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2013年10月31日 (木)

コニカミノルタ:HDD用ガラス基板事業撤退の決定

HDD用ガラス基板事業においては、ガラス溶融・製造及び研磨など光学製品で培った独自技術を活用して、主としてノートPCなどに搭載される磁気記録駆動装置用の2.5インチガラス基板の製造及び販売を行ってまいりました。
近年、HDD用ガラス基板における技術トレンドとして、基板一枚当たりの記録容量が継続的に増加する傾向にあります。その中で、当社にとって市場からの要求水準に対応して従前の優位性を確保することが厳しい状況となり、その結果、足元の出荷数量が減少するとともに当該事業の収益状況は悪化しております。加えて、タブレット型端末等の台頭によりノートPC市場は縮小傾向にあり、またSSD(記録媒体としてフラッシュメモリを用いる記憶装置)など新しい技術の登場による需要の浸食もあり、今後の需要動向に関して持続的な成長拡大を見通すことは、困難な状況になっております。
このような状況に鑑み、当該事業の業績を早期に改善することは難しいものと判断し、平成25年12月を目途にHDD用ガラス基板事業から撤退することといたしました。(コニカミノルタ発表:10月31日)


それほど大きな記事の扱いではないようだが、HDD用ガラス基板について考える。


HDDには3.5"で主に用いられているアルミ基板と、2.5"で主に用いられているガラス基板とがある。アルミ基板の方が歴史が古くガラス基板が用いられるようになったのは1990年の東芝のMK1122FCが最初の量産モデルである。2.5"の一部モデルでアルミを使用しているものがあるが、3.5"でガラスを使用しているものは現在はない。1.89"以下のサイズについてはガラスが用いられるが、現在は1.89"が生産されているが、1"以下のサイズは生産を終了している。1.89"も遠くなく生産を終えると思われる。
HDD用ガラス基板の市場は、HOYAが圧倒的にシェアが高く、コニカミノルタが撤退すると九割以上となる。この他には旭硝子のみである。コニカミノルタは2006年頃に最もシェアが高かったと思われる。二割前後のシェアであったと言われている。2.5"HDDが、ノートPCの不振により低迷している。この影響を受けたものと思われる。タブレットPCとの競合については以前書いたと記憶するので省略する。

コニカミノルタのガラス基板の製造販売は、1997年7月に設立した山村硝子との共同出資によるMYGにさかのぼる。MYGは山村硝子が翌年に撤退してミノルタの子会社になっている。その後、2001年に三井金属プレシジョンの事業を引き継いで本格的な量産を行った。その後、マレーシアでの製造を開始するなど拡大を計ってきた。
コニカミノルタのメイン顧客は、一貫して昭和電工である。途中、WDへの基板販売を試みたものの量産には至っていない。MYGを設立したときは、ガラス素材を自社で生産する計画であったが、光学ガラス会社のオハラからの納入が多かったようである。山村硝子を含めた新しいガラス素材が採用されず、三井金属プレシジョンが行っていたオハラの製造するガラス素材を加工することで生産実績を積んだことになる。
2011年頃の取引関係のイメージを下に示す。

■ コニカミノルタのHDD用ガラス基板の取引関係

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コニカミノルタは少ない割合の内製ガラス素材と、オハラからの購入素材を加工して、昭和電工に納入する。昭和電工は主に東芝に納入するが、他の会社(WD、Seagate)にも納入する。昭和電工はコニカミノルタ、シチズンセイミツ以外にHOYAからもガラス基板を購入する。
コニカミノルタのガラス素材は、東芝のHDD以外では認定されていなかったので、昭和電工は東芝以外の会社にメディアを販売しようと考えるとHOYAの基板を買うことになる。つまり、常にHOYAとの競争に曝されることになる。

コニカミノルタは大きな会社で、当該事業の業績を詳らかにしていないので、ガラス素材を納入しているオハラのHDD用ガラス基板素材の売上推移を確認した。オハラは10月末〆の会計年度を採用している。結果を下に示す。

■ オハラのHDD基板素材の売上推移と生産能力
   年    売上(億円)   生産能力(万枚/月)
  2004    1,740        -
  2005    2,434        -
  2006    3,580        800
  2007    4,018       1,100
  2008    5,606       1,400
  2009    2,870       1,400
  2010    5,346       1,800
  2011    2,135
  2012    1,327

オハラの売上は変動が大きい。ガラス素材の販売先は、コニカミノルタの他に、シチズンセイミツがある。シチズンセイミツは中国で生産していて、2005年11月から生産を開始し、2012年3月に生産を終了している。製品はすべて昭和電工に納入している。シチズンセイミツは当初 1"以下の小径サイズを意識して生産を開始したが、生産開始した時期には1"の数量は減少していて、結果として1.89"と2.5"の生産を行った。生産能力は100~200万枚/月と言われていた。
オハラは受注増加を見込んで2010年に投資を行っている。2011年10月に発生したタイでの洪水被害は、HDD産業に深刻な影響を及ぼしたが、その直前まではHDDは好調であった。その2011年10月期の決算でもガラス素材の売り上げが減少している。コニカミノルタの注文が少なかった結果であるが、昭和電工の業績は良好であったことを考えれば、コニカミノルタから、競合会社であるHOYAへ注文が移ったと思われる。
コニカミノルタの今後の予定としては、2013年11月生産終了、2013年12月販売終了と発表している。2014年3月期第2四半期決算において、当該事業撤退の決定に伴い発生する損失168億円を事業撤退損として特別損失に計上したという。

事業が多角化しているコニカミノルタより、光学ガラス会社のオハラに大きな影響が出る懸念がある。オハラの状況を中心にした分析は改めて行うこととする。


まとまりに欠ける情報の羅列になってしまった。

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