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2013年9月 3日 (火)

マイクロソフト、ノキアの携帯事業買収

米マイクロソフト(MS)は9月2日、携帯電話機大手のノキア(フィンランド)から、主力の携帯電話事業を総額54億4千万ユーロ(約7140億円)で買収すると発表した。MSは独自開発したスマートフォン(スマホ)用OS(基本ソフト)「ウィンドウズフォン」の普及に力を入れている。ノキアからの事業買収でスマホ分野に注力し同分野で優位に立つグーグルやアップルを追撃する。
MSとノキアの発表によると、MSは現金37億9,000万ユーロでノキアの全社売上高の約50%を占める携帯電話機事業を買収するほか、ノキアに特許使用料として16億5千万ユーロを支払う。ノキアが11月19日に開く株主総会で承認を得るなどしたうえで、2014年1~3月期の手続き完了を目指す。(日本経済新聞:9月3日)

携帯電話・スマートフォンの事業が話題になることが多い気がする。Nokiaについて考える。

Nokiaはフィンランドの電気通信メーカである。日本では携帯電話で知られる。また、携帯電話の通信設備の会社としても知られ、スウェーデンのエリクソンに次ぐ世界2位であるという。フィンランドとスウェーデンとノルウェーにデンマークも加えて、区別がつかないという失礼千万な者が書くことに躊躇もあるが、企業の在り様を確認するのに失礼もないということで先に進める。
今回の携帯電話関連事業の買収案件は、NokiaのDevices & Services部門を対象として行われる。そこで、当該部門のセグメント売上の推移を確認した。このセグメントは Mobile Phoes  (携帯電話) とそれ以外のSmart Devicesに分けられて発表されていたので、発表のない2008年を除いて、参考の為に加えた。下に結果を示す。

■ Nokia セグメント売上推移 [ 単位:百万ユーロ ]
         Devices&Services Smart Devices Mobile Phones
  2004 CQ1    4,994       914       4,080
      CQ2    4,964       914      4,050
      CQ3    5,626      1,106      4,520
      CQ4    7,438      1,567      5,871
  2005 CQ1    5,967      1,440      4,527
      CQ2    6,439      1,575      4,864
      CQ3    6,853      1,650      5,203
      CQ4    8,394      2,177      6,217
  2006 CQ1    7,813      1,944      5,869
      CQ2    8,049      2,174      5,875
      CQ3    8,298      2,349      5,949
      CQ4    9,517      2,441      7,076
  2007 CQ1    8,163      2,578      5,583
      CQ2    9,163      3,229      5,931
      CQ3    9,237      3,106      6,131
      CQ4    11,134      3,696      7,438
  2008 CQ1    9,263
      CQ2    9,090
      CQ3    8,605
      CQ4    8,179
  2009 CQ1    6,173      2,644      3,529
      CQ2    6,586      3,072      3,514
      CQ3    6,915      3,125      3,790
      CQ4    8,179      3,885      4,294
  2010 CQ1    6,663      3,338      3,325
      CQ2    6,799      3,503      3,190
      CQ3    7,173      3,612      3,364
      CQ4    8,499      4,396      3,948
  2011 CQ1    7,087      3,528      3,407
      CQ2    5,467      2,368      2,551
      CQ3    5,392      2,206      2,903
      CQ4    5,997      2,718      3,069
  2012 CQ1    4,246      1,704      2,311
      CQ2    4,023      1,541      2,291
      CQ3    3,563       976      2,366
      CQ4    3,854      1,225      2,468
  2013 CQ1    2,888      1,164      1,590
      CQ2    2,724      1,164      1,405

Devices & Servicesの売上が最も高かったのは2007年CQ4である。季節要因としてCQ4は高くなる傾向があるが、それ以降売上は減少に転じてしまった。2008年は減少し続け、2009年になって持ち直したものの移行、減少傾向は止まらない。日本での販売について確認すると、2008年にはオンラインショップを閉め、2009年には一般向け携帯電話の販売から撤退し、2009年11月には日本のR&D部門を閉鎖し、2011年には日本の携帯電話市場から完全撤退するに至る。
栄華を極めたかに見えた企業が、一敗地に塗れるというのは数多の例がある。スマートフォンへの対応の失敗と評論家は括るのであろうが、Nokiaのスマートフォンは2002年に最初のモデルを出していて、むしろスマートフォン市場をリードする地位にあったと考えられる。実際、上の表でMobike Phoneの売上は2007年CQ4まで成長していると考えて良い。しかし、公表されていない2008年をとばして2009年になるとMobile Phoneの売上は半減してしまう。この時期の出来事として2007年のiPhoneの発売がある。Nokiaは富裕層向けの商品イメージであったから、要するに高価格品であるので、iPhoneと直接的に競合することになった。
新興市場では、Nokiaのイメージは古臭いものになってしまっていたから、古いもので高いというのはこのような市場では嫌われる。機能満載で安い携帯電話をアジアメーカが市場に投入されてしまえば、ブランドイメージという言葉は翻訳されないまま国の外に置き忘れているから売るのは難しい。競争力を失ってしまうことが、これほど短期間で発生するのに驚く。

調査会社は、NokiaがWindows Phoneを出すことで急激なシェアの拡大が起きるだろうと予想していた。2012年1月のことである。それによれば2013年には15%程度のシェアになると予想されていた。NokiaとMSのブランドイメージは調査会社では高かったものの、実際の市場の評価はそうでなかったということのようである。

今回の買収額が54億ユーロであるとのことだが、Nokiaの当該部門の2012年の売上は156億ユーロある。売上総利益も33億ユーロ出ている。しかし、Nokiaに対する格付け会社の評価は低いから、事業内容はこの数字ほど良くはないのだろう。株価は2007年11月に28ユーロあったものが、今回の発表前は3ユーロを下回っていた。他の要因はあるにしても1/10の株価下落では経営者は対処しなければならない。参考の為に記すと、発表後の株価は4.2ユーロに上がっている。買収額に不満があるより、早く切ってしまいたい事業になっていたということのようである。
長くなったので携帯電話OSについては次回に書くことにする。


8月31日の午前8時55分頃に10,000アクセスに到達した。ここに引っ越して約半年で到達した。何に価値があるのか判断に困るが、読んで貰える人がいることに感謝する次第である。

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