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2013年12月26日 (木)

一票の格差:7月参院選

参議院選挙の一票の格差に関する高等裁判所の判決が出揃ったので考えてみる。


高等裁判所の判決について、判決日と裁判所、裁判長と、同じ高等裁判所における衆議院選挙に対する一票の格差の判決をまとめた結果を下に示す。

■ 参議院選挙の一票の格差に関する高裁判決予定日と衆議院選判決(×:選挙無効、 ▲:違憲、△:違憲状態)
   判決日    裁判所        参議院選裁判長 判決  衆議院選裁判長 判決
  11月28日   広島高裁岡山支部   片野悟好   ×     片野悟好     ×
  12月05日   広島高裁         宇田川基   △     筏津順子     ×
           広島高裁                         小林正明     ▲
  12月06日   札幌高裁         山崎勉     △     橋本昌純     ▲
  12月16日   名古屋高裁金沢支部  市川正巳   △     市川正巳     ▲
  12月16日   高松高裁         山下寛     △     小野洋一     ▲
  12月17日   福岡高裁那覇支部   今泉秀和   △     今泉秀和     ▲
  12月18日   大阪高裁         山田知司   ▲     小松一雄     ▲
  12月18日   名古屋高裁       林道春     △     加藤幸雄     △
  12月19日   福岡高裁         一志泰滋   △     西謙二       △
  12月20日   東京高裁         田村幸一   △     難波孝一     ▲
  12月20日   仙台高裁         木下秀樹   △     宮岡章       ▲
  12月20日   福岡高裁宮崎支部   田中哲郎   △     横山秀憲     ▲
  12月25日   広島高裁松江支部   塚本伊平   △     塚本伊平     ▲
  12月25日   東京高裁         鈴木健太   ▲     奥田隆文     ▲
  12月26日   仙台高裁秋田支部   久我泰博   △     久我泰博     ▲

高等裁判所で近い時期に似た裁判であることを考えると、同じ裁判長が担当しているかと思ったが、二つを担当した裁判長は、片野悟好、市川正巳、今泉秀和、塚本伊平、久我泰博の5名であった。これを多いと読むべきか、少ないとすべきなのかは、もう少し多いだろうという予測は外れた。地方の高裁は裁判官が少ないという間違った観念があったということだろう。判決の比較をすると、衆議院選挙については、違憲判決が多数であったものが、参議院選挙については違憲状態が多数となっている。両方の裁判で、違憲・無効という判決を下した片野悟好を除く4名は、衆議院では違憲、参議院では違憲状態と後退した判決になっている。衆議院と参議院の違いがあり、期待される役割も違うというのが、役割が法律に謳ってある訳ではないから、総合的に判断 (任期とか選挙方式とか) することで違いを見出しているに過ぎない。裁判官に求められるのは、法律 (判例も法律と同じ効力を持つ) と良心に従って判決を下すことである。この国が現在の憲法の下で活動した年月からすれば、法律と判例にはみ出さない高感度な天秤の機能を働かせれば充分である。法律の実務ということでは、このバランス取りが高度で難解な作業になっているのだろう。
衆議院選挙について一票の格差が争われ高裁の後、最高裁が違憲状態の判決を下した=判例となったことからすると、高裁という名の高感度な天秤は、違憲状態に大きく傾くだろうことに疑いはない。つまり、この憲法違反を争う裁判で、良心に従う余地は無くなったのである。片野悟好以外の4名は、その通りに反応したということなのだろう。逆の見方としては、片野悟好が変わった判事であるという説も成り立つ。片野は昭和53年 (1978年) に千葉地裁判事補に始まり、平成16年 (2004年) に東京高裁の判事になるという履歴である。判事に特徴的な三年前後で異動するというのを繰り返している。TMI総合法律事務所というのが一票の格差を問題にしている総本山と言われるようだが、片野の元上司が在籍していているという話も見かけた。判事の世界は狭いから関係者がいることは多いだろうと思う。この手の話は楽しむには向くかもしれないが、自分の権利の話を考えるには不快でしかない。過去に関わった裁判と判決からすれば左翼判事を区分されるだろうとは思う。左翼が悪くて、右翼が良いという理屈は理解できないから、左翼も右翼もいて良いが、余り極端だと困ることがありそうだとは思う。参議院選挙の判決時に63歳とある。主に民事畑を歩んできたそうだが、刑事より民事の方が多いから当然ではある。この程度の情報では判断のしようもない。

判事をしている法律専門家からすれば、違憲状態は非常に重い判決であり、緊急に対策しなければならないと感じるのだろう。しかし、政治家には無効判決さえでなければ是正しているとアリバイ作りをして置けば充分とする輩が少なからずいるのだろう。政治家が選挙で選ばれた国民の代表であるのに対し、判事は専門的な試験に合格したキャリアでしかないという認識である。せめて最高裁判事については、国民が認定したものだとしたいものだと思う。その為には最高裁判所裁判官国民審査は修正する必要はあるだろう。当選した政治家が肩で風切るつもりでも、その選挙が公正な制度でなく、選挙には資金の豊かさで大きな差が付き、世襲によって優位に立てるというのであれば、国民の代表と呼ぶに相応しくはない。試験に合格したエリートにもう少し箔を付けてあげないと、下品な育ちの政治家には分かって貰えないだろう。

政治の状況を鑑みれば、違憲判決が妥当であると考える。一票の格差をなくす努力と、それに効果が有ると思われる制度の立案がなされていない状況では、違憲・無効の判決があって当然だと考えるからである。無効となると混乱が生じる懸念が議論されるが、不適切な議員選出方法を放置して世の中が混乱することのほうが、公共性が損なわれる問題はないだろう。どこか議員を特別な種類の人間にしかならない存在としてしまっているのではないかと感じる。議員が国民の代表であるのだから、アマチュアであって当然である。しかし、その位置に満足することなく改善を求めて活動するのは当然求められる。選ばれた瞬間からプロフェッショナルな仕事をするのであるから。
最高裁は違憲状態という判決を下すのであろうが、ぬるい判決は自身の立場を軽くする効果しかないと認めなければなるまい。世の中での存在価値というのは、主張することからしか始まらないのだから。


汚い金の綺麗な使い方を知っているのがプロだと都知事は誤解しているようだ。

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