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2014年2月27日 (木)

ビットコイン取引停止

米国などで急速に普及しているインターネット上の仮想通貨「ビットコイン」の信頼が揺らいでいる。東京に拠点を置くビットコインの大手取引所(仲介会社)「Mt.Gox(マウント・ゴックス)」が2月26日未明、「すべての取引を当面停止する」と発表、顧客が口座からビットコインを引き出せなくなっているからだ。価格が一時下落するなど、他の取引所にも波及。政府や中央銀行に管理されず、自由に格安で送金できることなどで人気を集めていたビットコインだが、安全性への不安が利用者の間に広がっている。(毎日新聞:2月27日)


今後、いろいろな情報が明らかになり、法規制もされることと思うが、現時点の考えをまとめる。


近年といっては昔の話になるが、米国が金本位制を停止した1971年8月のニクソンショック以降は、管理通貨制度が維持されている。過去にも第一次世界大戦で金本位制は停止している。しかし、人や物の移動が容易になる以前の通貨は、国内での流通が主たる役割であり、世界的な貿易が行われる今日とは状況に違いが大きい。
各国(地域)の中央銀行が、物価の安定、経済成長、雇用の改善、国際収支の安定などを図る目的で、通貨の発行量を調整しているのが現在の多くの自由主義国が用いている手法である。国の中央銀行が通貨を発行するという方法であれば、その国の価値が下がる、極端な場合には破綻してしまうとなるとその通貨の価値は大きく棄損されることになる。通貨を国が保証している証券と理解すれば、国内では疑いを持つことは少なくても、外国からは疑いをもたれることは生じやすい。疑いを持たれれば為替レートに反映して安くなる。無論、好意的な評価を得れば高くなることもある。為替レートは余剰資金で小遣い稼ぎをする道具ではなく、国家間の経済的な調整機能なのである。
通貨に金という現物とのつながりがなくなってしまえば、物の価格は現品の評価ではなくなり、欲望を数値する作業に変わっていく。現品の売買が地域を拡大し、量を増やし、長期間継続することを前提とすれば、リスク回避の工夫として将来の品物を予約するし、予約すれば先物取引市場が形成される。為替変動も投資の対象となってくる。これらの行き着くところは、欲望の大きさこそが価格決定するという図式である。小麦の価格は、最終的に消費するという行為が伴うので、欲望が現在価値として確定することに収斂するのだが、対象が通貨では国が破綻しなければ無限に続くことになる。
欲望の数値化であれば、欲望は無限になるという考えも出てくるだろう。シエラレオネの国民がビバリーヒルズの住人のようになりたいと思うとか、東ティモールの国民が六本木のように暮らしたいという欲望があったのなら、国際的な欲望の総和は発散する可能性が高い。しかし、この欲望の総和は一定レベルに留まるのだろうと想像する。それも現時点の欲望の総和の遠くない大きさで。仮定の話を前提にしても仕方ないが、欲望が無限に拡大することが投機で利益が出る理由なので、欲望が一定レベルで飽和してしまえば相場で儲けることはできなくなる。風がなければヨットは進まない。
ビットコインは、国家保証というのがそれほど安心できるものではないと感じたことで普及したようだ。確かにある国が破綻して、その国の通貨が無価値になるというのは受け入れ難いものである。しかし、その国の通貨を使うというのはその程度のリスクを受け入れるということでもある。通貨発行というのは大きな既得権と読めないでもないから、すべての既得権に反対する傾向が見て取れるネットの住人には、既得権から抜け出した仮想通貨というのは心情的に支持する要素にあふれているものであったのだろう。しかし、それとて使う人間と動かすシステムに縛られるということを理解すれば、新たな既得権者が生まれるに過ぎないことも理解できる。束縛から逃れたいと思ったところに、新たな束縛の芽が出ているというのはよくある話である。支配から卒業するのは尾崎豊でも難しい。

仮想通貨から実際の通貨になった例としてユーロがある。地域共通の通貨であるユーロは18カ国で使用されていても、各国の経済力の差が大きいなかでの運用は、中央銀行が果たすべき役割が機能しないことになり不具合が生じる。これは、ギリシャやキプロスなど表面化している。ユーロの実態としては、欧州中央銀行を経由してドイツが、ユーロ圏全体を通貨という道具を用いて植民地支配しているともいえる。異論もあろうが、ドルも嫌なら、ユーロも嫌になる理由はある。
ビットコインは1,200万コインを既に発行している (発掘と言うそうだ) という。今回失ったのは85万コインというから、全体の7%に相当する。なかなかの被害額である。報道では時価評価をしているが、相場で10倍にも1/10にもなるものを今日の価格を使うのは如何かと思うが、世間の関心事はいくら損したかにあるから仕方のないことか。企業が倒産するときの債権は、残っている資産の十倍というのが相場である。預かり金を失ったということであれば十倍水準には留まらない。再建するといっているが難しい話だろうと想像する。

会社の発表によると盗まれたという表現であるが、この金額であれば内部犯行の可能性も疑われよう。情報セキュリティ上の問題としているが、お金だけを扱っている会社がセキュリティが甘いではお話にならない。そもそもビットコインの売りである手数料が安いことを考えれば、最高級のセキュリティを準備するには手元不如意であるだろう。先行きが苦しいビジネスモデルであるようだ。逆に最良のセキュリティを用意するのにどの位の資金の必要があるのだろうか。案外、国家の発行する通貨と同様の手数料が生じるかもしれない。手数料とは故のあるものである。故なき請求はあってはならないし、請求しないことも許されない。それが健全な市場の原則である。インターネット上のゲームとして動かすには少し資金が大きすぎたようである。
刑事事件になるのかどうか分からないが、社会的な関心の高さからすれば放置することもないだろう。今後の情報を待つこととする。


日本語が上手なフランス人社長は、服装が随分とだらしない。

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