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2014年2月16日 (日)

「手ぶれ補正」特許侵害でシグマに15億円賠償命令 東京地裁

デジタル一眼レフカメラ用レンズの手ぶれ補正機能を巡り、ニコンがシグマに特許権を侵害されたとして、約124億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は2月14日、一定の特許侵害を認め、シグマに約15億6,800万円の支払いを命じた。
問題となったのは、ニコンが1993年に出願し、2002年に登録された特許で、手ぶれを抑えて正確な撮影ができるようにする技術の一つ。大須賀滋裁判長は「シグマの製品はニコンの特許発明の技術的範囲に属する」と判断。「ニコンはシグマ製品の販売がなければ利益が得られた」として、製品の競合による逸失利益を認めた。一方で「今回の特許だけでは手ぶれ補正機能は実現できず、ほかにも様々な制御が必要」として、ニコンの特許による利益への寄与度を低く見積もり、賠償額を抑えた。
判決によると、ニコン側は「シグマが特許を侵害する7製品で約197億円を売り上げた」と主張。シグマ側は「製品のセンサーは手ぶれを検出するものではなく、特許を侵害していない」と反論していた。(日本経済新聞:2月14日)


以前このブログで扱ったことがあるが、結論が違うので再び考える。


ニコンがシグマをカメラレンズ用の手振れ補正に関する特許で訴えた地裁判決である。実は2013年1月30日に東京地裁で判決が出ている。裁判長は今回の記事と同じく大須賀滋である。(ブログでの扱いは1月31日付け) このときはニコンの請求は棄却されている。同じ裁判長で一年前と同じ案件に異なる判決が下りたと思うが、これは特許毎に審査が分離されているからである。
二件ある当該の特許は下記の二件ではないだろうかと推定される。

  [1]  特許番号 3269223  (1993年10月15日) 超音波モータと振動検出器とを備えた装置
  [2]  特許番号 3755609  (1994年 9月29日) 像シフトが可能なズームレンズ

[1]の方が今回判決に該当するもので、[2]は一年前にニコンの請求が棄却されたものであろう。ニコンのホームページで確認すると2011年5月25日にシグマに対して特許侵害訴訟を東京地方裁判所に提起している。そこで、シグマと協議してきたとある。当然、協議をしてニコンは侵害していると主張し、シグマは侵害していないと主張した結果、裁判所に向かったという流れである。
手ぶれ補正技術は、パナソニックの特許が2003年に期限切れになってから広く使われるようになったものである。実用化するのに新しい技術を導入するからこの技術領域でも特許は出願されるし、権利化されるものは沢山あるだろう。[1]の特許を読んでみた。モータの共振周波数と振動検出素子の共振周波数が一致しないようにするという効果があるとされる。二つの共振周波数が重ならないようにするというのは、特許というより設計の基本のような気がするが、超音波モータに限定することで特許性を主張したのだろう。当局が認めているのだから従うよりない。
当該特許を使用した製品で197億円の売り上げを上げたとニコンが主張しているから、8%を損害賠償額に算出したことになる。参考の為記すにと、前回の判決では114億円の損害賠償が棄却されている (当時、ニコンが控訴予定とある)。裁判になればこのような金額算出になるが、企業間の交渉でまとめるならこの技術だけで成立しているのでないようだから、それこそ1%でもおかしくはない。重要な特許でない場合にはかえって交渉が難しい。

20年経過した特許であるから今後への直接的な影響はそれほどないだろうが、似たような特許の出願は続いているだろうから、今後訴訟がないということにはなるまい。ニコンのカメラ事業の売上高が6,000億円で、シグマが全社で300億円であればまともにぶつかると苦しい。試しに、カメラ、レンズ、防振でニコンの特許を検索すると92件、シグマに変更して検索すると4件、防振を手振れに変更してみて、ニコンが83件、シグマが1件である (重複がある)。カメラ本体側の特許出願がニコンに圧倒的に多いことを考慮しても差が大きい。シグマは控訴する可能性もあるが、裁判ばかり続けるのも不毛な話である。今後の対応を検討しなければなるまい。

特許が例外的に認められた独占権であるから行使するのは当然だというのはもっともな話である。しかし、裁判所にもっていくのは筋が悪い。同業者を相手にする訴訟であるなら、会社の会議室でまとめるのが本来の姿だろう。競合相手というのは、同じ市場を拡大させる仲間である。裁判所に行くということは、開拓した市場で得られた利益を市場の外の法律家に持っていく行動である。顧客から得た利益を市場の外に持っていくのは、顧客軽視と言われるだろう。まあ、訴訟をしなければ株主から経営者が責任追及されるだろうが。


特許制度が大きな会社に有利になるのは致し方ないが、何とからならないかと同時に感じる。

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