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2013年11月17日 (日)

オハラのハードディスク関連の業績

コニカミノルタのHDD用ガラス基板からの撤退によるオハラへの影響について再度考える。


まず、オハラのHDD用ガラス基板素材の納入先を確認する。近年は業績が悪いことが予想されるから少し前の状況を調べた。2010年7月付けの国内主要納入先をオハラのホームページで確認した。その中に、コニカミノルタガラステックとシチズンセイミツがある。この二社がハードディスク用のガラス基板を加工している会社である。これ以外は光学ガラスの納入先であった。オハラの株式公開は2005年10月21日であるので古い資料を探すのは難しい。公開当時の納入先であればシチズンセイミツがない可能性がある。
各社の公称生産能力の推移を下に示す。

■ 各社のHDD用ガラス素材・基板の公称生産能力 (単位:万枚/月)
   年    オハラ  コニカミノルタ  シチズン
  2006    800     200      100
  2007   1,100     200      150
  2008   1,400     300      200
  2009   1,400     400      200
  2010   1,800     900      200
  2011   1,800    1,600      200
  2012   1,800    1,600        0

シチズンは2012年3月にこの事業からの撤退を発表している。オハラが提供するのは、ガラス素材であるので、加工側のコニカミノルタ、シチズンの能力の1.5倍から2倍の能力があると思われる。前回扱ったオハラの売上推移から推定するに、発注量の変化が非常に大きいことから、ガラスの在庫を沢山持っていて、HDDの売上変動があると発注が止まるというようなことが起きていたと想像させる。
コニカミノルタはガラス素材の特許を出願するなど、ガラスの溶解を行いオハラと競合する部分もあったと考えられるが、オハラの売上は継続していて規模の拡大に向けた投資も行っていることからすると、コニカミノルタのガラス素材の生産量は限定的であったと考えられる。


視点を変えて、オハラの第3四半期決算の発表と、通期予想下方修正によるコニカミノルタの株価への影響が9月13日にあったので二件示す。

■ コニカミノルタ 820 -30売り先行
HDD基板材で連合を組んでいるオハラが前日に第3四半期決算を発表、通期予想下方修正で株価下落が目立つ展開になっている。HDD基板材のシェア低下なども業績低迷の要因となっており、同事業は減損を計上して生産能力を引き下げている。同社にも警戒感が連想される状況となっているようだ。(kabutan.jp:市場ニュース‎)

■ コニカミノルタは大幅に3日続落
HDD基板材で連合を組んでいるオハラが前日に第3四半期決算を発表、通期予想下方修正で株価下落が目立つ展開になっている。HDD基板材のシェア低下なども業績低迷の要因となっており、同事業は減損を計上して生産能力を引き下げている。同社にも警戒感が連想される状況となっているようだ。(msn.com)

市場関係者は影響を警戒している。実際に、その後10月30日にこの事業からの撤退を発表している。コニカミノルタの株価は、記事の通りオハラの決算発表直後下げたものの、事業撤退の発表の後それ以上に株価を上げている。コニカミノルタの事業状況を注意している投資家からすれば、この事業はお荷物になっていているとの判断があったのだと思われる。コニカミノルタは連結で8,130億円の売上があり、ガラス基板の売上は100~500億円の間だろうと想像され、利益も薄いか近年では赤字であったであろうことを考えれば、投資家は好感材料と取っておかしくない。
シチズンがこの事業から撤退した際も、シチズンからは発表はなく、その設備が譲渡されることで公表されていた。発表しないのは、事業全体への影響の度合いで判断されるから、シチズン (連結売上高 2,700億円) としては100億円に満たない事業のことを殊更に扱うことはないということであろう。
しかし、オハラは売上高300億円規模の会社で、その会社にとって数十億円の事業が無くなるかどうかとなると深刻な話である。オハラのキャッシュフロー計算書から、営業活動、投資活動、投資活動の内の有形財への投資活動分の推移を下に示す。

■ オハラのキャッシュフロー (単位:百万円)
   年    営業    投資    (有形)
  2004   4,061   -3,596   -3,471
  2005   5,114   -5,091   -1,895
  2006   7,317   -3,595   -3,737
  2007   4,834   -5,826   -4,418
  2008   4,652   -4,272   -5,478
  2009   3,572    -896   -1,753
  2010   4,307   -2,418   -2,548
  2011   -2,305   -2,840   -1,762
  2012   2,745   -2,218   -2,700

HDD関係の投資は発表上は隔年で20億円前後行ったと発表されている。この投資は光学ガラスへの投資に比べ大きいことが分かる。オハラが行った最新の投資は、2009年12月17日で、1,400から1,800万枚/月に三割増強するとなっている。HDD関連の売上は2010年は 5,346百万円 あったものが、2011年には 2,135百万円 に減っている。投資した設備が稼働するタイミングで減少に転じたことになる。翌年は更に 1,327百万円 に減っている。この投資額は13億円とされるが、とても回収できる状況にない。オハラは減損損失として、18億円を計上しているが、コニカミノルタの撤退が決定し2007年以前の投資分の償却も済んでいないものもあるだろうと考えると、この処理にはもう少し時間が掛ると考えられる。
オハラが他社にガラス素材の販売が適えば回収は可能となるが、HDD用のガラス基板は市場環境が悪く新規の投資は期待できない。当然、新規参入の可能性も乏しい。オハラの光学ガラス用に転用するのも、光学ガラスの生産量が多品種で合計年間十トンくらいだろうと思われるのに対し、HDD用ガラスは月に百トンを超える量であり適さない。他のガラス用途への転用というのは、飲料用などの容器は樹脂製品と競合して環境が悪く、建材等の板ガラスには規模があまりに小さい。また、これらのガラスは低価格で光学ガラス系の仕事とは異質である。これらを考えると、オハラの投資した設備は暫く重荷になりそうである。


景気の悪い会社の分析は気が滅入る。

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