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2014年4月15日 (火)

生乳の取扱量推移

先日扱った生乳の取扱量の推移について、全国の数量としてまとめて考えることにする。


前回、北海道の生乳の取引状況について確認した。北海道が生乳の半分強を生産しているのだが、消費地との距離の関係もあり加工品に比重が大きくなっている。全国単位で生乳の用途別の取引数量がどのように推移しているかを確認する。資料は農林水産省の発表値による。下に結果を示す。

■ 全国の生乳用途別取引数量の推移 (月度単位)
Mil_1
飲用牛乳用が生乳の半分というレベルなのだが、この10年間で減少傾向が認められる。年間の総取引量は 7,246 千トン(2013年) となる。1993年に 8,551 千トンで以降減少しているが、それ以前だと1985年の 7,436 千トンが近い水準である。1975年が5,000、1965年が3,300 であったから取引量が順調に増加していた時代であったといえる。近年の減少傾向の理由は、飲用牛乳の取引量の減少によっている。日本乳業協会などの関係団体のコメントとしては、牛乳の消費が減少しているが、欧州に比べバター、チーズの消費量が少ないことから加工品の増加に期待しているというのが多くみられる。確かに減少しているのは、飲用牛乳用途で他は横ばいになっている。脱脂濃縮乳については増加傾向が認められるから、加工品用途の拡大のシナリオに乗っていると言えそうである。
それでは価格推移を確認した。結果を下に示す。

■ 全国の生乳用途別取引価格指数 (月度単位)
Mil_2
価格は指数化されている。2002年度の全用途別価格(消費税相当額及び乳成分加算単価を除く)の全国平均を100としたものである。
価格はこの期間でそれぞれの用途で約一割の価格上昇があった。これは配合飼料や輸送コストの上昇分を価格に転嫁せざるを得ない状況がある。また、食糧の国際価格の上昇があることも影響している。
用途別では、飲用牛乳用が最も価格が高く、ナチュラルチーズが最も安い。その差は二倍ある。最も高い飲用牛乳用が減って、その七掛けの脱脂粉乳が増えては全体として取引金額は増加しない。生乳の暴落を防ぐ為に乳牛の数量調整を生産者団体で実施するなど、価格維持を行った結果であると考える。作業手順としては、飲用牛乳用の数量見込みを立てて取引量を確定し、余った分は加工用に回すという方式だと想像される。加工用の生産設備は決まっているから引き受け量に限度はあるだろうが、加工品の方は飲用牛乳用より賞味期限が長くなるだろうから柔軟性は拡大する。しかし、高い用途から安い用途に流れることは酪農家からすれば嬉しい話ではない。

TPPで牛肉の関税が話題になっているが、乳製品の関税率も高いことから、当然こちらも問題になる。関税率を下げれば店頭価格が下がって消費者には嬉しいという図式が短期的には期待できるが、為替が円安方向に動けば輸入品が高くなるのは既に経験している。この現象が現れる懸念があるから価格の安定性に不安があるし、国際的な不安定要素があればそもそも輸入量の確保が可能かという危険因子もある。国内で生乳を生産していても、配合飼料を輸入に依存している状況では危険性を排除出来る訳ではないが、最低限のリスクヘッジとして国内生産量の確保はしたいというのは合理性がありそうである。朝鮮半島の状況や、中国の海上進出という国際的な不安要素をもって防衛強化の必要性を主張するなら、有事の際の食料確保の実現についても同様に議論されるべき問題だと考える。有事について、エネルギー確保の議論はお好みのようだが、食糧は好きでないようだ。エネルギーには原子力がついて回るので、本当に好きなのは原子力なのかもしれない。


アトムの時代から原子力が魅了されている国民なのである。

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