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2013年12月20日 (金)

送電線工事発注、東電社員が談合助長

東京電力が発注する送電線工事を巡る談合で、東電社員が事前に受注業者を指定するなど談合を助長したとして、公正取引委員会は12月20日、東電に再発防止策を講じるように申し入れた。公取委は東電グループで東証1部上場の関電工(東京)とTLC(同)が談合を主導したと認定。グループ全体で法令順守を徹底するように求めた。
公取委は20日、地上と地中の送電線工事で談合を繰り返したとして独占禁止法違反(不当な取引制限)で39社に再発防止を求める排除措置命令を出した。うち36社には総額約7億4,000万円の課徴金納付も命じた。
公取委によると、一部の入札で、発注担当の東電社員が受注させたい業者を伝えるメールを入札参加業者に送っていたことを確認した。別の社員は不自然な入札に気付いて「ばれないようにうまくやれ」と発覚しないように助言するメールを各社に送信していた。談合に参加した各社の担当者には東電OBが7人含まれていた。公取委は東電が競争入札を本格的に導入した2012年以降の約1年間に入札があった工事339件(約150億円分)で違反を認定。関電工やTLCの会議室などに各社の担当者が集まって受注調整。地中の送電線工事で関電工が談合を働きかけたり、地上の工事でTLCが各社の提示する値引き率を指定したりしていたという。東電が開く入札の説明会の場で参加業者の顔ぶれを把握した後、受注調整の話し合いが開かれた事例もあった。東電への申し入れは再発防止策や発注制度の改善を求める内容。法的拘束力はないが、発注元へのこうした対応は異例だ。公取委は「公益性が高い電力会社で、原発事故対策に国費も投じられている。談合で高止まりした工事価格が電気料金に転嫁された可能性もあり、違反行為を助長した責任は重い」としている。東京電力の話競争発注を正常に機能させる仕組みや意識の徹底が不十分で深く反省している。要請を真摯に受け止め、再発防止に努める。(日本経済新聞:12月20日)


独占禁止法違反について考える。


東京電力は地域的な独占をしている会社であり、独占禁止法に違反しているという考えも成り立つ。電線が東京電力の資産であって国の傘下であったことがないことからすると、東京電力をそのまま独占禁止法に違反するとして企業を解体しようとすれば、電力供給に影響が出て公共の利益を損なうという話だろう。この手の話は昔からあり、送電部門の分離は必要だろうと感じているのになかなか進まない。分離しても参入障壁は高いのだろうが、高いことと出来ないことの違いは大きい。参入したければ送電線を引けばよいという論理なら仕方ない。NTTが電話回線を光ファイバーに置き換えたのと同じように、高圧電線を超伝導送電に切り替えるタイミングでやれば良い。直流送電になるのだろうが、液体窒素温度だと導線は縮むし、最も大きな課題は電流密度を高めることだろう。後者は研究課題として取り組む機関も多くあるだろうが、前者は実務的には大きいが研究所で取り組むテーマとしては地味である。1kmの導線として、敷設する (当然、常温だ) のと利用する液体窒素温度 (-196度以下) ではメートルの単位で縮小するだろう。実用としては結構大変な課題である。
さて、談合である。入札を経済効果の最も高い方法だと信じる人が多いようだ。公共工事においては、入札は手抜き工事の排除が目的である。道路でも橋でも、手抜き工事でやり直しとなっても、手抜き工事を行うような工事施工会社は体力が乏しいだろうから破綻して、結局のところ無駄な費用が発生する。これを避ける工夫として入札制度があり、入札には適切な工事が期待できることを担保する受注資格を設定することになる。有資格者が妥当な金額で受注するという一連の流れに、工事が安くなる効果を期待する部分はない。高くならない効果を期待する制度に過ぎない。
複写機におけるゼロックス方式がビジネスモデルと称されて、安く受注してランニング中の消耗品やメンテナンスで儲けるという仕事が見られている。個人が扱うものの代表としてインクジェットプリンタがある。プリンタ本体は安いが、インクが高いというものである。自治体の情報処理システムの導入時にも沢山の例があり話題になった。最近は新たな工夫を取り入れたのか報道されることはなくなったようだが、姿を少し変えただけで似た状態のものは幾つもあることだろう。
工事金額の大小とは別に、この仕事を担えるのが唯一社しかないという例は世の中にある。全く置き換え不能というのではなくとも、現実的な価格と納期を考慮すればこの会社以外にないという例なら多くあるだろう。その会社が特殊技能によって経営が成り立っているのではなく、一般的な業務も同時に行い、むしろそれが会社の経営の柱になっている場合が多い。大きな規模のビルを建設する様な場合には、体力の大きな会社に、このような技能のある会社が組み合わさった工事がなされることになる。ゼネコンで談合がなされるのは、このような技能のある会社を残す為の工夫である。
談合で土建屋が大きく儲けるという図式は、四半世紀前にはほぼ絶滅しているだろう。大きな工事ならJVを設立して、社内扱いで実質談合することになったと言うのが正しい。こっちの方が性質が悪いと思うが、こっちはチェックされず、小さな受注額の方が公取委にあげられる。世の中の為になっていないと感じるところである。

戻って東京電力の話である。東京電力は実質している破綻企業であるが、電力供給を継続する為という美名の元、債券と株式を守るという本音も少し表にしつつ事業を継続している。独占禁止法に違反すれば、名前は違っても罰金を支払うことになる。破綻している会社に罰金を科しても意味はなく、電気料金の値上げに跳ね返ることになるだけである。これは究極のモラル・ハザードである。原発の廃炉の会計処理についても同じ感想を持つのだが、潰れる手続きを踏まずに活かすとモラル・ハザードが際限なく拡大する。公共性を重視するなら分社して、健康な事業体と不健康な事業体を分離して処理しなければならない。公共性を否定しないが、経営という名の活動に都合良く公共性を持ち出すことを許してはならない。

入札を増やせば手間が掛る。それで仕事が進まないのは東北の復興工事の例によく表れている。東京電力の工事については入札にしないで随意契約にしてしまえば良い。東京電力の置かれている状況を考えれば、随意契約にする代わりに受注業者と金額を公表することにすれば良い。受注額を公開されるのは経営情報が漏れることになって困るという会社もあるだろう。しかし、それこそが公共性というものである。


法人に懲役刑を科すとしたらどうなるのだろうか。

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