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2014年2月14日 (金)

日本将棋連盟

少し前に扱った日本将棋連盟について続いて考える。


将棋に関連する公益社団法人に、日本将棋連盟と日本女子プロ将棋協会(LPSA)が存在するということを前回書いた。LPSAは日本将棋連盟から独立した新しい団体である。社団法人であるので、理念や目的が掲げられている。日本将棋連盟から見ていくと、定款の第3条に目的としてこうある。

目的
本連盟は、将棋の普及発展と技術向上を図り、我が国の文化の向上、伝承に資するとともに、将棋を通じて諸外国との交流親善を図り、もって伝統文化の向上発展に寄与することを目的とする。


この後に第4条に事業が示されている。LPSAの協会理念はというと下記のようになる。

協会理念
 一 女性らしい感性を活かした日本の伝統文化である将棋の普及活動
   二 棋力向上のために対局を実施、棋道の研鑽に努め将棋発展へ寄与
   三 将棋の対局棋譜の提供及び解説・講評、ウェブ中継等の実施
   四 女の子たちが夢と憧れを持って女流棋士を目指せる育成組織の形成
   五 指導者を養成するための技術指導・マニュアル作成
   六 礼儀・作法を大切にする将棋を通した国際親善
   七 高齢者や身障者へ合わせた将棋の楽しみ方の構築、地域・社会への貢献


「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」によれば、行政庁が認定するとなっている。いろいろと条件を定めているが最初に、公益目的事業を行うことを主たる目的とすることを求めている。公益目的というのに最も整合するのが、伝統文化であるようだ。伝統文化に関係していなそうな競輪とオートレースでも、国民の健全なる余暇を推進する公益法人として公益財団法人JKAとなっているから、文化の香りは人によって受け止め方はそれぞれともいえる。JKAは特殊法人改革に関係しているという事情もある。日本赤軍のようなCMを流している中央競馬会は、政府が資本金の全額を出資する特殊法人である。儲かる方は特殊法人で、儲からないのは財団法人だという訳でもあるまい。
同じ趣旨の団体が複数存在するのを当局が認めるとは思えない。古い団体があって新しい法律に対応する計画である状態なら、新規の申請は進まないというのが役所のしきたりだろう。それでも新規の団体が認められたのは女性を重視した理念を打ち出し、日本将棋連盟から零れた部分を対象にしたからだろう。一方、日本将棋連盟の方はというと、公益社団法人に移行するのに、男女の平等や経営の透明性が求められるから、改革が必要となった。従来、女流棋士を会員として認めなかったことを改めなければならず、会員に固定的に支払われていた固定給は、組織から会員への利益供与となることから廃止しなければならないといった対応を実施した。2007年設立のLPSAに対し、女流棋士の流出防止をしなければならない事情は公益法人になる為に重要だったのだろう。それなら、分裂しない方法もあっただろうと思うのは外の人間だから思うことで、内部ではそうはいかないものなのだろう。社団法人にならないと税制上の優遇が受けられないから、切りつめないといけないと切羽詰まった話になる。選択しはないということである。結果として、新しい社団法人に移行してからは女流棋士も会員になった。理事に女流棋士が入った。外部理事に加わった。と、大きく変化した。棋士の固定給と賞与は廃止され、対局料に一本化された。これは配分の仕方の問題だから大きな変化は生じないのだろう。

さて、どちらの団体も普及を掲げている。アマチュア相手に重要となるのは、免状の発行であるがこれは日本将棋連盟にのみあるようだ。免状の発行が日本将棋連盟でも、新聞、雑誌、インターネットのサイトなどいろいろなところで段位認定をしている状況であるから、最後の発行の部分だけが日本将棋連盟に残っているということである。免状の発行収入は公表されていないが、2000年頃のデータとして収益が1億円を超えていたという。最新の金額で初段が3万円(+税)からで、六段だと25万円(+税)となる。数千人の人が免状を得ていたとしたらそのくらいの収入にはなるだろう。LPSAは2,700万円の収入しかない団体であるのだから、日本将棋連盟から三段以下、駄目なら初段以下の免状発行の権利を獲得する交渉をするのは価値があったことだろう。免状に書かれる署名が変わるから価値が下がると考える向きもあるだろうが、それはそれとして欲しいという人がいれば収入になる。若い女性向けに級位の免状発行に重きを置けば日本将棋連盟と差別化は計れる(級位:日本将棋連盟は印刷で三千円+税)。女性の地位向上を目指して、男性中心の団体の在り方を批判する考えの人がいても理解はするが、事業として継続しなければ現在に価値を打ち立てることにはならない。事業性に関する理解がないのは、どちらの団体にも共通する特徴と言える。

日本将棋連盟の収益がどのくらいあり、期末正味財産がいくらかをまとめた。この社団法人は情報公開を好まないようで、新しい法律に求められてからは行っているようだが、古いものは見つからない。ウェブ上で見つけたものを拾ってみた。結果を下に示す。

■ 日本将棋連盟収益状況推移 (単位:千円)
             収益合計      期末正味財産
  2006年3月                2,371,784
  2007年3月    2,139,230      2,324,387
  2008年3月    2,376,737      2,100,801
  2009年3月    2,336,786      2,057,034
  2010年3月
  2011年3月
  2012年3月    2,709,892      1,649,282
  2013年3月    2,636,731      1,675,699

収益は27億円である。新聞に掲載されるタイトル棋戦が収入の主なものだろう。新聞の部数が減少するなかでの対応である。新聞社のご苦労が察するよりないが、将来性はといえば明るくないだろう。注目すべきは期末正味財産である。2年のデータが無いのだが、だいぶ減少している。これを問題にしない総会というのも不思議なものである。普及や指導の重要度は高くなることになる。それなら、LPSAはそこに集中することが正しそうだ。そうしないで内輪もめしているのは、旧来の価値観で新しい団体も支配されているということだろう。


最強こそが価値だというなら、真剣師も参加する棋戦を最高棋戦にする必要がある。

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