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2013年8月22日 (木)

秋田書店:不正訴えた女性社員を解雇

秋田書店が漫画雑誌の読者プレゼントで景品数を水増し掲載していた問題で、社内で不正をやめるよう訴えた景品担当の女性社員(28)が「プレゼントを窃取した」などとして懲戒解雇されていたことが8月20日分かった。女性側は「罪をなすりつけられた」と主張。「組織的不正」として景品表示法違反(有利誤認)で秋田書店に措置命令を出した消費者庁の調査で主張が裏付けられた形となり、解雇撤回を求めて提訴する考えだ。(毎日新聞:8月21日)


内部告発した社員が嫌な思いをするのは予想通りであるのだが、なんだか怪しい話になってきた。


消費者庁の発表に対し、秋田書店は異議を申し立ててはいないようだから、プレゼントの不正があった事実は動かないと考えて良い。この問題が公になるのに関わった、つまり内部告発した女性社員が解雇されている。この二つの事実は動かないと考えて良さそうだ。
女性の解雇理由は、秋田書店の主張によると、この元女性社員が賞品をほしいままに不法に窃取したことによるものだとしている。この理由で懲戒解雇されている。元女性社員は不当解雇であるとしている。女性社員に元と付けているのは、秋田書店の表記に従った。
解雇に関する情報は、この女性と、女性が加盟する労働組合の首都圏青年ユニオンの公表している情報によっている。報道によって情報量に違いはあるが、独自取材はないと考えて良さそうである。つまり、分散する情報をつまんでまとめても大きな問題は生じそうにない。事実関係をおさらいしてみる。

   女性は2007年に大学を卒業して同社に入社
   ミステリーボニータ編集部に配属され、プチプリンセスの編集にも携わる。
   プレゼント欄を担当するよう指示され、先輩から業務を引き継ぐ。
   2011年9月から休職
   2012年2月に解雇通知書を受けとる。

休職した理由は、不正があった漫画雑誌で4年以上懸賞を担当していて、上司に是正を訴えたが、続けるように指示された。その後、睡眠障害などを発症したことによると女性とユニオンは主張している。睡眠障害のほうについては、秋田書店が私病によるとしているから、争う要素はないようだ。睡眠障害を発生した原因について、女性側はプレゼント不正を強制されたことにあるとし、秋田書店は無関係であると主張している。

水掛け論になってしまうので、消費者庁の発表内容と照らし合わせることにする。発表されている不正のあった雑誌と、期間は下記のように発表されている。

   ミステリーボニータ      2011年2月号から2012年5月号
   プリンセス          2010年6月号から2012年5月号
   プリンセスGOLD      2010年8月号から2012年4月号

関係している雑誌は下記の通りである。

   月刊プリンセス     女性向け月刊漫画雑誌(1974年12月創刊)
   プリンセスGOLD     女性向け月刊漫画雑誌(1979年4月創刊)
   ミステリーボニータ  少女漫画雑誌(1988年5月創刊)
   プチプリンセス     隔月刊女性漫画雑誌(2002年3月創刊)

上記雑誌の発行部数を日本雑誌協会のホームページで調べたら、雑誌は登録されているものの発行部数に関する情報はなかった。非公開としているようである。最も古いプリンセスが25万部(2001年) という数字があるが、近年の雑誌環境を考えればこれより少ないことが想像される。
女性は、ミステリーボニータ編集部に配属されて、プチプリンセスの編集にも携わるとあるが、並行しているのか異動したのかは公表されていない。編集部でプレゼント関係のことを担当していたことからすれば、複数の雑誌のプレゼント関係の仕事を行っていたのかもしれない。2011年9月に休職するまで4年以上懸賞を担当していたとあるから、この期間懸賞の仕事を継続して担当していたということである。そして、休職後も別の担当者が不正を行っていたことが明らかになっている。

秋田書店は最初に記事にした毎日新聞に秋田書店のコメントとして、「解雇と不正は別問題だと考えるため、コメントは差し控える」とあったのに対し、秋田書店への取材も一切おこなわれず一方的に元社員の言い分を掲載したものであり、また、書かれている内容と弊社の認識とは大きな隔たりがあると発表したが、その後、取材を受けた事実はあると訂正している。
間抜けな話である。新聞で企業の問題を指摘する際に、当該企業のコメントを求めないまま記事を掲載すれば、もし間違いがあった場合に裁判で惨敗することになる。一方的な主張を掲載するのではなく、他方の意見も取材したと体裁を整えるのは必定である。もちろん、コメントしないと回答する場合もあるだろうが、コメントしないとあったと記事を書くのが大切なのである。取材を受けていないと言われれば、毎日新聞は抗議するだろうから、秋田書店はお詫びをホームページに載せる失態を公表することになった。

この女性が秋田書店の主張するように、プレゼントを窃取したのなら、この女性の上司も処分される筈である。女性が懲戒解雇であるなら、減俸程度の管理責任は直属上司とその上くらいにあったと思われる。そのくらい懲戒解雇は重い処分である。解雇しなければならない状態に至らしめない管理責任は問われるものである。女性の処分といっしょに、責任者の懲戒処分があった事実 (氏名は非公表にして) を発表すればよいのにと思う。今回の不正とは無関係な社内処分があったことを確定させ、消費者庁の指導は厳粛に受け止めるというのが企業の外向けの対応だろう。
女性の職場での仕事に対する不満があったのではないかという想像は成り立つ。出版社に就職して、編集の仕事が出来ると思ったら景品を買って写真を撮る仕事であった。それに、不正を強要されれば不満は大きくなる。不正を止めろと叫べば、うるさいやつだと疎んじられるだろうし、しつこく主張すれば担当を外され干されるかもしれない。不満が溜まってやることのない社員が行動することといえば、正義の御旗の下に内部告発をすることである。臭い物に蓋をして済ませてきた組織であれば、改革を行うよりうるさい社員を追放するのが選ばれる。以上は勝手な想像であって、今回の事件とは無関係である。しかし、そんな職場は、程度の大小は別にすればありそうである。

秋田書店は分が悪い中で、問題を複雑にしてしまっている。プレゼントについて不正があったことは読者に対する裏切り行為とみなされるから、こっちを先ず方付けなければならない。消費者庁の調査が入っていることだから、これについて争うつもりはないのだろう。これを済まさないで、内部告発者に問題があったことを公表しても、秋田書店の不正の事実は動かないのだから、この期に及んで不正を隠蔽しようと見られてしまう。これの方が痛い。弁護士もいるのだろうに、非常に筋が悪い対応である。こんなことをしていると、いくつかの雑誌を休刊することになりかねない。それで良いのだろうか。


秋田書店に社内労組はないということか。

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