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2013年11月21日 (木)

最高裁大法廷:1票の格差 2012年衆院選は違憲状態

「1票の格差」が最大2.43倍となった昨年12月の衆院選を巡り、二つの弁護士グループが憲法違反だとして選挙無効を求めた16件の訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷=裁判長・竹崎博允長官=は11月20日、小選挙区の区割りを「違憲状態」と判断した。請求自体は棄却した。格差は憲法の要求する選挙権の平等に反しているものの、是正のために必要な期間内にあると結論づけた。
最高裁は2011年3月、最大格差2.30倍の2009年衆院選を「違憲状態」と判断。47都道府県に1議席ずつ割り振り、残りを人口比で配分する「1人別枠方式」の廃止を求めた。昨年11月の衆院解散直前、1人別枠方式を廃止し小選挙区を「0増5減」する選挙制度改革関連法が成立したが、区割りは間に合わず選挙はそのまま実施され、格差は拡大。今年3月の16件の高裁判決は、史上初の「違憲・無効」2件のほか、「違憲・有効」12件、「違憲状態」2件と厳しい結果になった。一方で、6月に決まった新しい区割りによって、格差は1.998倍(2010年国勢調査の人口ベース)となり、区割り審設置法が求めている2倍未満となった。
「0増5減」法案審議時に内閣法制局長官だった山本庸幸裁判官は審理から外れた。(毎日新聞:11月20日)


各高裁での判決については細かく追ってきた。その判決についての最高裁での判決が出た。高裁の多数判断は違憲であったが、最高裁は違憲状態に留まった。各判事の判断と出身、任命年、出身大学、前職を下に示す。
(△:違憲状態、▲:条件付き違憲状態、×:違憲、―:審理せず)

■ 最高裁判所判事と今回の判決
 判断   氏名       出身    任命年          出身          前職
  △ 竹崎博允(長官)  裁判官 2008年11月25日  東京大学法学部卒  東京高等裁判所長官
  △ 桜井龍子      行政官 2008年9月11日  九州大学法学部卒  労働省女性局長
  △ 金築誠志      裁判官 2009年1月26日  東京大学法学部卒  大阪高等裁判所長官
  △ 千葉勝美      裁判官 2009年12月28日  東京大学法学部卒  仙台高等裁判所長官
  △ 横田尤孝      検察官 2010年1月6日   中央大学法学部卒  次長検事、 第一東京弁護士会所属弁護士
  △ 白木勇       裁判官 2010年1月15日  東京大学法学部卒   東京高等裁判所長官
  △ 岡部喜代子    学者   2010年4月12日  慶應義塾大学大学院 慶應義塾大学大学院法務研究科教授
  × 大谷剛彦      裁判官 2010年6月17日  東京大学法学部卒   大阪高等裁判所長官
  △ 寺田逸郎      裁判官 2010年12月27日  東京大学法学部卒   広島高等裁判所長官
  × 大橋正春      弁護士 2012年2月13日  東京大学法学部卒   第一東京弁護士会所属弁護士
  △ 山浦善樹      弁護士 2012年3月1日   一橋大学法学部卒  東京弁護士会所属弁護士
  △ 小貫芳信      検察官 2012年4月11日  中央大学大学院    東京高等検察庁検事長
  ▲ 鬼丸かおる    弁護士 2013年2月6日   東京大学法学部卒   東京弁護士会所属弁護士
  × 木内道祥      弁護士 2013年4月25日  東京大学法学部卒   大阪弁護士会所属弁護士
  ― 山本庸幸      行政官 2013年8月20日  京都大学法学部卒   内閣法制局長官

前回の衆議院選挙についても一票の格差が争われている。この訴訟に関わっていないのは大橋正春、山浦善樹、小貫芳信、鬼丸かおる、木内道祥、山本庸幸(審理せず)である。それ以外は前回判決に関わっているが、この9人の内、大橋正春以外は前回と同様の判断をしている。新しい6名では、違憲が2人、違憲状態が3人となって拮抗した判断になっている。前回のそれぞれの判断を下に示す。

■ 2009年衆議院議員選挙の一票の格差に関する最高裁判断
  △ 違憲状態    竹崎 博充 (長官)
              那須 弘平
              桜井 龍子
              竹内 行夫
              金築 誠志
              須藤 正彦
              千葉 勝美
              横田 尤孝
              白木  勇
              岡部 喜代子
              大谷 剛彦
              寺田 逸朗
  × 違憲       田原 睦夫
              宮川 光治
  ○ 合憲       古田 佑紀

前回の裁判は、12人の多数意見によって違憲状態となっている。反対意見を記す。

■ 2009年の反対意見
【古田佑紀】 1人別枠方式は国会の裁量の範囲内の問題で、選挙区割りが憲法の要求に反していたとはいえない。
【田原睦夫】 1人別枠方式に対する疑問は以前から指摘され、合理的是正期間が過ぎている。選挙区割りは違憲だ。
【宮川光治】 1人別枠方式の合理性は失われ、選挙区割りは憲法に違反する。国会が立法措置を講じない場合は、
         将来の訴訟で選挙を無効とすることがあり得ることを付言すべきだ。

違憲と判断した田原と宮川は退任している。合憲も古田も退任しているから、二回の判決に関係したのは違憲状態であった判事のみであった。違憲状態と一度判決すると、違憲という判決を出すには、相応の理由というか、環境の変化があったと納得できないと別の判決は出せないというのが判事という職業に就いている者の特性なのだろうかと感じる。
今回の判決での反対理由は、選挙無効としないものの違憲であるとするものである。鬼丸かおるの意見は、『できる限り投票価値を1対1に近づけるべきであると考える。投票価値の平等を保障するには1人別枠方式の廃止にとどまらず、全選挙区を比較して見直す膨大で複雑な作業が必要で、相当長期間を要する』というものである。批評家の意見かと思ったが、判事の意見であった。

鬼丸の相当長時間を要するというのは、その通りなのだが、長期間掛るから早く着手しなければならないというのが実務的な対応だろう。違憲状態というのは、法律家の感性としては深刻な状態と理解するのだろうが、野蛮で低能な政治家には何もしなくて良いと聞こえると考えるよりない。それが2009年選挙に対する国会の作業に表れている。この野蛮人に対して、最も頭が良い選ばれた者だと信じている高裁の判事は、違憲だと判決を言い渡したのである。最高裁の判事は、国権の最高機関としての国会を額面通りに理想的な意味で解釈している。それは純粋無垢とも言えるが、欲望に塗れた数々の裁判を扱ってきた経験があるなら、綺麗事で済む世界ではないことは承知 (行政官出身を除く) しているだろう。
今回の判決の影響は、高裁で現在扱われている参議院議員選挙についての一票の格差訴訟に大きな影響を及ぼすだろう。判事の世界は偉くなるには、上の意向に従うのが大原則である。最高裁に逆らうようでは高裁にも行っていないだろうから、高裁の判事というのは従順な性格の持ち主が多いことだろう。この先、違憲状態という判決一色になると思われる。
一票の格差が傾向として都市部で軽く、地方で重い傾向がある。2倍あっても良いというのであれば、逆に都市部で重く、地方に軽くても良いことになる。東京都は人口割で見たら全体の一割であるが、新しい選挙制度で二割を占めても合憲ということになる。東北は東京都より人口が少ないが、東京都で20人、東北地方で8人といったら自民党でも反対するだろう。国の基本になる制度のあり方を、自分の都合の良いようにしようとする考えが卑しい。判決に対する自民党議員のコメントにこの傾向を認める。

一票の格差で裁判無効の判決を下しても、格差を解消した選挙制度の立案に時間を要するから実現性がない。あるいは、選挙無効により失職した議員が多く、様々な作業が滞ることで格差があることより深刻な状況が発生する。このようなことは事実その通りであるが、最高裁が判断しないことは、この不適切な状況を妥当だとするお墨付きを与えることであるという認識を持たなければならない。最高裁が世の中を良くすることはまったく出来ないと考えるが、これ以上悪くしない抑止力になることはあると信じる。抑止力さえも放棄した。この判決から見えてくることは、最高裁も難しい問題に対して思考停止状態になってしまったということである。単純に白黒付かないことを考えるのは、国会だけに委ねられた機能ではない。その点で今回の判決には、決定的な間違いがあると感じる。


その内、最高裁判事も政治家に都合の良い人を選ぶようになる。

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