005年     136,597     9,521     9,762     1,478
  2004年     138,272     9,031     9,330     5,130
  2003年     142,086    13,152    13,155     6,913
  2002年     141,612    13,295    13,042     6,363
  2001年     135,244     9,450     8,879     4,184
  2000年     125,975     5,406     4,367    -2,663

1,000億円規模の売上が、2007年以降緩やかに減少傾向にある。製品別の売上推移としたまとめたのが下のグラフである。

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売上で紳士服のカテゴリーは400億円弱で推移しているが、婦人子供服カテゴリーは2002年に870億円あったものが550億円まで下がっている。営業利益では2008年から下がり2009年に赤字化している。その後回復してきて現在に至る。2013年1月に希望退職者を募っている。230名となっているから、現在の連結社員数が1,400名なので一割を超える社員数の削減を実施したことになる。

影響の大きそうなライセンス契約である。過去の経緯を確認しよう。三陽商会がバーバリーの国内販売を手掛けたのは1965年からである。1970年からは国内のライセンス生産の契約を行う。以来国内のバーバリーの販売を拡大してきた。三井物産(当時は第一物産)との関係は、戦後のレインコート販売に深く関係しているようだが、三陽商会の主要株主には意外にも三菱商事の名前がある。2013年12月末で4,469千株(3.54%)で3位となっている。その上の2社が信託口であるからトップは三菱商事である。5位に三越伊勢丹があるものの、三菱東京UFJの名前が6位にあるから、単純に三井系とか三菱系とかいう企業ではないようだ。
バーバリーに関する契約が話題になったのは少し前にもあった。2009年に20年の長期契約となっていたライセンスを修正して、2020年までを2015年までに変更している。バーバリー・インターナショナルが設立したのはこの時である。バーバリー・インターナショナルはアジア、当然中国を意識しているだろう、への販売を行う権利が認められている。三陽商会に対しても、英国のバーバリーとは別に企画された商品であるブルーレーベルやブラックレーベルのアジア圏への販売を認められている。今回ライセンス交渉で、ブルーレーベルやブラックレーベルを守りたいと三陽商会が考えるのは、自社が立ち上げたブランドであるからであるが、英国の本社からすれば、バーバリーのブランドターゲットより若年層を狙った価格が安いラインナップはバーバリーを高く売っていくのに障害になると考える可能性が高い。さらに事態を複雑にしているのが、ブルーレーベルやブラックレーベルの権利関係が込み入っていることである。
立ち返ってみれば、2009年に三陽商会に権利を拡大することを認めて、将来の中国市場への進出の含みで計画期間を5年短くするという見直しをしたのは、英国のバーバリー社の経営状態が非常に悪かったことに起因する。三陽商会が支払うライセンス料が10%と言われるから、苦しい時に安定的に支払いをしてくれた大事な契約先であると同時に、有望な市場への進出への障害になる企業となっている。インターナショナルの設立で三陽商会独自の製品に制限を加えて、安定的かつ高価格品が期待できる日本市場に直販体制を作りたいというのが英国本社の思惑だろう。国内のバーバリー取扱い店の多くは三陽商会の傘下にあるようだから、最も現実的な仕事の仕方は、三陽商会からバーバリー扱い店を買収することになる。
日本経済新聞の記事では三陽商会の売上に対するバーバリーの比率は2~3割とされているが、過去のいろいろな記事では半分くらいとするものが多い。大きい方を採用して、500億円の売上高とするとして、販売網の買収額はその半分の250億円前後というのが相場だろう。当期純利益が34億円の会社なら、ライセンスのごたごたを残すよりこの値段で売れた方が始末が良いと考えられなくはない。まあ、相手のある話だから、簡単に良い結果が得られる訳ではないが、この辺りが適切な妥協点だろう。もっとも、バーバリー側からすれば自社ですべて賄うという方が良い。日本の商社を絡めれば可能かもしれないが、三陽商会時代より劣る販売網で、少し安い手数料では嬉しくない。

三陽商会の状況についてもう少しさかのぼって確認する。過去の売上高を下に示す。

■ 三陽商会の過去の売上高 (単位:億円)
   年    売上高
  1965      39
  1970     121
  1975     280
  1980     581
  1985     892
  1990    1,462
  1995    1,248
  2000    1,260
  2005    1,366
  2010    1,121
  2013    1,063

バブルの頃大きく成長したが、その後は横ばいかやや減といった売上高である。販売ルートとしては近年では80%前後を百貨店経由に依存している。百貨店の経営が難しいなか、百貨店での定価販売で高い利益を期待するには、高いイメージが必要になる。バーバーリーの名前を失うことは、三陽商会の商品の質が下がることとは無関係に商品性の一部を失うことにつながる。最近20年はバーバリーと百貨店に依存する会社であったことを改めなければならない局面にあるようだ。

記事に英国バーバリーと、三陽商会の扱うバーバリーは違うものだとある。確かにコートの手触りを並行輸入品と三陽商会品で比べると違っていた。英国製の方がごわごわとした手触りであった。これを並行輸入の関係かと思っていたが、製品仕様が違うと理解するのが良いようだ。日本人の男性身長が171cm (17歳、2010年)であるのに対し、英国人は178cm (25–34歳、2011年)と差がある。英国でバーバリーを購入するであろうと期待される顧客は、ミドルクラス以上であろうから、英国の高学歴は体がでかいというのが定説なので平均よりもう少し高いだろう。英国でフーリガンや露出狂の道具としてブランドイメージが傷付き、経営もその頃から悪化したとなれば、ブランドの原点回帰と再構築、そして新規の優良顧客への販売という流れに乗るのが経営のいろはというところなのだろう。日本は平均化された社会なので、所得が増えるチャンスがあり、地位を掴めば自由にブランドを選ぶということで安定した市場であると期待される。
英国バーバリーが、日本向けは英国の縮小コピーで対応すれば良いと考えるなら顧客離れが生じるだろう。日本人顧客は英国のアッパーミドルより軟弱に出来ているので、軽いコートを好むし、柔らかい手触りが好きだ。ごつごつした手触りは、力強さではなく、安い製品のイメージにとらえる。シルクが麻より優れるという単純な思想である。もちろん、現在の価格の三倍で、十分の一の販売数で良しとするなら差別化は可能だろう。海外のブランドは日本を簡単な市場と思っているようだが、簡単な市場など世界のどこにもないものである。


三陽商会には一割を英国に払わないで、良い商品を開発して販売して貰いたいものだ。

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