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2013年10月 6日 (日)

与野党、消費増税や経済策巡り論戦

与野党の政策責任者は10月6日のNHK番組で、消費税率8%への引き上げと政府の経済対策を巡り論戦を繰り広げた。自民党の高市早苗政調会長は「賃金上昇をいかに誘発するかが大事だ。中小、零細企業対策の視点は忘れない」と理解を求めた。公明党の石井啓一政調会長は「中小企業対策、地域活性化で提案していきたい」と語った。
民主党の桜井充政調会長は復興特別法人税の前倒し廃止に触れ「中小企業の大半が法人税を支払っておらず、効果は全くない」と批判。日本維新の会の片山虎之助国会議員団政調会長は「経済対策は必要だが、自民党のばらまき体質が心配だ」と指摘した。みんなの党の水野賢一政調会長は消費増税の凍結を主張。共産党の小池晃政策委員長も増税撤回を要求した。(日本経済新聞:10月6日)


消費税の話である。


税率50%を主張しているので、数%程度の議論に加わる気は無い。問題なのは、社会保障対策として必要だとして増税しているのに、税の公平性の為に手当を出すことをしようとする考え方である。公平性を実現するのは簡単なことではない。ある程度以上の公平性を実現するのは不可能だと決めつけても良い。まず手当てしなければならないことは大きな不公平性の是正である筈だ。
現在最も大きな不公平性は、社会保障の年代格差にある。公的年金は年金という言葉のイメージとは異なり、支払した金額を年齢に達したら受け取るというものではなく、現在収入のある人が、収入がなくなった立場の人に支給する富の再分配の仕組みである。積み立てているのではなく、再分配だと認識しないと積み立てたのに貰えないのかという意見が出てくる。再分配は税金で行うのもあるだろうが、払い込んだ人が受け取る制度の方がインセンティブは働くだろうし、全体としての据わりも良い。
この公的年金制度は払っていた時期と受け取る時期に時間差が大きいから、社会環境の変化による影響を強く受けることになる。繰り返すが、払った金額を運用してある時期に受け取るのではなく、払ったものはその時期に支払われてしまうから、受取るのはそのとき働いている人が支払ったお金である。払う時期と受け取る時期の間を25年と仮定すると、75歳、50歳、25歳の事情の違いを比較することになる。祖父母世代と親世代と子供世代の違いにどう折り合いを付けて行くかということである。年代構成に凸凹がないなら問題はないが、今日のように少子化が問題になっている状況では、50歳が年金受給する頃には25歳の負担は大きくなり、0歳の世代では制度が破綻する状況が視野に入ってくるだろう。
消費税増税をこの富の再分配システムを今後も継続する為に行うというのは、世代間に存在する大きな不公平性を改善するのに貢献するであろう。それを目的にしているのだから、そのことだけに仕事をすれば良い。低所得者や年金受給者への補助金の支給は意味がない。現在の年金支給額を減じることも必要だが、それだけでは制度の維持が困難だから行っているのに要らない手当をしている。消費税増税が昨日と今日との不公平に着目しているのに対し、消費税増税は今日と明日の不公平性に着目しているのだから議論がかみ合うことはないだろう。何もしないで憎まれるのが最善である。
法人税の減税も上がっている。従業員への給与を増やした会社には法人税を減らすという話である。富の再分配を企業に委ねる行為であるが、効果は極めて限定的だろう。理由は簡単で、法人税を納めている企業が1/5程度に過ぎないからである。払っていない企業に減税はない。つまり4/5の企業にはインセンティブは働かない。

社会保障制度の維持の為に増税するのであって、税の負担方式の見直しをするとは誰も言っていない。税収は少ないのだから、歳出削減は継続して行わなければならない。消費税が増えたから道路を造ろうとはならないのである。この手の政治家は頭が古すぎる。現在ある道路の維持管理に必要な費用だというなら理解するが、それだけでも大きな財源が要るだろう。1970年頃の建造物は皆補修対象となる。1990年以降が景気の後退で少ないことを考慮すればこれから20年は補修作業ばかりが続くことになる。つまり、新しい建設の資金などどこにもない。
消費税増税による景気の後退を気にしているようだが、増税すれば景気の減速は免れない。増税とはそういうものである。増税して景気が良くなるという理屈はないから、最小限にと言っているのだろうが、恒久的な手当てをしてしまっては増税する価値はないのだから、一時のものでしかない。それならやらないほうが潔い。

国民が消費に動こうを思うには、所得を増やすのが大切だがそれだけで完結するものでもない。将来への不安があれば貯蓄に回すだろう。将来への不安を感じさせるのはこの国の明るい未来が描けるかにかかっている。逆に不安を感じさせなければ、悪い方には向かわないことも期待できる。つまらない対症療法より、誠実な説明による理解を求めた方が景気の為に貢献できるだろう。


政治家が甘い言葉しか吐かないときは、甘い言葉の中に苦いものが混じっている。

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