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2013年9月 2日 (月)

キユーピー、全農と合弁で業務用カット野菜生産

キユーピーと全国農業協同組合連合会(全農)は27日、業務用のカット野菜の製造・販売を手がける共同出資会社を12月に設立すると発表した。神奈川県に20億円を投じて新工場を建設し、2014年10月に稼働する。主に首都圏の飲食店向けに出荷する。女性の社会進出や単身世帯の増加などで外食や中食需要が高まっていることに対応する。(日本経済新聞:8月27日)


カット野菜市場について考える。

昨年度に実施された「カット野菜需要構造実態調査」(農畜産機構)によると、カット野菜関係の推定市場規模は下記の通りであるという。

     カット野菜原料   約 600億円
     カット野菜製造   約1,330億円
     カット野菜販売   約1,900億円

カット野菜販売の市場規模はインスタントコーヒーの市場規模と同程度の大きさに成長しているという。インスタントコーヒー市場の価値が分からないから比喩にならないのであるが。
全農は野菜生産者の側にあるから、野菜の消費拡大を目指すように行動する。キユーピーはマヨネーズ、ドレッシングに大きく依存し、国内売上比率が九割を超える企業である。以前書いたので、興味があれば『キユーピー:イスラム国ではシンボルマーク変更 (5月18日)』を確認願いたい。
野菜を売りたい団体と、生野菜 (茹でても良いが) に加える調味料を商売にしている会社とは見ている方向が同じである。カット野菜の市場は、調理加工を行っている業務用途と、小分け売りするコンビニエンスストア経由の個人用途が期待される大きな市場であろう。
コンビニエンスストア (スーパーも含めて考えて良いだろう) は、近年、家族の少人数化に対応する商品開発を重視している。例えば、定年を迎えた夫婦二人の家庭では、キャベツやレタスをまるごとひとつ買うともてあます。子供のいない若い夫婦二人であっても似た状況があるだろう。昔のように、専業主婦が家にいる状況が標準でなくなれば、調理負担を少しでも小さくしたいと思うのは当然である。このような家庭に対する適切な提案をすれば、新たな市場が期待出来るというのは事業計画案としては妥当な話であろう。
コンビニで惣菜を買ったまま家庭の食卓に出すことに対する抵抗感について、調べたアンケートがあったと思って調べたが見付からなかった。使い切らずに捨ててしまうことへの罪悪感というのも付いてまわる話であり、総合的に見て合理性 (心理的な抵抗に対する言い訳) が見出せば市場は広がる。
年寄り二人を相手にして、小分けした惣菜や、調理の手間が掛らない商品の開発に、食品会社は余念がないようだが、少々あざとさも感じている。食品に関する基本的な優先度は、

  1. 毒でない。
  2. 美味しい。
  3. 栄養がある。
  4. 適切な価格である。

であると考える。毒でないことが優先されるのは当然として、2から4の順番は食べ物によって変わることがあるだろう。嗜好品であれば栄養の優先度は下がるし、子供に食事として食べさせるものなら逆に栄養が上がるだろう。適切な価格というのは悩ましいもので、材料を購入する場合と、調理したものを買う場合、外食する場合と類似したものを食べるにしても価格差は大きい。別の議論に流れていきそうなのでここまでにする。
流れのなかでついでに書くと、トクホと呼ばれる食品の売り方を好まない。摂取するは物は、食品か薬に分けられる。薬ではない食品にトクホというカテゴリーを設けた訳だが、効能書きをすることで消費者に過剰な期待をもたらすのではないかと感じる。食品は人間が活動するのに必要なものである。人間に必要な栄養であっても、過剰に摂取すれば病気になる。水でも塩でも高カロリーの食品でも、それ自体に害がある訳ではない。これをバランス良く摂取する以外に適切な食事はない。これを食べれば健康になると厚生労働省がお墨付きを付ける行為は、役所が誇大広告の片棒を担ぐことだと考える。各社が独自の手法で健康効果を謳うのは、消費者の混乱を招くと役所は言うのだろうが、消費者はいつでも混乱する者であるのだから、混乱が事故につながらない限りは規制しないのが原則であろう。手間を掛けたトクホ商品は被害を起こす心配は少ないだろうが、サプリメントと称する商品群は健康被害を引き起こす可能性が高いだろう。例えば、マルチビタミンのように広く利用されているものを考える。本人の健康状態と食事と活動を確認して専門的な知識のある人が利用方法を検討した場合を別にして、素人がこれを飲んでおけば健康になれるというのは害になる可能性が高いだろう。ビタミンは必要以上の摂取があれば排泄されるから大丈夫というのは、古の伝説に過ぎないだろう。過剰な摂取は臓器に負担を掛けると考えなければならない。食品から摂取するより、高濃度で大量に一時期に取り込むことにあまりに楽天的に考えていると感じる。これは薬に対する姿勢にも同様の傾向を感じるから、日本人の薬に関する素朴な信頼はなかなかのものである。一方、過剰摂取で害が出ない可能性もある。ビタミンが身体に取り込み難い場合である。これなら過剰摂取の害は出ないだろうが、本来の効能も発揮されないということになる。プラシーボ効果というのはどんな場合にもあるだろうから、上手に騙されるというのも健康である為の重要な資質であるかもしれない。

完全に本題から外れたので戻す。カット野菜について、水洗いを沢山することと、消毒薬として次亜塩素酸ナトリウムを用いることで、野菜が本来持つ栄養素が流れ出るという話があるようだ。結論から言うと、どちらも心配するほどではないようだ。キユーピーは細かな検証を行ったデータを公表したりしていて、事業に関係すると熱心になると感じた次第である。栄養に関しては、カットしてからの時間が大切で、長時間になれば多くの栄養は失われる。生野菜は水分と共に栄養が流れ出るパターンになるだろうから、カットして断面積が増えて、長時間放置というのはワーストケースになるだろう。食物繊維については流出しないし、野菜を食べた気分にはなるからまったく価値が無いとは言わないが、そんな状態では美味くないだろう。

もう少し本題に戻って、工場の建設費は20億円という。洗浄とカットと梱包の仕事をする工場なので設備は比較的少ないのかもしれない。しかし、全農とキユーピーがカット野菜をするのだから相応の規模なのだろう。キユーピーのホームページより新工場の概要を下に示す。

■ 株式会社グリーンメッセージ 大和工場予定概要
  面積 :     敷地面積 約3,500坪、延床面積 約1,500坪
  生産能力 :  年間約8,000トン(製品ベース)
  販売計画 :  2015年18億円、2022年35億円
  操業開始 :  2014年10月を予定
  生産品目 :  主に業務用向けの野菜加工品

やはり面積は 70M角 相当であるから大規模な工場ではないようだ。生産能力が製品ベースで年間8,000トンで、売上が18億円だと、製品のkg 当たりの価格は225円になる。キャベツの東京青果市場の取引価格が135円/kgレベル、キュウリが360円/kgレベルだから、公表している売上額は稼働率をもう少し低い設定なのだろう。季節的にキュウリは少し高く、キャベツはこの位だろうと思う。野菜の値段が分からなければ100円/kg と思って良い。栽培に時間を要するものは高いが、細かな話をするより目安がある方が大切だろう。
それほど大きくない工場で参入出来ることからすれば、新規の会社があってもおかしくない。安定した野菜の調達と、販売ルートの確保には長い実績が必要になるだろうから、全農とキユーピーの組み合わせは理に適った話なのだと思う。しかし、それでも成功することに少々疑問を感じてしまう。また扱うことになったときに考えることにする。


先送りしてしまうのを悪いとするより、本日感じたことに価値を求めることにしよう。

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