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2013年12月25日 (水)

日本相撲協会:親方株

日本相撲協会は12月25日、鳴戸親方(元幕内隆の鶴)が同日付で年寄名跡「田子ノ浦」を取得、変更したと発表した。鳴戸親方は、名跡証書を相撲協会が求めた今月20日までに提出できなかったが、名跡変更で処分される可能性がなくなった。初場所で綱とりを目指す大関稀勢の里らが所属する鳴戸部屋の名称も田子ノ浦部屋に変わった。
名跡変更後に会見した親方は「先代(元横綱隆の里)の名前の重圧に耐えきれなかった。力士が安心して相撲がとれる環境をつくりたい」と話した。残る未提出の親方は、協会が禁じている名跡証書が借金の担保になっている春日山親方(元幕内浜錦)と、熊ケ谷親方(元十両金親)の2人となった。協会では来年1月12日の初場所初日まで猶予を与えているが、協会幹部の中には「提出できない者は解雇も含めた処分を検討するべきだ」といった強硬な意見も出ている。また、錦島親方(元幕内蔵玉錦)が武隈名跡を取得、変更した。(朝日新聞:12月25日)


親方株について考える。


親方株の正式名所は年寄り名跡である。これは、日本相撲協会で年寄の名を襲名する権利である。相撲部屋を開くのに必須であるが、部屋を開かなくても所有できる。襲名するには幾つか条件が設定されている。有名なところは日本国籍であることである。これは外国人力士が日本国籍を取ったということで話題になる。他の条件は関取時代の実績に関わる話なので省略する。ざっくりとまとめると、現役を引退した関取が相撲協会に残る権利として、年寄を襲名するより他にないということである。
権利が発生するものであるにもかかわらず、相撲協会は年寄名跡を売買したり借金の担保にしたりすることを禁じている。協会は大相撲の興行を取りまとめる団体という性格であるから、参加資格書の売買や貸借に制限を加えたい事情は理解できる。そうは言っても、権利の生じるものが無料である筈もなく、時価で取引されているようだ。関取になっても三十代で引退して次の仕事がないというのでは困るから、年寄名跡を入手しようとするのだろう。
大相撲では同一の部屋に所属している力士の対戦は行われない規則であるから、部屋が力士を派遣するような図式で理解して良さそうである。一方で協会は部屋の経営に口出ししていない。協会が行うのは、各部屋への手当の支給だけで、経営指導は行わないし、弟子のスカウトに協力することもない。この状態を是とするなら、年寄名跡の売買を協会が制限するのは難しそうである。売買が可であれば担保性も出てくるだろう。協会が年寄名跡を買い取って、希望者に貸与する方式が良さそうに思えるのだが、取得価格に差があることでまとまりが付かない状態のようである。

年寄名跡の取り扱いは、協会を公益法人に移行するのに整理する必要がある問題である。公益法人の参加資格書が高額で取引されるというのでは、公益性に疑問符が付くというのももっともな話である。協会に残りたいと思って年寄名跡を買ってはみたものの、部屋の経営は楽ではなく、買うのに借金していてとなると適当なところで売りたいと考えるが、部屋に所属している弟子達の問題もあり、と八方ふさがりになっている図式が想像される。実際、花籠部屋は2012年に経営難で閉鎖している。有力なタニマチの存在なしには部屋が立ち行かないという状況もあるのかもしれない。役力士が所属している部屋は手当が厚くなっているだろうから問題はないが、それ以外の部屋では経営は大変だろう。確認したら、年寄名跡は105もある。全てが部屋になっている訳ではないが、過当競争になっていることだろう。
協会の改革は必要なのだろうが、部屋のあり方を大きく変えるのは難しいだろう。しかし、小さな変更を施して公益法人化したとしても、部屋の経営が苦しい状況は変わらない。部屋が豊かになるには有力な弟子の獲得が必要となると、弟子のスカウトの方法も修正が必要な課題になるだろう。親方が頭を下げて入門して貰う図式で、弟子が親方より出世することになれば指導は難しい。ドラフト会議は馴染まないだろうが、現状を是をするには問題が多そうな項目ではある。
協会が部屋の経営指導したくてもその能力がないというのが現状だろう。元関取だけで協会運営を行っていくということが、タニマチ依存体質をつくり出す諸悪の根源ではある。ここは所管の文科省も理解していることろのようで指導をしているが、協会には理解不能であろう。

スポーツの興行というのは、経済活動即ち文明に関わる話である。一方で、大相撲というのは歴史を持った文化に関係する。他の芸術やスポーツの活動で、文化活動で収益を得る話は沢山ある。文化活動は文明に寄り掛からないと拡大や、発展が望めない事情があるのだが、寄り掛かり過ぎると吸収されることになっている。日本で、野球やサッカーが文化の香りに乏しく、営利行為が表に出ることが発展の障害になっているように感じる。大相撲は文明に吸収されることなく、なんとか生き延びて貰いたいものと思うのである。


金儲けだけが人生ではないと協会の幹部は主張して貰いたいものだ。

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