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2013年12月17日 (火)

泉北高速株売却案、大阪府議会で否決

泉北高速鉄道を運営する大阪府都市開発(OTK)の株式を米投資ファンドへ売却する案が12月16日午後、府議会本会議で否決された。議会の過半数を占める大阪維新の会は賛成方針を決めたが、4人が反対に回った。府は売却計画の見直しを迫られることになった。
OTK株の49%を保有する府は、米投資ファンドのローンスターに民間保有分も含めて781億円で売却する案を決め、府議会に承認を求めていた。記名投票による採決では維新、みんなの党が賛成し、公明、自民、民主、共産などが反対した。維新の4人が造反した結果、賛成51票に対し、反対53票で否決され、売却案は承認されなかった。
外資が鉄道会社を運営する案に対しては、沿線自治体から反発が出ていた。(朝日新聞:12月16日)


電鉄会社と投資ファンドについて考える。


電鉄会社に関係するので有名なところでは、村上ファンドの阪神電鉄株式の取得(2005年)、サーベラスの西武HDへの株主提案(2013年)というのがある。後者は破綻した西武グループを再生する為に投資した米ファンドが、資金を最も高く回収する方法を検討した話なので、取っ掛りの少々事情がある。投資ファンドをあざとい商売というのは易しいが、投資したものを回収するのは当然のことで、逆に資金を運用することを生業にする者が利益を求めなければ職業倫理に反することになる。このような商売は不要だとするのは一つの価値観だと思うが、利用するだけ利用しておいて、ヤクザな商売だとするのは如何かものかと思う。
阪神電鉄をもう少し振り返る。2005年9月当時、村上ファンドは阪神電鉄株を26.67%を保有し、同社筆頭株主になり、10月1日に阪神電鉄の子会社化 (株式交換によるので実質阪神電鉄株) が決まっていた阪神百貨店株式も18.19%保有していた。村上ファンドが注目したのは、阪神電鉄の保有する不動産の評価が取得時の価格で実勢と離れていて含み益が期待できること、野球チームの阪神タイガースが優良コンテンツであることなどがあったといわれる。ファンドが投資するのは回収するのが目的だから、阪神電鉄を運営していくつもりはない。公共性の高い事業であるから、更地にして売るという訳にはいかないし、資産価値も下がってしまうだろう。村上ファンドの場合は京阪電鉄での転売を期待していたようだ。阪神電鉄が鉄道会社というより、不動産業になっていたことに根本的な問題がある。不動産業に力を入れても構わないのだが、阪神電鉄の経営陣が敵対的買収に対して全く無警戒であったということは言えよう。鉄道より不動産の方が現金化し易いことを考えれば、この点については少々疑問がある。
2006年6月に村上ファンドの代表が証券取引法違反で逮捕されることで、この買収騒ぎは幕を引くことになった。結果的に阪神電鉄は、阪急HDと統合することになり今日に至っている。鉄道利用者からは、ファンドの買収に反対する意見が強かったのが特徴となっている。この点については西武HDの場合も同様である。鉄道という仕事が、営利業務として利益の最大化を目指し難い性質があるようだ。それからすると、投資ファンドが鉄道事業者を買収するというのは筋が悪い。買った後に必ずついてくる売ると言う行為は、鉄道事業会社しかなく、鉄道会社は大きな資金を出してまで買うことをしない。なぜなら鉄道では儲からないのを知っているからである。

OTKの話に戻す。OTKの業務は、泉北高速鉄道線を運営するとともに、流通センター事業を行っている。泉北高速鉄道線は、大阪府堺市北区の中百舌鳥駅から大阪府和泉市の和泉中央駅までを結ぶ大阪府都市開発の鉄道路線であり、中百舌鳥駅から和泉中央駅までの全長 14.3km で営業している。中百舌鳥駅から南海高野線に乗り入れて難波駅まで相互直通運転を行っている。
短い区間で運営する鉄道部門を買収するのは南海電鉄以外にはない話だと思うが、株式の売却先を公募の最終候補は、南海電鉄とローンスターの二社になった。入札の結果、株式の買い取り価格が南海電鉄よりも60億円高いという理由で、ローンスターが選ばれている。しかし、鉄道事業に関する情報として、ローンスターが泉北高速鉄道との乗り継ぎ運賃を10円値下げするとしている野に対し、南海電鉄は乗り継ぎ運賃を80円値下げする提案をしていた。鉄道部門は触らないで置いて、転売 (5年間の転売は禁止されている) する構想なのだろう。つまり、他に目的がある。それというのは、流通センター事業となる。流通センター事業は、長距離を走る大型路線トラックと市内を走る小型集配車を中継する役目などを持つトラックターミナルで、荷物の一時保管を行う流通倉庫などが併設された流通センターを運営している。ホームページで二つの流通センターの場所と敷地面積を確認した。下の二つである。

  ・東大阪流通センター (大阪府東大阪市)  17,063 m2
  ・北大阪流通センター (大阪府茨木市)    51,708 m2

こちらの方が転売に適しているようである。現在の土地の評価額は合わせて100億円前後だろうと想像するが、周囲の環境の変化で面積の大きな土地の用途は拡大し、価格も上昇が期待できる。こっちが本命と考える方が妥当だろう。入札に際して、他の外資系ファンドの入札もあったようだから、似た考えのファンドはいるということのようだ。

鉄道事業などの公共性のある事業を売却する場合に、5年程度の転売不可という条件では弱いと感じる。10年を超える設定をしたのなら純粋に事業会社をして買収する会社以外はかなり減るだろう。公共性を表に出す割には、そこに重きを置いた条件提示になっていない。5年で十分と考えてのだろうが、入札結果はそうでないことを示している。後になって投資ファンドは嫌よと言うのは非関税障壁だと指摘されるだろうから、もう少し慎重に検討しなければなるまい。

維新の会の内部で寝返りがあったことより、注目すべきことはありそうである。


どうやったって鉄道は南海に売るよりない。それとも廃止したいのか。

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