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2013年11月 3日 (日)

2.5"HDD市場の推移とオハラ事業

コニカミノルタのHDD用ガラス基板事業からの撤退によるオハラへの影響を考えてきた。そこで、2.5"HDDの出荷がどのように推移してきたかと確認して、コニカミノルタ、オハラの事業について振り返ってみることにする。


2.5"HDDの本格的な量産が始まったのは1991年である。このサイズが提案された直後は、3.5"との寸法差が小さく、より小さい1.89"の方が使い分けができて有望とする説もあった。その後、1.89"は主流とはならず2000年頃から再び量産となるも現在は衰退している。1"HDDもポータブルオーディオ用として注目され急増したが半導体フラッシュメモリに置き換わってこれも短期間で市場から消えた。2.5"HDDの出荷数と、オハラ (コニカミノルタ含む) ガラス素材を使用したガラス基板の推定出荷数の推移、2.5"HDD量産会社を下に示す。

■ 2.5"HDDの市場規模とオハラ材料を用いたガラス基板出荷数(推定)の推移 (単位:百万)
   年     2.5"HDD  オハラ出荷数    2.5"HDD量産会社
  1991      0       0            東芝
  1992      1       0
  1993      2       0
  1994      5       0
  1995      9       2            IBM、日立
  1996     12       5            富士通
  1997     16       8
  1998     17       9
  1999     22      11
  2000     32      15
  2001     33      15
  2002     36      18
  2003     49      25            Seagate
  2004     73      35
  2005    109      38            WD、Samsung
  2006    132      38
  2007    167      46
  2008    216      53
  2009    265      44
  2010    304      51
  2011    268      41
  2012    253      33

HDD会社が増えると出荷台数が増える。増えると見込まれるから新規参入があるとも言えるので、鶏と卵の話になってしまうが、増えることは確かである。逆に、参入会社が増えたが市場が無くなった例として1"HDDがあるから、ことは単純ではない。会社数が増えると競争が激しくなるが、IBMは2003年に日立に、富士通は2010年に東芝に、Samsungは2011年にSeagateに、日立は2011年にWDに統合され、現在では会社は三社になっている。
オハラのガラス材料は1995年に昭和電工でメディアに加工され、東芝のHDDに搭載されるようになった。最初は結晶化ガラスであったが、その後、ミノルタ設計のガラスに主力は移った。どちらのガラスもHDD会社で採用されたのは東芝のみで、それ以外の会社では継続取引に至っていない。
基板加工は倉本製作所 (2000年に東洋鋼鈑に譲渡、2006年に撤退) と、三井金属プレシジョン (2001年にミノルタに吸収) が行っていた。この他に、シチズンセイミツが2005年から2012年まで製造している。これらの合計が上記のオハラ出荷数になる。ガラス素材はオハラ製造分の他に、コニカミノルタの製造分があるが合計した数字で示した。
オハラの決算報告でも2008年以降は、悪い情報が多くみられている。しかし、オハラは2008年(1,100→1,400万枚/月)、2010年(1,400→1,800) と設備増強を行っている。数量の回復はあったものの、取引先がコニカミノルタ→昭和電工→東芝と限定的であるのに、投資を行ったのは客先の数量要求が期待できるとするのに十分な情報があったと考えられる。しかし、昭和電工はHOYA (業界のディファクトスタンダード) からガラス基板を買うし、東芝以外のHDD会社にも販売する。オハラ―コニカミノルタのラインは東芝の事業拡大に依存する歪な形状であった。

コニカミノルタの発表では、2.5"HDDの主な販売先であるノートPCが、タブレットPCに市場を奪われたことを理由にしている。しかし、実態としては危険な取引環境を改善しなかった (できなかった) 会社が、小さな環境変化で振り落とされたということに過ぎない。ネットの株式の書き込みにこのことを書く株主がないのは、この事業が数年前から悪い状態であったのだと想像させる。それでも、無関心過ぎると思うのである。


四半期決算でHOYAのガラス基板も不調とあるので、市況が悪いのは確かである。

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