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2013年10月19日 (土)

伊豆諸島の事情

伊豆大島で、台風26号の豪雨による大規模な被害 が発生している。島部の事情について考える。


災害発生に関連して、防災対策が話題になるが小さな島では少し事情が異なる。この辺りの事情についての理解が不足して、というより、全くの無理解のままで大学教授や評論家が発言しているのを見聞きする。正しく状況を理解することから始めないと、間違ったところへ進んでしまう。
ということで、伊豆大島が今回の対象なので、伊豆諸島について状況を理解することから始めることとする。伊豆諸島の島名と面積、行政区分と人口を下に示す。

■ 伊豆諸島の人口・面積  (2013年4月現在)
    島    面積(km2)   町村   世帯数   人口    男    女
 ○ 大島     91.1     大島町    4,698   8,213   4,101  4,112
    利島     4.1     利島村     173    311    166   145
 ○ 新島     23.2     新島村    1,116   2,398
    式根島    3.9       新島村     261    532
 ○ 神津島   18.5     神津島村   869   1,971   1,000   971
 ○ 三宅島   55.4     三宅村    2,722   2,722   1,453  1,269
    御蔵島   20.6     御蔵島村   173    311    165   143
 ○ 八丈島   69.5     八丈町    4,464   7,990   3,936  4,054
    青ヶ島    6.0     青ヶ島村    110    169     98    71
 *注 : ○印は空港のある島を示す。

伊豆七島という呼び方がある。これは、大島・利島・新島・神津島・三宅島・御蔵島・八丈島が江戸時代の主な有人島であったということによる。青ヶ島からすれば差別的な表現に感じて表現の見直しを求めてきた。その結果、報道で用いられるのは伊豆諸島が一般的になっている。
傾向として島の面積と人口は比例している。島での生活を考えれば、耕作面積の少ないほど生活はし難いのは容易に想像が付く。漁にしても港の整備が出来るか否かは、島の大きさに影響する部分がある。魚を取っても島で消費するには限度がある。外部からの客を呼ぶか、島外へ出荷するかの何れにしても輸送手段が重要である。一定規模 (島であることを考えれば大きな) 港と、空港もあったほうが好ましいことになる。
面積の大きな、大島、三宅島、八丈島が人口も多い。空港も備えている。空港の滑走路長について確認した結果を下に示す。

■ 伊豆諸島の空港
    空港名      滑走路長     幅
  八丈島空港      2,000m     45m
  大島空港        1,800m     45m
  三宅島空港      1,200m     30m
  新島空港         800m     25m
  神津島空港       800m     25m

滑走路の長さで離着陸可能な飛行機の種類が決定される。1,800mというのはジェット機が利用可能な長さで、1,200mは本格的なプロペラ機が利用可能になる水準である。幅についても大きな機体には幅も求められることになる。ここでも八丈島、大島、三宅島は本格的な空港と言えるが、新島、神津島はそこまででない。実際に、新島、神津島との定期便は調布飛行場からの便に留まっている。
視点を変えて、伊豆諸島の高校について確認する。各島に小学校、中学校は必ずある。これは義務教育だから当然である。私立高校はないので、都立高校の学校名と設立年、学生数(3学年計)をまとめた結果を下に示す。学生数の資料は、各高校のホームページから今年のデータを採用したが、一部不明の学校があったので他の資料から推定した。結果を下に示す。

■ 伊豆諸島の高校
   学校名         設立年    学生数 (2013年4月総数:+の後は定時制分)
  大島高校         1944     105+14
  大島海洋国際高校   1946     160 (推定)
  八丈高校         1948     188+3
  三宅高校         1948      36 (推定)
  新島高校         1949     120
  神津高校         1972      26

普通科と専門科を設置している学校もある。都市部に暮らしている感覚では、1学年30名程度必要だと考えてしまうが、三宅高校や神津高校は10名程度に留まる。進学塾の出している高校の偏差値ランキングでは、いずれの高校の低い値になっている。募集要項をいくつかの高校で確認したら、定員が受験者数より多いので基本的に希望すれば全入する状況のようである。高校の学力についていけない学生もあるだろうから、そこについては中学と高校で相談することになるのだろう。新島高校では連携型中高一貫教育を行っている。
高校のない利島は大島または新島に、御蔵島は三宅島に、青ヶ島は八丈島に進学することが多いのだろうが、気楽に通学する場所でも距離でもない。大学進学を考えるのなら、いっそのこと東京の高校( 伊豆諸島でないの意味) に進学することも検討の対象になるだろう。各高校の進路では、専門学校や大学への進学者がいる。なお、式根島は新島高校と連携している。

各島の距離について確認する。もっとも北に位置する大島は、定期便の出ている熱海から直線距離で46kmである。定期便はないが千葉県館山から55kmである。大島から三宅島までが73km、三宅島から八丈島までが106kmである。東京駅から大島までの距離が110kmであるから、東京と八丈島の中間地点が大島といった感じである。
比較例として、夏に高温になることで有名な熊谷と東京の距離が58km、東京と宇都宮の距離が110kmである。熱海と大島の距離が、東京と熊谷に近いとすれば、大島の気象予測について伊豆半島と一緒にするのに無理があるのは理解されよう。東京と八丈島の距離は285kmである。これは東京と、近年有名な場所になっている福島第一原子力発電所との距離の225km (猪瀬の距離計では250km) である。
伊豆諸島を一括りにして気象予想するのは乱暴だが、個別に島ごとに予想するのも現実的でない。なぜ警報を出さなかったかについては今後いろいろと議論されていくことだろうが、島の事情を考慮すると難しいことは沢山あるのだろうことは予想できる。本土の論理で結論を導くのは間違っていることは確かだと思う。
不便で、危険の高い島に暮らすことを否定するのは簡単である。文明は、便利と安全を求めて発展しているのだから、文明の高さこそが価値だとする考えに付けばそうなる。一方で、環境の悪い中での生活は受け入れ難いという価値観も排除できない。文明至上主義の物差しで判断することは、異文化の排除に他ならない。事情を理解しないで結論を求めることの危うさを感じる。

もう少し、状況が明らかになったところで改めて書くことにする。


行方不明者の早期の救出と、これ以上の被害の拡大のないことを切に祈る。

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