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2013年9月 4日 (水)

ノキア:携帯電話OS

昨日に続いて携帯電話について考える。

携帯電話はすっかりスマートフォン中心に移ってしまった感がある。そこで、スマートフォンOSに注目した出荷台数の推移を下に示す。調査会社の公表資料に依った。

■ 2012年通年のOS別世界スマートフォン出荷数(単位:百万台)
   OS名      2012     2011    2010    2009    2008
  Android      497     244     67      7      1
  iOS         136      93      47      25      11
  BlackBerry     33      51      47      34      23
  Symbian      24      82     112      81     73
  Windows Phone  18      9      12      15     16
  その他       15      16       11     10      15
  合計        722     495     297     172     139

AndroidはGoogleのスマートフォン用OSである。もとはAndroid社であったが2005年に買収している。Googleは、2012年5月にMotorola Mobilityを買収しているが、Androidは無償で誰にでも提供されるオープンソースとしていろいろな会社に採用されている。
iOSはAppleのOSである。iOSを使いたければiPhoneを使うことになる。iOSはオーディオプレーヤーや、タブレットPCにも使われているが、これらの商品は機能としては近いものなので、同じ商品群ともいえる。携帯電話と音楽プレーヤとPCが同じ枠に入るというのが、情報のデジタル化の進行だと言える。
BlackBerryは、カナダのResearch In MotionのOSである。社名はBlackBerryに変更されることが決定されている。法人向けを主に事業展開してきたが、個人向けに広げようとする動きをしている。2013年2月に日本市場に新製品の投入予定がないことを発表し、事実上撤退することになっている。
SymbianはNokiaのOSである。従来型の携帯電話(フィーチャーフォン)でもスマートフォンでも使われていた。Symbianはもともと英国のソフトウェアメーカであったが2009年にNokiaに買収されている。買収前のSymbianの出資者の割合は、Nokia(47.9%)、エリクソン(15.6%)、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(13.1%)、 パナソニック モバイルコミュニケーションズ(10.5%)、サムスン電子(4.5%)、シーメンス(8.4%)だった。Eclipse Public License (概ねフリーソフトウェアライセンスと考えて良いようだ) で公開されていたが、AndroidOSに市場を奪われたようだ。NokiaがSymbianからWindowsへの変更を発表しているので、スマートフォンでの新製品は2013年が最後になる。
Windows PhoneはMicrosoftが開発したモバイルOSである。Nokiaが採用を決定したことで普及の拡大が期待されたが、思うようにはならずに、MicrosoftのNokia事業の買収ということになった。

スマートフォンは法人向け、つまり、ビジネス用途で外出先からのメールアクセスや資料確認を行うことを想定して開発した様子が窺える。市場規模も限定されると考えたのではないだろうか。BlackBerryの対応には、移ろい易い個人客とは違って比較的確実な発注が期待されるという思いが想像される。Nokiaの富裕層を狙った商品開発の流れも同じような雰囲気を感じさせる。
一方Appleは会社の製品・サービスから察するに、個人向けしか考えていない販売方針であったと思われる。Appleが完成されたフィーチャーフォン市場で、NokiaやMotorolaといった高いブランドイメージの会社と争っても勝ち目はない。携帯電話よりPCに近いツールと考えられるスマートフォンならむしろブランド力があると考えたのだろう。Appleは法人向けに強い会社ではないから、個人ユーザにカッコ良いと思わせることこそが価値である。新しいブランドイメージをつくってもAndroidに抜かれてしまったのは価格が高いからだろう。
スマートフォンはCPUの処理速度、ディスプレイ、メモリ容量、電池容量とすべてがフィーチャーフォンより大きくなる。大きなことはコストアップにつながる。OSが無料でアプリケーションが市場で開発される方式は総合的に安く出来ることが期待できる。その流れに乗らない方法でどこまで行けるか、というより、どれだけ差別化できるかが課題だろう。

Nokiaの迷走については事情を理解できないでいる。安定した市場を守ろうと思ったところに、市場そのものをシフトするスマートフォンの動きが劇的でついていけなかったのだと想像する。少なくともNokiaの初期のスマートフォンは、ビジネスマンが会社との連絡に使うのに便利な道具のように見える。一方、iPhoneは仕事で使うには不便かもしれないが、個人が楽しめそうな雰囲気に満ちている。機能という尺度ではなく、楽しめそうという尺度になると法人向け製品を追っかけている会社には難しいテーマであろう。そうすると、Windows Phone についても楽観的な見通しというのはなかなかないのだろう。MicrosoftはPCが売れない時代になれば、商売の種を他に見つけなければならない。一方、Nokiaはこれまで商売の種であったものが、いつしかなくなってしまっていた会社で、やればいいことは分かってはいるがどうして良いかは分からないでいる。この組み合わせを負け組の合同とする見方があるが、その通りなのだろう。大きな実績のある企業の合同であれば、使い易い普通の道具の提供が王道なのだが、世の中が使い易さより、カッコ良さに価値を見出しているところにこの市場の難しさがあるようだ。


Symbianのスマートフォンで仕事に使うなら良さそうなものもあった。きっと高かったのだろう。

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