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2013年10月 2日 (水)

パナソニック:低価格デジカメ撤退検討

パナソニックは10月1日、国内向け低価格帯デジタルカメラを、自社生産から外部調達に切り替える検討を始めたと明らかにした。自前主義を捨てて、生産を大幅に縮小。今年度の販売目標も前年度実績から2割近く落として事業を再編し、早期の収益改善を図る。
同社の2012年度のデジカメ販売台数は617万台で、世界シェアは約7%を占める。ただ、売り上げでみると、ピークだった2007年度の2,434億円より約6割少ない1,022億円。販売台数の半分以上を、想定価格3万円以下の低価格品が占めるが、スマートフォンの台頭で競争が激しくなって利益率が低下し、赤字の原因になっていた。(朝日新聞:10月2日)


デジタルカメラの状況について考える。


デジタルカメラの市場について、カメラ映像機器工業会の発表資料から、各年における生産数量と生産売上についた結果を集計した。まず、デジタルカメラの出荷数の推移を下に示す。

■ デジタルカメラ生産台数推移 (単位:千台)
       デジタルカメラ計 レンズ一体型  交換式一眼レフ
  2000      10,820      10,820
  2001      15,956      15,956
  2002      23,775      23,775
  2003      43,393      42,572       821
  2004      59,405      56,857       2,548
  2005      63,576      59,718       3,858
  2006      77,633      72,403       5,229
  2007     100,982      93,434      7,547
  2008     116,167     106,322      9,845
  2009     103,041      93,270       9,771
  2010     121,767     108,793     12,974
  2011     114,625      98,883      15,742
  2012     100,374      79,285      21,089

レンズ一体型が所謂コンパクトタイプである。交換式一眼レフはレンズ交換型の一眼レフである。2009年が減っているのはリーマンショックの影響によると考えても、2010年以降減少傾向にあるのは需要減少方向に市場が動いているということと考えるよりない。よく言われるスマートフォンの普及による置き換えと言う説がある。スマートフォンの本格的な普及は2011年と思って良いから、時期としては合致している。それ以前のフィーチャーフォンでもカメラ機能はあった。国内の携帯電話 (スマートフォン含む以下同じ) に付属するカメラの画素数の推移を確認した。カメラは画素数の大きな方を採用している。各社が発表しているモデルを集計した。結果を下に示す。

C_1_5
必要な画素数は用途によって異なるが、例えばL版に印刷することを前提にすれば400万画素もあれば十分過ぎるだろう。200万画素でも耐えられるかもしれない。すると1,000万画素以上の画素数はトリミングする、実際的にはデジタル的なズームアップ機能を付加することを達成していることになる。
2010年以降コンパクト型のデジタルカメラは急速に販売台数を落としている。この部分は携帯電話に置き換えられた部分があると考えて良いようだ。ただし、カメラ専用機の方が光学ズームやストロボ機能、広角側のレンズ対応の範囲が広いなどの優位な部分は残る。画素数の増加は、受光素子のセルが小さくなくことと等しいから、暗い場面でのノイズの低減には不利となる。逆に言うと、そのような性能が求められる場面でなければ携帯電話で済むということでもある。レンズ性能の差による画質の差はそれ以外にもあるだろうが、全ての人が大きなカメラでないと満足しないということはない。つまり、2010年以降はコンパクトデジタルカメラの一部置き換えは果たせていると考えるは妥当であるようだ。

同じくカメラ映像機器工業会の資料から、カメラタイプ毎の平均単価の推移をまとめた。数字は製造ベースなので、工場出荷価格相当と考えて良い。結果を下に示す。

■ デジタルカメラ平均出荷単価推移 (単位:円)
       デジタルカメラ計 レンズ一体型   交換式一眼レフ
  2000     39,346      39,346
  2001     34,557      34,557
  2002     28,854      28,854
  2003     24,705      23,638      80,037
  2004     23,254      21,499      62,424
  2005     20,074      17,845      54,575
  2006     18,076      15,911      48,062
  2007     16,418      14,238      43,402
  2008     15,196      12,691      42,246
  2009     13,078      10,705      35,733
  2010     11,271       8,984      30,449
  2011     10,168       7,756      25,324
  2012     11,848       7,786      26,192

コンパクト型は2000年から4年で半額になり、更に4年でその半分になっている。2010年以降価格低下は収まり、2012年は値上がりしているが、従来の仕事の仕方では対応が出来ないだろう。レンズ交換型でも4年で半額の傾向は同じである。ただし、こちらはレンズが含まれていない分だけましだと言えるが、それほど簡単な商売でもないだろう。
2012年からミラーレスの一眼レフが普及し始めたが、2012年の年末には勢いがあったようだが、その後は前年割れになってしまっている。趣味性の高い製品は単純な論理で割り切れない部分があるのだろう。コンパクト型で満足しきれないユーザの受け皿という位置付けをメーカはミラーレスに求めたようだが、ユーザはその中途半端な性能に不満を持ってしまったのかもしれない。しかし、一眼レフに行くには抵抗があるというと市場の広がりは期待薄となる。一部の高性能コンパクトデジタルカメラが予想以上の売れ行きとなっているのは、このような要求の行き着くところがここしかないということだろう。予想以上というのは、予想が低いということでもあるのだが、カメラ会社の商品開発を見直さなければならない部分であるようだ。

パナソニックはライカの名称を使った販売を行っていたが、最近は使うのを控えているようだ。ライカのご利益が薄いのと、もろもろライセンス料が発生するだろうから、当然のことではある。ライカの名前を有り難がるユーザと、パナソニックという電機会社のカメラを購入するユーザが重なり難いのは容易に想像が付く。ライカや、太く重いレンズや、大柄なカメラということで見栄を張れる世界が既にアンティークになっているのだろう。
パナソニックの一眼レフカメラが採用するマイクロフォーサーズの仕様を採用しているのはオリンパスであるが、こちらも元気がない。電機会社が期待するほどカメラの市場規模は大きくなく、その一方でユーザ要求が高いという有り難くない要素が沢山ある。商売と言うのは難しいものである。


小さいもので撤退したら、大きいものでもいずれ撤退するものだ。

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