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2013年9月12日 (木)

中華料理店経営者を射殺、死刑囚の死刑執行

法務省は9月12日、2004年に横浜市の中華料理店経営者が射殺されて現金を奪われた事件などで死刑が確定した熊谷徳久死刑囚(73)の刑を同日午前、東京拘置所で執行したと発表した。
死刑執行は今年4月26日に2人が執行されて以来で、昨年12月の政権交代で自民党の谷垣法相が就任してから3度目。この日の執行で、死刑確定者は132人となった。記者会見した谷垣法相は、「身勝手な理由で人命を奪った残忍な事件。再審や執行停止の理由がないか、慎重に検討した上で執行を命じた」と述べた。
判決によると、熊谷死刑囚は2004年5月、横浜中華街で料理店を営む男性(当時77歳)を射殺して現金約43万円を奪ったほか、翌6月に東京メトロ渋谷駅で売上金を狙って男性駅員を銃撃、重傷を負わせるなどした。(読売新聞:9月12日)


死刑制度については過去にも書いてきたが、少々得意な履歴を持つ死刑囚について考える。


死刑制度をどうするかを法務大臣が判断するのは許されないということは過去に書いた。法律で定められたことを、行政の特定部門の責任者に過ぎない大臣が破るという行為はあってはならないことである。国際人権規約を批准することに関する話は、国会で議論すべき事案であり、行政府に圧力を掛ける筋合いのないものである。一方で、国費で犯罪者を生かしておく必要はないという意見も乱暴で、それなら税金を払わない者を国外に排除しそうである。死刑制度の廃止論者も、執行推進論者にも付きたくないと感じる。
死刑囚の事情について確認する。

今回死刑が執行されたのは、熊谷徳久である。73歳ということなので1940年か1939年の生まれとなるが、資料によると1938年に鹿児島県枕崎市に私生児として出生とある。当時の届けがいい加減だった話はいろいろなところで聞く。だから生年に間違いがあるのもそうかもしれないと思える。第二次大戦中の空襲で家出して浮浪児 (懐かしい言葉だ。差別用語だろうか) になって、窃盗で、養護施設、感化院、少年院を転々とする。養護施設は、この頃の言葉なら孤児院かもしれない。1948年から養護施設というようだ。保護者のいない児童を養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設と定義されていた。感化院は1997年の法律改正で児童自立支援施設となった。少年院は、家庭裁判所から保護処分として送致された者を収容するための施設である。これは現在でも同じである。
戦争が終わった年に、1940年生まれだとすると5歳である。ここから数年の間、つまり現在なら小学校に入る前後の年齢である。小学校低学年を児童施設に入れたが非行は収まらなかったということらしい。1959年には刑務所に服役したとあるが、年数は1938年生まれの資料だから成人以降ということだろう。幾度も服役しているという。1969年に出所し、更生を決意し中華街に拠点を移す。スロットマシンの設置で儲けて1973年に結婚し、スナックを経営する。1978年に強盗傷人で服役(懲役5年)し、1982年服役中に離婚する。1985年に出所し、中華饅頭の街頭販売が大ヒットする。1986年結婚し、娘が誕生する。1995年に離婚する。1994年に強盗傷害事件により服役する。2004年出所し、次々に犯行を重ねて、6月ついに中華街店主を銃撃殺人、次いで3日後、渋谷駅で地下鉄駅員銃撃殺人未遂を行う。そして、6月26日警視庁に出頭する。

第一審は無期懲役となった。主な理由は、殺人で死亡したのが一人で、過去に殺人事件を犯していないこと、そして最大の理由が警察に出頭したことが自首と認められたことである。自首を満たす為には、捜査機関が犯人が誰であるかを全く発覚していない状態で出頭しなければならない。これを満たせば刑罰は半分になるというのが考え方のようだ。有期懲役なら半分になると思えば良い。無期刑なら有期刑に、死刑の場合は無期刑になる。他の事情があればもっと軽くなることもあるようだ。
1983年の永山基準に従えば、殺人の前科はないものの、多くの犯罪によって幾度も服役していることを考慮しれば死刑もあるところだろうが、自首しているとなると無期懲役に傾くかもしれないなと想像させる。結果として第二審は、殺人の残虐性、朝の渋谷駅での発砲という社会を混乱させた行為、渋谷駅で被害を受けた駅員が、「全治まで約3カ月間を要する胃損傷等のほか、脊椎損傷等の重篤な傷害を負い、右足の完全麻痺等による両下肢機能障害の後遺障害に一生苦しむこととなった」(判決文より) ことを考えれば死刑やむなしと判断されたようだ。

この死刑囚は二十代は犯罪を繰り返していたようだ。30前に結婚して十年近くは事業をしていたが、38から45歳まで懲役刑で服役することになる。懲役5年の罪で6年以上服役しているのは、服役中の態度に問題があったことを想像させるが、多くの前科があることや、身元引受人が居ないことが仮出所とならなかった理由であるかもしれない。この死刑判が出る前に10回の懲役判決を受けている。
犯歴を重ねた人生は、人間のクズと呼ぶのに相応しい。しかし、幼少期に恵まれない環境であったのも事実である。もちろん、恵まれない環境であっても犯罪に手を染めない多くの人がいる。
殺人をした犯人は死刑にすれば良いという意見をよく見かける。まあ、分からないではない話である。しかし、熊谷徳久死刑囚 (元を付けるべきなのか) は、この事件以前に殺人事件には関係していない。このような素行の悪い前科者も予防的に死刑にすれば良いと拡張したとしよう。傷害事件で有期刑を受けた暴力団の構成員はどうだろう。これも再び犯罪に関わる可能性が高い。するとこれも社会から排除した方が良さそうだ。日本の暴力団組織に所属する者、または所属していた者は10万人近くいるようである。前科がなくても暴力団に所属し、指が欠けていたり、背中や腕に絵が入っていたりすれば、一般の企業への就職は難しい。定職がないということは犯罪をする可能性が高いことを意味する。また、暴力団の構成員には、同和地区の出身者や在日外国人が多いと言われる。つまり、出発の論理は、人を出自で区別することを勧めることを意味する。
この思考停止型の意見に与す訳にはいかない。現象を単純に考えるのは優秀な頭脳の持ち主であるが、ものを単純な論理に押し込めるのは野蛮な人間である。

一方で、死刑廃止論者の先進各国では、という説明も受け入れ難い。外国の事情は後で考えるとして、最初にこの国のあり方を決定するのが重要だろう。この国独自の制度が外国で問題になり、非常に不利益が生じる事態があったとしても、それとこれとは別の話である。国としての思想良心の自由は外国から押し付けられる理由はない。どこかの国に、国教をキリスト教にしなさいと言われたら従うのだろうか。まあ、そんなことはないのだろうが、国民の議論より前を走るものなどないのである。
その意味でいえば、先に最高裁判決のあった非嫡出子の遺産相続分が1/2とすることを違憲とする判決もおかしいと感じる。外国ではそれが標準であっても、この国では異なる判断もある筈である。法的な手続きを取らない (取れない) 存在は、法的な保護を受ける権利に制限が加わるという考えは合って良いだろうと思う。その意味で裁判官14人全員一致の判断というのは違和感がある。少なくとも正妻の立場は相対的に軽くなってしまった。外に子供を作らせる妻が悪いというなら、非嫡出子の扱いより差別的である。法的に誰もかれも満足するような規定は思い付かないのだが、非嫡出子を嫡出子と同等に扱うのも差別と言えなくはないだろう。こんなことをグル―バルスタンダードに解を求めたくはない。裁判官も思考停止している。


めんどくさいことを考えないことは危険な行為だ。

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