« はだしのゲンの閲覧制限を撤回:松江市教委 | トップページ | 税金の徴収構成 »

2013年8月28日 (水)

消費増税で集中点検開始:政府

政府は8月26日、消費増税が日本経済に与える影響を幅広く検証するため、有識者らによる集中点検会合を首相官邸で始めた。31日までの6日間で計60人から意見を聴き、安倍晋三首相が消費増税を最終判断する際の材料とする。初日の会合では、2014年4月に消費税率を5%から8%に引き上げることについて、米倉弘昌経団連会長ら5人が「予定通り実施すべきだ」との意見を表明した。
残りの2人のうち、山根香織主婦連合会会長は「貧困や格差が必ず拡大する」と述べて、増税に断固反対の考えを表明した。岩田一政元日銀副総裁は増税自体には賛成しながらも、早期のデフレ脱却を目指すには、5年間にわたって毎年1%ずつ引き上げるべきだと主張した。 (時事通信:8月26日)


どんな意味があるのか分からない聞き取りを政府は行う。その思いについて考えてみる。


消費税の税率引き上げに対して、所属している団体によって賛成反対は容易に想像できる。つまり聞き取りをしなくても人選の段階で結果は見えている。それでも日本経済に与える影響を幅広く検証すると称して、有識者らによる集中点検会合を行う意味は、そのような聞き取り作業を行いましたとするアリバイを政府が作りたいという理由に過ぎない。聞き取りで否定的な意見が多数になるのも困るが、あまりに少数であると予定通りの結果を得る為の人選だったと批難されるから、消費税率引き上げに賛成が多数意見となる筈である。これが過半数で恐らく六割を超えない程度、条件付き賛成が二割未満、反対が二割強というような結果になるのではないかと予想する。これだと出来レースだと言われると心配するなら、賛成を過半数を下回るレベルに抑えて、反対を三割強にするという手もある。まあ、出来レースを創作している側には出来レースでないことを目指して、たゆまぬ努力を惜しまないものである。
政府のアリバイには興味が無いが、政府の国民の声を聞くとするポーズは間違っていると指摘しなければならない。同じ日に総務省が発表した住民基本台帳に基づく3月末時点の人口動態調査によると、日本人の総人口は1億2,639万3,679人と、4年連続で減少した。死亡数が出生数を上回る自然減が過去最大を更新したことが響いた。15~64歳の生産年齢人口は7,895万7,764人と、初めて8,000万人台を割り込み、全体の62.47%まで縮小した。人口の将来予測は、様々な予想の中で最も確からしさの高いものとして知られる。法律の変更をして移民を受け入れるようなことをすれば状況は大きく変わるが、これをしなければ人口は予想通り減っていくこととなる。特に重要なのは労働人口が減って、高齢者が増加することである。社会保障費の増大が高い確度で予想できる。
近年の税収と、主要税収項目について金額の推移をまとめた。結果を下に示す。

■ 主要税目の税収(一般会計分)の推移 [単位:兆円]
   年   税収   所得税  法人税 消費税 相続税 その他  歳出に占める税収割合(%)
  1986   41.9   16.8    13.1           1.4    10.6    78.1
  1987   46.8   17.4    15.8           1.8    11.8    81.1
  1988   50.8   18.0    18.0           1.8    13.0    82.7
  1989   54.9   21.4    19.0     3.3     2.0     9.2    83.4
  1990   60.1   26.0    18.4     4.6     1.9     9.2    86.8
  1991   59.8   26.7    16.6     5.0     2.6     8.9    84.8
  1992   54.4   23.2    13.7     5.2     2.7     9.6    77.2
  1993   54.1   23.7    12.1     5.6     2.9     9.8    72.1
  1994   51.0   20.4    12.4     5.6     2.7     9.9    69.3
  1995   51.9   19.5    13.7     5.8     2.7    10.2    68.4
  1996   52.1   19.0    14.5     6.1     2.4    10.1    66.0
  1997   53.9   19.2    13.5     9.3     2.4     9.5    68.7
  1998   49.4   17.0    11.4    10.1    1.9     9.0    58.6
  1999   47.2   15.4    10.8    10.4    1.9     8.7    53.1
  2000   50.7   18.8    11.7     9.8     1.8     8.6    56.8
  2001   47.9   17.8    10.3     9.8     1.7     8.3    56.5
  2002   43.8   14.8     9.5     9.8    1.5     8.2    52.4
  2003   43.3   13.9    10.1     9.7     1.4     8.2    52.5
  2004   45.6   14.7    11.4    10.0    1.4     8.1    53.7
  2005   49.1   15.6    13.3    10.6    1.6     8.0    57.4
  2006   49.1   14.1    14.9    10.5    1.5     8.1    60.2
  2007   51.0   16.1    14.7    10.3    1.5     8.4    62.3
  2008   44.3   15.0    10.0    10.0    1.5     7.8    52.3
  2009   38.7   12.9     6.4     9.8    1.3     8.3    38.4
  2010   41.5   13.0     9.0    10.0     1.3     8.2    43.5

バブル期には税収が歳出の八割を超えていたが最近は半分以下になっている。当然借金をしていて、毎年その額が増加するから、先送りして良いのかという議論は正しい。正しいのであるが、それなら今日の国債発行についても指摘しなければならないのは当然である。
金額の大きな話なので、ざっくりしたイメージを持っていないと理解は難しい。日本の国内総生産 (GDP) を 500兆円、税収が50兆円、歳出が100兆円と見積もって良いだろう。国債などの借金の残高は1,000兆円と思って良い。GDPの2倍である。先進国の中で非常に借金が多いと指摘されているが、国債が主として国内で販売されていて外国人(法人含む)が所有する割合が少ないことが他の国との大きな違いと言われる。そうはいっても、借金を放置して良いと言う話にはならない。個人でも、法人でも借りた金は返すものである。国だから許されるという理屈を許せば、税金の不払いを自己破産で逃れることに正当性を与えることになる。想像するだに凄まじい世界である。

消費税の税収は、税率1%で2兆円と言われる。税率5%なら10兆円、10%なら20兆円と推定できる。取りこぼしも少ないと言われるから、税金の筋は良さそうだが、革新系の政党 (なんとも懐かしい響きだ) に言わせると、所得の少ない側に相対的に負担が大きくなる所謂逆進性が問題視される。食料品や衣料費などの生活必需品の税率を下げるといった工夫を欧州の国では行っているようである。もっともな話に見えるが、誰もがともっとも思うことは間違っていることになっている。
所得が多い人が多く負担する累進性が正しいと考えられているのは、為政者が徴税するのに資金のない所からは取れないという事情が最大の理由である。これを正当化する論理として、累進性を持ち出しているだけだと考えたらどうだろうか。累進性が出てくる根拠は所得税によるところが大きい。逆に言えば、所得税を0にしてしまえば、累進性などといういかがわしい言葉は出てこない世の中が作り出せることになる。
消費税を50%にすれば税収はこれだけで100兆円になる。その他の税金は基本的になくす。法人税は消費税の徴収の都合もあるので減税するものの残すことにする。会社の従業員はこれでは所得が減ってしまうので、給与を1.5倍にすることを義務付ける。もう少し実務的な話として考えた方が面白そうなので、詳細は明日行うことにする。

消費税の税率の話に留まった議論をしても意味はない。将来の姿を示したうえで、近々の税率をどうするかでなければ発散してしまう。景気に水を差すとか、国債の暴落の懸念とか話題になるが、税率が上がれば一時的に景気は悪くなる。国債の暴落は起きるかもしれないし、起きないかもしれない。この国の状況からすれば暴落とまではいかないだろうと多くの人は想像するだろうが、思わぬことが起きるのが相場の世界である。上げれば景気が悪くなり、上げなければ国債が暴落するというのではどちらにも進めない。総論の議論を回避して、各論に入るからこうなる。
上で書いた外国人労働者の受け入れをすれば社会環境は変化するだろう。税制全体のあり方を変えれば、新たな生産性の向上があるかもしれない。何もしない一方で、税収が増加したら道路や橋や鉄道を作ろうとする輩が跋扈することこそが問題なのである。道路や鉄道がないと地方が発展しないという意見はもっともである。地方の産業構造について如何に考えるかを示して貰いたい。それには道路や鉄道よりもっと重要な要素があるかもしれない。古い頭で、固定的な価値観に従って、苔生した様な物差しで計れるものと計れないものがある。議論するのだから、主張せよ。主張より言い訳が先に来る者には決定に関われる資格がない。


お盆休み以降アクセスが減っていたが、今日あたりから少し増えた。半年で1万に届くだろうか。

« はだしのゲンの閲覧制限を撤回:松江市教委 | トップページ | 税金の徴収構成 »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« はだしのゲンの閲覧制限を撤回:松江市教委 | トップページ | 税金の徴収構成 »

2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
無料ブログはココログ