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2014年3月27日 (木)

インドネシア「高級車税」125%へ7割増税 欧米勢に逆風

インドネシア政府は4月から、一部の高級車に課す「ぜいたく税」を現行の75%から125%に引き上げる。輸入の抑制や富裕層の消費引き締めで貿易赤字の解消を急ぐのが狙い。ただ、対象車の数は市場の約1%にすぎず効果は微妙だ。選挙ムードが高まる中、庶民に対する人気取りとの指摘もある。欧米メーカーや日系各社の高級車ブランドには逆風となる。 「政府はぜいたく税の来月の引き上げを決定した」。ユドヨノ大統領が3月21日、短文投稿サイト「ツイッター」の自らのアカウントでこう発表。有権者の大半を占める低所得層にアピールした。 同国政府は、車両の形態や排気量に応じ10~75%のぜいたく税を課し、そのコストが販売価格に反映される。今回の増税対象は排気量がガソリン車で3リットル以上、ディーゼル車で2.5リットル以上のセダンなど。日本円で1,000万円を超える高級車ばかりで、2013年の新車販売だと約1万7,000台。販売全体(123万台)の1.4%にとどまる。 政府は通貨ルピアが急落した昨年8月、緊急経済対策の一つとして高級車のぜいたく税引き上げを明記。国民生活での重要性が低いうえに高額なため、増税で市場を引き締める方針だった。 (日本経済新聞:3月27日)


インドネシアの自動車産業について考える。


インドネシアは人口が約 2.5億人と世界第4位であり、GDPは 8,696億ドル、一人当たりGDPが 3,500ドル(2013年インドネシア政府統計) と市場としてのポテンシャルが高い。経済成長率は実質で年率で 6% を維持している。鉱業資源に恵まれ、天然ガスは日本に多く輸入されている。自動車普及の上での問題点としては、多くの島で構成されているので、道路整備が大変であるのと、熱帯性気候であるので雨季の雨の量の多さがある。広く普及するには国民全体が豊かにならないといけないが、豊かになる前に手を打つというのが商売の鉄則ではある。自動車販売台数の推移をインドネシア自動車工業会の資料からまとめた。結果を下に示す。

■ インドネシアの自動車販売台数推移
    年        2007     2008     2009     2010     2011      2012       2013
  セダン        27,381    34,300    22,100    33,128     27,002     34,221     34,199
  4X2         285,733   388,790   335,053   504,510   569,768    739,168    787,712
  4X4          1,655     2,177     2,214     3,837     5,521     7,396      6,416
  バス          1,700     2,861     2,469    4,177     3,853     4,472      4,054
  PICK UP      108,558   161,747   111,743   204,654   270,205    311,609     330,907
  DOUBLE CABIN  8,314     13,899     9,969    14,404     17,815     19,364     15,433
  低価格エコカー                                                    51,180
  合計        433,341   603,774   483,548   764,710   894,164   1,116,230   1,229,901
  ----------------------------------------------------------------------------------------
  高級カー       1,801     1,948     1,494     1,583     2,535     2,861      2,200

下に高級カーとしたのが、ガソリンで3リットル以上、ディーゼル車で2.5リットル以上のセダンと4X2、4X4の合計である。ピックアップやダブルキャブにも高級車扱いのモデルもあると思われるが、判定できないのでこのルールでまとめた。このルールでは約2,000台が年間販売されている。2007年以降大きな変化はないから、一定の富裕層ないしは外国人の駐在員の需要があるということである。
2007年のGDPが 4,322億ドルから2013年で2倍に成長していて、自動車販売台数は2.8倍に成長している。国の豊かさに連動していると見て良いだろうが、国民全部が豊かになるという理性的な姿はどの国でも難しく、富の集中が発生するのが成長段階ではよくある現象である。不満を持つのは買えそうで買えないという最も人口の多い層になるから、この不満のはけ口を作るというのが政治家の仕事になる。おそらくこの仕事は無駄な仕事であるのだが、無駄な仕事を排除していくと自分自身の存在理由がなくなる政治家が出るというのは、先進国でも途上国でも似た事情であるのだろう。
メーカ別の2013年販売台数を下に示す。若干の数量が上と異なるのは理由は不明である。

■ インドネシア2013年メーカー別販売台数
   会社名     販売台数
  トヨタ       434,854
  ダイハツ     185,942
  スズキ      164,006
  三菱       157,353
  日産        61,119
  ホンダ       91,493
  いすゞ        31,527
  UDトラックス      1,965
  プジョー        270
  その他      101,375
  ---------------------
  合計      1,229,904

記事の課税対象となるのは、トヨタで650台、日産で16台と少量にとどまる。しかし、欧州メーカの販売台数に占める割合は、BMWが16%、ベンツが24%、ジープ(クライスラー)が64%と高い。絶対的な台数が少ない故の話なのだが、将来増やす為の布石というような経営戦略もあるだろう。
ユドヨノ大統領が党首の民主党は4月9日の総選挙を前に、党幹部による汚職などで支持率が失墜しているという。庶民派の人気大統領候補を擁する野党第1党・闘争民主党などの攻勢にさらされ、富裕層を狙い撃ちにした増税で有権者の関心を引きたいという話だという見方もあるようだ。まあ、その程度の話だろう。たいした効果のない課税と、汚職とを天秤に掛けるというのが随分と国民を舐めた態度である。

2月9日に政府は日本車の輸入関税を過大に徴収しているとして、インドネシア政府を国際仲裁裁判所に提訴する検討に入ったという報道があった。政府間協議を通じて再三是正を求めてきたが、当事国同士の話し合いでは解決の見通しが立たない現状を重く見た。実現すれば、二国間の経済連携協定(EPA)で定めた国家間の「紛争解決」手続きを日本として初めて使うことになるという。これは、国家間の紛争解決は貿易相手国が事前に決めた約束を不当に変えたと判断した場合、第三者に妥当性を判断してもらう制度で、経済産業省や外務省、自動車メーカーなどが提訴に向けた協議を始めている。
関税が過払いになっているのは、排気量1500cc超3000cc以下の完成車である。日本とインドネシアのEPAでは2013年1月からインドネシアが輸入する日本車の関税を20%にするはずだったが、実際には28.1%が課されたままであった。トヨタなど日本メーカーの損失は年間20億円程度に上ったという。
決められた仕事を正しく実行するというのが非常に大切なことが分かる。これが一定レベルで達成される国が先進国で、当たり前に守られないというのが途上国の特徴と言える。怪しい数億円の資金を受けていても、途上国に比べればましと思わなければならないかもしれない。


オーナー政党は、オーナーの財布に頼るから子分は黙る。

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