コンビニ、「3強時代」鮮明に 3~11月期決算
コンビニエンスストア大手5社の2012年3~11月期決算が出そろった。セブン―イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートの営業利益が同期として過去最高となった一方、サークルKサンクスとミニストップは2桁減益だった。足元で既存店売上高が苦戦するなか、消費者に訴求できる商品の企画開発力などで明暗が分かれた。(日本経済新聞:1月9日)
コンビニエンスストアについて考えてみる。
話題がなくなると、コンビニチェーンの話を書いている気がする。専門性の高い業種に比べ目に付くので関心が向き易いということとして先に進める。まず、記事の決算についての比較を行った。各社のホームページから会計年度の第三四半期のみの実績について比較した結果を下に示す。セブンイレブンはセブンアンドアイHD、サークルKサンクスはユニーグループHDの傘下にあるので、経常利益、純利益は記載していない。
■ コンビニエンス大手5社の2012年9~11月期の実績 (単位:百万円)
営業総収入 営業利益 経常利益 純利益
セブンイレブン 171,908 52,531
ローソン 121,838 19,149 19,529 11,421
ファミリーマート 85,144 10,795 12,273 5,789
ミニストップ 38,119 1,089 1,414 458
サークルKサンクス 36,999 2,339
セブンイレブンが最大手であることが分かる。利益においても他社を圧倒する成績を示している。単独の決算を比較のみでは経営状況の判断を誤る恐れがあるので、推移を確認することにする。第3四半期(9-11月)を対象にしているので、この期の過去5年の推移を各社確認した。会社毎に順に示す。
■ セブンイレブン 9-11月期の売上高・営業利益推移 (単位:百万円)
営業総収入 営業利益 営業利益率
2010 132,958 36,163 27%
2011 140,866 43,362 31%
2012 145,906 44,471 30%
2013 156,575 44,976 29%
2014 171,908 52,531 31%
■ ローソン 9-11月期の売上高・営業利益推移 (単位:百万円)
営業総収入 営業利益 営業利益率
2010 113,060 13,865 12%
2011 109,936 15,772 14%
2012 120,845 17,203 14%
2013 123,303 18,941 15%
2014 121,838 19,149 16%
■ ファミリーマート 9-11月期の売上高・営業利益推移 (単位:百万円)
営業総収入 営業利益 営業利益率
2010 69,445 8,873 13%
2011 80,292 10,131 13%
2012 82,080 10,482 13%
2013 85,058 10,214 12%
2014 85,144 10,795 13%
■ サークルKサンクス 9-11月期の売上高・営業利益推移 (単位:百万円)
営業総収入 営業利益 営業利益率
2010 51,758 5,351 10%
2011 50,959 6,855 13%
2012 51,675 8,537 17%
2013 41,572 6,641 16%
2014 36,999 2,339 6%
■ ミニストップ 9-11月期の売上高・営業利益推移 (単位:百万円)
営業総収入 営業利益 営業利益率
2010 27,220 788 3%
2011 28,891 2,117 7%
2012 31,532 1,746 6%
2013 32,147 762 2%
2014 38,119 1,089 3%
セブンイレブンの利益率が群を抜いて高い一方で、ミニストップの利益率が低い。ミニストップはイオングループで、店舗は関東と東海に多い。国内より海外店舗が多いのも特徴である。2013年12月のミニストップの店舗分布を下に示す。
■ ミニストップ 国内店舗
東北 230
関東 975
北陸 9
東海 578
近畿 179
四国 64
九州 154
合計 2,189
■ ミニストップ 海外店舗
韓国 1,913
フィリピン 386
中国 67
ベトナム 17
カザフスタン 7
インドネシア 5
合計 2,395
関東はどのコンビニチェーンも重視するエリアであり競争が激しい。コンビニエンスストアの出店もそろそろ限界かと言われる環境にあって、売上を確保する方法として各社が行っているのは独自商品の開発である。当然、それには適切な店舗規模を有することが必要となるから、飽和状態と知りつつも投資できる体力が必要となる。
一昨年四国で、サンクスであった約90店がセブンイレブンに切り替えるということがあった。業界内でのくら替えというのが、この規模でなされたのは初めてのケースだと思われる。これは店舗側の苦しさもあっての話なのだろう。
独自商品として、イオンのプライベートブランドであるトップバリューは商品数も多く、扱う店も多いことからコンビニエンスストアの独自商品にはならない。また、スーパーより高い価格で販売されていては魅力が損なわれる。独自商品の開発を行えるという意味では、上位の三社の競争力が高まる可能性は高い。しかし、三社が安泰かというと、国内の大きな消費拡大が期待出来ないとすれば、店舗拡大競争は不毛であり、消耗戦にしかならない。この先にあるのは、コンビニエンスストアチェーンの海外進出が活発になることであろう。その意味では駄目そうに見えるミニストップも、国内の負担が小さい身軽さを活かして国際化を加速する可能性もある。
国内は期待できないという産業ばかりというのは困ったものだ。
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