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2014年2月23日 (日)

電車事故

2月23日午前1時10分ごろ、川崎市のJR川崎駅構内で、北行き京浜東北線回送電車(10両編成)が、線路上に止まっていた軌陸型運搬機(軌陸車)と呼ばれる工事車両と衝突。先頭車両が横転し、2両目も脱線した。運転士(34)と車掌(25)の男性2人が頭などに軽傷。JR東日本によると、終電通過前の線路上に軌陸車が進入したのが原因とみられ、人為的ミスの可能性が高い。国土交通省運輸安全委員会が原因の調査を始め、神奈川県警幸署も業務上過失傷害容疑で調べている。
JR東などによると、この回送電車は北行きの終電。時速約60キロで走行しており運転士が100〜200メートル手前で軌陸車に気付いたが間に合わなかった。鉄建建設と大林組の共同企業体(JV)が終電通過後、信号を赤にして工事区間に電車が入れなくする「閉鎖」の措置を取ってから、同駅北口自由通路の新設工事に入る予定だった。JR東の調査に軌陸車の運転手(43)は「間違って閉鎖していない線に乗せた。外そうとしたが間に合わなかった」と話している。閉鎖は責任者(65)が携帯端末でJR東の輸送管理システムを通して手続きしており、JR側はチェックや現場での立ち会いをしていない。閉鎖責任者は「隣の南行きの閉鎖手続きを終え、北行きの運行状況を確認していた最中に事故が起きた」と話したという。なお、同線には列車同士の衝突を防止する自動列車制御装置(ATC)が導入されているが、軌陸車の位置は検知できない仕組み。(毎日新聞:2月23日)



電車の事故について考える。


上記は京浜東北線の事故であるが、先日の首都圏の大雪による影響と思われる事故があった。東急東横線の元住吉駅での事故である。記事を引用する。

神奈川県警によると、2月15日午前0時35分ごろ、川崎市中原区の東急東横線元住吉駅の下り線ホームで停車中の電車に後続の電車が追突し、脱線した。19人がけがを負ったが、いずれも軽傷だという。雪のために停車していた前方の電車に気づいてブレーキをかけたが、止まりきれなかったという。2本の列車はともに元町・中華街行きの8両編成。追突した列車の運転士は県警の調べに「列車が見えたのでブレーキをかけたが、間に合わなかった」と話しているという。当時は雪の影響でダイヤが乱れ、列車の間隔が詰まっていた。
列車には自動列車制御装置(ATC)が搭載され、制限速度を超えた場合は自動的にブレーキがかかり、列車が駅に止まっていれば後続列車は手前で止まる。東急は「止まらなかった理由は調査中」としている。国土交通省幹部は「ATCそのものの不具合か、雪の固着の可能性がある」とみる。国の運輸安全委員会は調査官3人を派遣した。(朝日新聞:2月15日)


最初の記事の方は、作業者が誤って引き起こした事故と考えて良いようだ。ATCが軌陸車を検知しない仕組みになっているというのが疑問点なので確認する。
ATCの定義は、先行列車との間隔及び進路の条件に応じて、車内に列車の許容運転速度を示す信号を現示し、その信号の現示に従って、列車の速度を自動作用により低下する機能を持った装置をいう。ATCにはいくつかの世代と種類がある。違いの比較は本筋から外れるし、説明する能力もないので京浜東北線について記す。京浜東北線に用いられているATCは、D-ATCと呼ばれるデジタルATCである。JRになって以降採用されたもので、他に山手線の採用例などがある。
ATCでは、線路上の特定区間に列車が存在するかどうかを検知する電気的な装置 (軌道回路と呼ぶ) を使用している。軌道回路の原理は、車両の車輪と車軸が2本のレールを短絡して電気回路を構成することにある。この電気回路に装置を取り付けて列車の存在を検知する。これで列車がその線路の区間に存在していることが自動的に確認できる。これを在線と呼ぶ。ある区間に在線していれば、信号が赤になるから後続車両は侵入できないことになる。より複雑なものになっているのは、ダイヤ間隔が短くなったり車両の速度が高くなったのに対応して、精度の高い制御を達成する改良である。それでも基本となるのは、車両が存在するか否かであるのは疑いない。
京浜東北線の事故で、軌陸車というのが出てくる。軌陸車は、線路等の工事又は作業に使用する機械で軌道及び一般道路を走行できるもので保守用に用いられる。トラックをベースにして軌道走行用の装備を付けたものである。保守作業に鉄道を移動するのは制限が多いので、工事地区まで一般道で行って踏切から線路に侵入するというのが通常の方法のようである。軌陸車をATCが検出しない理由は、ATCが想定している車両に比べ車重が軽いことから、線路と車輪との電気的な接触不良が生じて確実に検出されないということのようだ。列車に最適化していれば、他のものでは検出できなくても仕方ない。検出されないことを前提にしているから、工事区間には侵入しないように閉鎖の手続きを取ることになっている。
今回の事故では一部の路線に閉鎖手続きを行ったものの、閉鎖しなかった路線があった。この路線上に軌陸車を移動させてしまい、走行車両と衝突するに至ったということである。回送車両であったので乗客がないことが幸いであったが、事故の程度としては深刻なものである。線路の点検を適切に行わないと事故発生につながるのは、JR北海道で示されている。安全を守るのに重要な保守作業が、約束を守られないで行われているとなるとどこに解を求めるか大変である。様々な作業が予想される保守作業を、機械的な設備で安全確保するというのは難しいだろう。軌陸車を作業の都合で移動させた様子からすると、そもそも鉄道上に正しく乗った状態ではなく、一時的に移動しただけなのかもしれない。事故のあった線路は作業対象ではないのだから。ATCの運用を幾ら工夫しても取りこぼしはあるだろう。つまり、作業ルールの徹底に安全を求めることになる。

東横線の事故の主役は、ATCではなくてブレーキ機構本体である。緊急ブレーキが作動する車内放送があったというから、ATCか運転手かは別にしてブレーキが作動している。にもかかわらず、衝突しているのだからブレーキが利かない状態であったと考えるべきだろう。新しい車両なので、回生ブレーキ(発電ブレーキ)の機能は付いているだろうが、緊急停止の能力には不足するだろう。雪が降ってブレーキが固着するというのは、北国でどう対応しているか学べば再発防止策は実務的に行えそうである。雪でダイヤが乱れて、おまけに事故が発生というのでは、鉄道事業者としてお粗末である。ダイヤを乱したのだから、安全運転に徹するのが本筋だろうが、まじめな鉄道社員はダイヤを守る努力をするのだろう。調査をしっかり行ってもらいたいものである。


元住吉が風通しが良くて冷えたのかと思った。

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