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2014年1月24日 (金)

法務省:配偶者の相続拡大で検討チーム

法務省は1月24日、配偶者への相続拡大を検討する作業チームを設置すると発表した。家事や介護の貢献に応じた相続分の引き上げや、遺産分割した後の居住権保護の方策などを議論する。7月までに論点を整理し、来年1月をめどに民法改正を含む新制度をまとめる。
作業チームは学者や有識者、法務省民事局幹部ら14人で構成。座長には大村敦志東大教授が就任し、安倍晋三首相に近い八木秀次高崎経済大教授らもメンバーに加わる。初会合は28日に開き、来年1月まで月1回のペースで議論を重ねる。
昨年12月、結婚していない男女間に生まれた婚外子(非嫡出子)の遺産相続分を法律上の夫婦の子(嫡出子)の半分とする規定を削除する改正民法が成立。これに伴い自民党は、法律上の配偶者を保護する措置を検討するよう法務省に要請していた。(日本経済新聞:1月24日)


相続について考える。


結婚していない男女間の子(婚外子)と法律婚の子(嫡出子)の法定相続分を差別してはならないとする最高裁判決が出て、2013年12月に相続格差規定を削除する改正民法が成立している。法律婚を基本とする家族制度を維持したい考えると、経済的には婚外子も嫡出子も同等の権利となると具合が悪い。そこで現在1/2づつとなっている配偶者と子どもの法定相続分を配偶者を有利にすることで、法律上の配偶者を保護する措置を検討するよう法務省に要請したという話である。誰がというと、従来の制度を維持したい保守勢力である自民党がということになる。
相続法制検討ワーキングチームでは、法定相続の割合を家事や介護の貢献度によって決めることが検討されているようだ。配偶者の家事や介護への貢献度を客観的に評価するという難解な作業を法律に盛り込むということに無理があると感じないところに、この国の保守政治家のセンスの無さを感じるのだが如何なる結論をだすのだろうか。法律上の結婚期間が短かった場合にはどうするのだろうか。実際は二十年以上共同生活を送っていたが、この機会に入籍しようと手続きをした直後に亡くなったとしたら、法律婚以前の貢献は考慮の対象外にするのだろうか。なかなか大変な作業である。
最高裁の判決は、家族制度の維持より、婚外子と嫡出子の差別をなくす方が福祉に適うと考えたからである。子供 (ほとんどは大人であろうが) の福祉を優先することが妥当とする考えが基本にある。被相続人が遺言書で財産の分割に影響を及ぼすことは可能であるし、生前贈与することで財産を被相続人の意思のままに分割することも可能である。相続に係わる制度として、法律上運用可能なものは他にいくつも用意されている。被相続人が家族関係を重視するという思想を持っているのなら、それに従った手続きを行えば対応できる。

法的な立場は法的な手続きを要求されて当然だと考える。配偶者として相続するのを自動的に受けるには入籍という法的な手続きが求められるのは当然である。前の配偶者との離婚ができずにいて、法的な関係を構築されない事情がある場合などは、遺言書に頼るなどの対策を取らないことには仕方ないだろう。
裁判所の判断は、法律の規定に差別観念が入ることは認めないことを示したに過ぎない。自民党の一部の政治家に、家族制度に対する不当な介入というような発言があったが、家族制度について裁判所は立ち入っていない。家族制度の在り方に法律が関わるのは緩やかに行われなければならない。思想良心の自由に土足で上がりこむようなまねは、理性的な法律家には馴染まない。思想の強要というのは、下品な政治家にこそお似合いの作業である。相続という大きな財産の分割について、高々十ヵ月で作業することを求められている緊急性のある仕事である。この作業についての基本方針は、平等で透明性の高いものでなければならない。それだけのことを求めたということである。

愛人をつくり、家庭を顧みない被相続人であったのなら、その配偶者に離婚相当の財産を渡す規定を作ればよい。これは不貞行為があったという事実について、配偶者への慰謝料を本人死亡後に支払うというものだから、現在の法律との整合性も取れるだろう。それを行った後の残りの財産が相続財産になる。夫婦で作り上げたと考えられる財産なら、半分は配偶者のものとして良かろうから、配偶者に全体の1/2、残りを配偶者と子供たちで分割することになる。配偶者はこの内の1/2の権利を有するから全体の3/4を得ることになる。この後、配偶者が死亡した場合には嫡出子にのみ権利が生じる。
これですべてがカバーできる訳ではないが、数値化不能の作業を基準に用いようとする情緒的な法律を作るよりはるかに実務的である。自民党の政治家は、家族制度を守ることより、旧来の家族制度が家族の幸せにつながるという状況を目指した方が良い。こっちが難しいからと、安易に思想制限に走っても得るものは何もない。


本気で法律ができると信じるのなら、どんな社会を作りたいのか示して貰いたいものだ。

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