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2013年12月 5日 (木)

国会運営から安倍晋三を考える

秘密保護法が参議院で強行採決されるようである。そんな訳で、これに絡めて安倍晋三について考える。


話題の法案の担当大臣である森雅子がおろおろする姿は、選挙区の支持者の皆様もご心配のことだろう。この大臣は福島の選出で、少子化対策・消費者及び食品安全・男女共同参画という長い名の担当大臣であり、弁護士でもあるのは何度も書いた。今年の五月に秘書が交通事故を起こして意識不明の重体と報道されたが、その後意識を回復したとのこと。選挙前であったので選挙への影響が懸念され話題になったが、その後、被害者の回復があったという。このことが何よりである。森の当落などと比べてはいけない。そういうことで、利害関係者の懸念は懸念に留まった。
国会の委員会でこれだけ露出量が多いと有名になっていくものだが、何とも頼りないお嬢さんという印象しか残らない。答弁よりも国会での服装に気を使われているようだが、こういう機会だから服装より、国民にどう思われるかを計算するのが政治家だろう。選挙が済んだばかりの参議院議員だから気を使わないという要素もあるのかもしれないが、この浮世離れした感じが軽さに拍車を掛ける。
連日の審議で、答弁に乱れも出て法案の印象を悪くしてしまっている。森は疲れているのなら、疲れた感じを表に出すのが良い筈だ。与党側は、野党が言い掛かりをつけているという論理に立っているのだから、誠実に対応しているポーズを取りたい。この言い掛かりの部分が重要で、野党は与党を横暴と言っているのだから、か弱い女性大臣が丁寧に説明しているのに、聞く耳持たない野党が騒ぐ図式にはめ込みたい。それならこの大臣の服装はシンプルなものが選ばれねばならない。お通夜に行くような服装を思い浮かべれば良い。野党は法案を葬り去りたいのだから、言葉の整合性は取れている。しかし、森の服装と、過剰気味なメイクときて、そのくせ反撃できないときているから、ご祝儀の無礼講状態に陥っている。それだと法案が悪いのか、担当大臣のお頭が弱いのかと国民には映ってしまうが、弁護士先生は聡明であろうと想像するから、そこで浮かび上がるのは法案の悪さとなる。チャンスを活かせない結果になってしまった。
ここには自民党の体力低下が背景にあるように思う。小選挙区による選挙制度の問題もあるのかもしれない。四半世紀前と比べて自民党が失ったと感じるところは、義理人情と老獪な交渉術だ。新自由主義の振興はノーブルな雰囲気を議員から奪ってしまったし、自らノーブルだと思っている二世議員 (三世でも四世でも) は、思考能力の低さが顔に出ているのはものの哀れを誘う。

さて、安倍の話である。以前はネオコンなどという呼ばれ方をしていたようだが、トラコンだろうと思ったものである。Neo Conservatismではなく、Traditional Conservatismだと感じたのだが、造語のつもりの後者は使用されている言葉であった。ネオでもトラでもなく、右翼の呼び方が妥当なのだろうが、政策全般を眺めるとそうとばかりも言えない印象がある。
ここ一週間で、安倍は「外国との情報共有の為に必要だ」、「充分な審議を行う」、「国民の皆様に理解して貰う」の類の言葉を繰り返し使っている。充分な審議というのは時間だけで決まる物ではないが、反対意見が多ければある程度の時間が必要なのも事実だろう。そんな話には聞く耳を持たないというのは、政局における駆け引きに興味が無いというなら一つの考え方なのだが、そうであるようには思えない。第三者機関の修正案などは、この法案を作成した段階に既に用意されていたものだろう。各党の指摘を受けて妥協と修正をしたようなポーズを取ることが、この手の法案を通過させるには必要と考えていた筈だ。他党との協議を重ねてきました結果として、ここに至った (当然、完成度が高くなったと主張する) というのは、世間にアピールするのに必要な手続きである。それを有効に活かさない手法を取る理由が理解不能である。野党の顔を立てつつ党の要求を飲ませるというのが過去の自民党であった。それが、数で済むからそれで良いという単純な政党に変わっている。
同じことを繰り返し言うのは嫌気が差すものである。それでも同じ言葉を言われる方もイライラする。他の言葉が無いのかと言われれば、頭が悪いと思われるのも癪に障る。

安倍の目指す世界は、祖父の岸信介が目指したもののようだ。首相になるのは、父親の安倍晋太郎の果たせなかった夢である。祖父の世界の実現と、父の夢の達成が目標で、自分自身の思想は特段ないようである。政治家として家柄が良いところに生まれ育ったので、ちやほやされることは当然のことと理解しているのかもしれない。政治に関するアドバイザーが居ることと思うが、内容を理解しているかどうかは分からない。今年になって話題のアベノミクスも、経済関係の政策決定に乗っかっただけだろう。前に首相になったときに、美しい国や戦後レジームからの脱却と言ったのは、岸の世界を実現することと、晋太郎の夢を達成するには最適のキャッチフレーズであった。
御曹司の唯一自覚している欠点は、学歴が無いということである。近年出身大学が多様化しているものの、官僚は東大中心であるし、政治家も東大の他は、早稲田や慶応というのが相場になっている。成蹊大学では押しが効かないが、学歴を飾るなら留学先の南カリフォルニア大学を卒業すれば良かったのだが短い期間で中退している。学歴を追うつもりはなかったようだ。その後、神戸製鋼に入社して三年後に退職して政治家になっている。留学は二年程度するのが良いだろう。大企業は政治家の子弟なら採用する。貸をつくるなら三年程度飼っておけば良い。本気で企業の仕事をしていたなら五年はいる。この三年を社会人の原点と称しているところに、お坊ちゃんのお世話に苦労した人がいたのだろうとお見舞いしたくなる。
自分自身に高度な知識と判断能力がないことを認識するのは悪いことではない。その能力がないのにあるように思うことのほうが遥かに危険だ。専門家の知恵を使うというのは、上に立つ者の判断として妥当だろう。祖父の妖怪お面をかぶって、父が座れなかった椅子に長く腰掛けようと思っていることを批難できないが、この何も考えない人は何をしでかすか分からない点で危険な存在である。考える者は、複数の選択肢があれば迷うものだが、考えない者はあるものを選ぶだけで、それを最大加速する。今回の法案について、十分審議したと繰り返すのは考えないからである。審議という概念がそもそもない。完成度の低い法案であるのも、自分自身で考えるものと思っていないから気にならない。妖怪お面をして韓国や中国を叩くことに思いを馳せるのなら、細部など気にならない。
結局のところ、安倍家のこと、あるいは少し広く考えて親類縁者のことが対象範囲の人間にしか見えない。せいぜい拡大して、山口県の支持者である。反対する者は敵である。労働組合などという概念は持ち合わせていない。役人とは安倍家の召使いである。その位極端な考えを仮定すると案外理解できる。そうであるなら、経済再生は客寄せの道具に過ぎない。数ヶ月したら混乱に陥るのではないかと心配するのである。


週刊新潮に朝日新聞を先の大戦の総括が出来ていないという記事があった。左翼運動で総括するというのは、自己批判するというのがセットになっている。自己批判したら生き残れないのは、極左なら生物学的に、左翼なら組織内での意味で共通である。右翼週刊紙ではこの辺が理解できないようだ。外部ライターが右翼的な書き方をすれば採用されるというお気軽記事なのだろうが、編集者の見識を疑う。記事が単純な発想のものばかりになるのは嘆かわしい。


神輿は軽くてパーが良い。しかし、今では担ぎ手もパーである。

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