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2014年2月 9日 (日)

里見が将棋女流名人5連覇 最年少「クイーン名人」に

将棋の第40期女流名人位戦五番勝負(報知新聞社主催)第3局が2月9日、岡山県真庭市で指され、里見香奈女流名人(21) =女王、女流王座をあわせ女流三冠= が、挑戦者の中村真梨花女流二段(26)に160手で勝った。シリーズ3連勝のストレートでタイトル防衛を果たすとともに5連覇を達成し、史上最年少で「クイーン名人」(通算5期)の称号を得た。
クイーン名人は23歳でなった中井広恵女流六段(44)、28歳でなった清水市代女流六段(45)に続いて3人目。
里見は終局後の記者会見で「女流名人は高校卒業の直前に獲得したタイトルで、ここまでアッという間でしたが、自分なりに成長できていると思います」と話した。今春からプロ棋士養成機関「奨励会」の最終関門である三段リーグに参加。女流棋戦を戦いながら、男性棋士と戦う女性初の「棋士」をめざす。(朝日新聞:2月9日)


女流棋士について考える。


日本将棋連盟は、「将棋道の普及・発展を図り、併せて国際親善の一翼を担い、人類文化の向上に寄与すること」を目的とする公益社団法人である。社団法人ということは利益目的でないのであるが、会員 (株主に相当する) は個人事業主だから利益を求めるのは当然のこととなる。この利益を追求する立場の個人事業主が公益法人の役員として、法人の経営を行うというところに無理が生じるようだ。大相撲の親方と似た話である。このことは別の機会に扱うことにする。
さて、将棋の女流タイトル戦がどのくらいあるかを確認して、ついでに優勝賞金を調べた。結果を下に示す。優勝金額は一部推定である。

■ 将棋の女流タイトル戦と優勝賞金
     タイトル名               優勝賞金   開始年
  マイナビ女子オープン           500万円   2008年
  リコー杯女流王座戦            500万円   2011年
  ユニバーサル杯女流名人位戦      130万円   1974年
  女流王位戦                  110万円   1990年
  霧島酒造杯女流王将戦          100万円   1978年
  大山名人杯倉敷藤花戦           70万円   1993年
         ※ 女子オープン、女流王座は発表金額、その他は推定

他にもトーナメントがあるようだが、公式タイトルというのは上記のものようである。複雑な表現になっているのは、主催団体として、日本将棋連盟の他に日本女子プロ将棋協会(LPSA)という公益社団法人が存在するということである。LPSAは、日本将棋連盟での女流棋士の待遇改善を求めて独立したものであるようだ。棋戦 (タイトル) の開催に関わることができないなどの不満もあるようだ。タイトル保持者を除けばパート労働者並みという話もあったので不満がでるのは当然ではある。何故そうなっているかというと、日本将棋連盟の会員資格というのが、下部組織の奨励会を勝ち抜いた者というのが規則の基本になっていて、女流棋士は1974年にこの資格とは別枠で始まっていることにある。
奨励会は女性の入会を排除していないから差別ではないが、女流棋士の育成の為に女流育成会を1984年に発足 (2009年3月に研修会に統合) している。この背景にあるのが、女流棋士の育成を、将棋道の普及を目的に掲げ、それを達成するのに必要な作業という認識があったのだろう。
女流棋士に対する差別的とも取れる扱いは、頂点を極めることにこそ価値があるという価値観に支配された団体であることを示している。将棋指しが博打打ちの括りに入っていた時代はそれほど前の話ではない。将棋指しを将棋棋士として社会的立場を築く努力を行うには、将棋の文化的な価値を示さねばならず、ついては普及、特に将棋のルールに疎い女性ファンの拡大というのが重要なテーマになったという想像は外れていないだろう。社団法人になるには、文化の継承と普及といった文言が必須であったのだろう。
頂点を極めるトッププロとは異なる普及活動というのは異なる性格がある。普及や指導というのは連盟の収入としては乏しく、大きなスポンサーはタイトルについている新聞社であり、新聞社が価値を認めるのは実質的にトッププロのみ、もっと狭く解釈すればタイトル戦のみである。収入面の価値に従い、将棋の技量として最強であることを最大と認識するのは理解する。しかし、これだと伝統的な真剣師の世界と違いがない。社団法人になるまでに先人が苦労した将棋棋士の職業的な地位の向上を元の世界に戻すこともあるまい。普及や指導という仕事を軽く見ている印象が残るのがこの社団法人の特徴である。

この記事に関することを検索していたら、LPSAの発足当時の話や、最近のLPSAからの退会者があった (その前に対局拒否があった) という事件が幾つも出てきた。ざっくりしたまとめとして、日本将棋連盟は女流棋士 (正会員以外のもろもろ=雑誌発行等、を含む) を切って組織のスリム化を目指したが、女流棋士の件は社会的に注目されたので修正して、切り崩しを計った結果、56名(引退女流棋士を含む)中39名が残留している。日本将棋連盟は、LPSAの独立により、少数のトップ女流棋士と、日本将棋連盟の待遇が悪いと感じる古手の女流棋士を外したことになる。少数のトップ女流棋士はうるさい存在であったのだろうから、この程度の被害は想定内というところだろう。LPSAは、トッププロが抜ければタイトルの権威が落ちるから交渉できると考えていたのだろうが、連盟内での棋士の育成とタイトル戦出場資格を準備できなかったのが致命傷となった。育成プログラムを発展させた日本将棋連盟側は棋士を増やせるが、LPSAは増やせない。LPSAが無理やりねじ込もうとするから騒ぎになり、対局拒否やスポンサー批判、退会者が発生するという事態まで発展した。LPSAは行き詰った観がある。
LPSAは育成を準備しなかった (手が回らなかったのだろう) のが致命傷だが、タイトル主催社の開拓を目指して失敗したのも筋が悪い。その後、マイナビ女子オープンと女流王位戦の主催者にLPSAが加わっても、スポンサーは両方と交渉する負担が生じるだけで嬉しくない。スポンサーを軽視する世間知らずな態度が、将棋棋士の経験している世界の狭さを示しているのだろう。LPSAとしては、日本将棋連盟がタイトル重視で行っているのだから、この部分は寄生する方法を選んで、普及や指導に近い仕事に価値を見い出すような方法が良かっただろう。だいたい、多くのタイトル戦 (男性が戦っている方) の主催社が新聞社であることを考えると、四半世紀後、少なくとも十年後には現在のような金額を支払えなくなると考えていた方が良い。これが妥当な経営判断である。
日本将棋連盟とLPSAを比較すると、社団法人の収益合計として、日本将棋連盟が2,636百万円に対し、LPSAは27百万円である。女流タイトルの賞金が男性の1/10であるが、組織の収入は1/100である。同じ土俵で争う愚を犯す理由はない。別の社団法人を維持し続ける理由も乏しいから、トーナメントプロは日本将棋連盟に復帰して、LPSAは指導・普及に限定した仕事にしていくか、解散するかだろう。


将棋指しに乏しいのは、経営感覚だろうか。あるいは世間知らずということか。男女問わず。

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