« 伊豆諸島の事情 | トップページ | NYタクシー「イエローキャブ」、日産独占に黄信号 »

2013年10月20日 (日)

賠償訴訟:相続税物納の土地除染費、国の賠償請求棄却

新横浜駅前の土地で土壌汚染が判明し、国が元所有者ら6人に除染費用約1億5,800万円の支払いを求めた訴訟の判決が10月18日、横浜地裁であり、遠藤真澄裁判長は、国側の請求を棄却した。汚染は区画整理事業による盛り土が原因とした上で、「横浜市長が旧国鉄の工事残土を廃棄させた」と認定した。
この土地(約730平方メートル)は1975年、新横浜駅前の区画整理事業に伴い、元所有者側が代替地として交付を受けた。1999年、元所有者は税務署に相続税の物納としてこの土地を申請。許可後の2007年に地下埋蔵物と土壌汚染が確認されたため、国が撤去や除去を行った。国側は、物納前に元所有者との間で定めた「確認書」に基づき、汚染原因者が特定できない場合は除染費用を元所有者が負担すべきと主張していた。判決では、当時の空中写真や、事業の工事費が計画よりも大幅に減額された経緯などから、「旧国鉄工事の残土捨て場としてこの土地が使われた」と認定。元所有者らの賠償責任を否定した。
関東財務局横浜財務事務所は「内容を確認し、関係機関と打ち合わせた上で対応を検討したい」としている。(神奈川新聞:10月19日)


相続税の物納について考える。


税金の納付は金銭で行うことが原則である。相続税については少し柔軟な対応がなされていて、延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として一定の相続財産による物納が認められている。国や行政機関は物品の売買や、投資活動で利益を出すことを目的にしていないから、物納された資産は速やかに現金化することになる。
近所で見かけるのは、関東財務局の競売物件である表示がされた看板のある土地である。関東財務局の扱う範囲に国民の三割が住んでいると仮定して、年間百万人が死亡してその二割が相続税を納めるとすると、相続税対象は六万人 (被相続人基準) となる。競売は年五回行われている。不動産関係で最新の結果が178案件とある。年間千件程度と思って良いようだ。六万件で千件ということであるから、あまり利用される機会はないようである。もちろん、上記の競売物件の全てが相続税によるものでないことを念の為に記す。
現金化することが目的であるから、お買い得という考え方は存在しない。物納申請財産となるは、納付すべき相続税の課税価格計算の基礎となった相続財産であることが条件であり、日本国内にあることを求められる。優先順位が付けられているが、現金化し易い順になっているという理解で良いようだ。第一順位は、国債、地方債、不動産、船舶となっている。第二順位は、社債、株式、証券投資信託又は貸付信託の受益証券で、第三順位は動産となっている。美術品も特定登録美術品であれば上記順位とは関係なく扱えるとされているが、特殊なものと考えて良さそうだ。
不動産に関していうと、境界問題や所有権の争いがあると駄目だし、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある目的に使用されていたり、暴力団が関係しているものも駄目とのことである。他にも貸地権や抵当権や建物は耐用年数内であるとかいろいろ書いてある。それ相応の制限があることが分かる。
要するに現金化し易い案件だけ受け入れるということになるのだが、現金化が容易であるなら物納ではなく売却して金銭で納付すれば良かろうと考える。相続人が1人の場合にはそうだろう。しかし、圧倒的に多いであろう不動産の売却の場合 (仮に土地とする) で考えると、複数の人間が相続して共同名義にすると手続きの度に全ての人の書類を求められるし、仮に一人が相続して代償財産で対応するとなると、土地の売却までに時間を要すると土地を形式的に相続した人は抵当権を活かして借入も可能だが、代償財産では借入できないから、これなら物納で済ませたいというのは理解できる。
関東財務局の看板が立っているのが広い土地である印象があるのはこの辺りの事情だろう。面倒臭い手続きを要求する一方で、審査もいろいろうるさいとなれば利用者は拠無く制度利用している。物納には税金の延納手続がセットになる (不許可であった場合に滞納になるから事前に遅れる手続きをする) 。延納の金利は4%を超えているから銀行の変動金利型の金利が 2.475%だから正式な手続きの割に金利が高い。滞納だとなお高いのだから、良心的だと徴税側は思っているのだろうが、納税が国民の義務になっているのだから仕方ない。それに加えて、瑕疵担保責任を問われては敵わない。

今回の対象物件は、新横浜駅周辺の土地から土壌汚染が見つかり除染費用が生じたので賠償したということだ。土地は730平米という。公示価格をみると平米25万円から100万円というところである。100万円は駅に近い商業地域だが、駅に近い区画整理事業と考えると80万円くらいと考えると評価額は6億円というところだろうか。この土地の除染費用に1億5,800万円請求されてはたまらない。ただし、物納申請した際に土地の汚染が判明し、原因が特定できない場合は、元所有者が負担することで税務署と合意したというから微妙な問題にはなっている。判決では、旧国鉄が進めた横浜新貨物線線路の増設工事に伴う残土を無償で利用できることを機に、市が対象地区の宅地部分に盛り土をした蓋然性が認められるとしている。
この手の話は他にもありそうで、一方で税務署相手に裁判するには躊躇するに十分な要素だ。ということは泣き寝入りも沢山あったのだろうか。そういう意味では意味があるかもしれないが、徴税当局の対応としては、いわく付き物件の物納は認めないで金銭納入にすれば済むだけだ。

相続税は二重課税だと感じている。大きな財産の相続には禁止税に近い印象がある。資産を子供ところか、自分の老後の生活にも困るくらい浪費して、年を取ってからは生活保護を受けるという生き方が奨励される筈もない。老人が保有する財産は既に高い相続税を払って手にしたものか、所得税を適切に払って残したものだろう。葬式代くらいの金額を基礎控除に設定し、残りに一律課税にすれば良いと思っている。亡くなった人が数千万円残しても非課税で、国の無策が招いた土地の高騰で数億円になった人には半分税金を取るというのが平等だとは思わない。国の無策は国民共通の不利益で受け入れるにしても、無策のついでに少数に負担を強いる理屈はない。富の再分配の方法に相続税を利用するのは筋が悪い。


暴力団員が納付する場合はどうするかと心配したが、金銭での納付しかできないと断られればそれまでのことだ。

« 伊豆諸島の事情 | トップページ | NYタクシー「イエローキャブ」、日産独占に黄信号 »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 伊豆諸島の事情 | トップページ | NYタクシー「イエローキャブ」、日産独占に黄信号 »

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ