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2013年8月 9日 (金)

短大の将来の姿についての続き

いつまでも終わらない短大の話は今日こそまとめにする。


学問をすると言う行為は、最も実践力に乏しいが、最も普遍的な知識を得る行為であると考える。学校の科目が社会に出ても役に立たないと言う子供が居るが、役に立つということがみるみる古くなって役に立たない例は数多ある。役に立つことは社会に出て自ら体得すれば良い。役に立ったないように見える基礎的な事柄を社会に出てから学ぶというのは、本人にも気の毒だが、社会でそんな者に接しなければならない大人にとっては迷惑この上ない。必要単位数を調べていたときに湘北短期大学のページで建学の理念を見つけた。この短大はソニー学園という学校法人が経営している。創設時に、井深大が「私の期待する大学教育」として語ったものだという。以下に引用する。

『なんとかして有名大学を出ることが、もっと簡単に言えばよい大学へさえ入ってしまえば人生の大半が決まってしまう様な今日の世の中の機構に、私は大変疑問を感じる。ほんとうに世の中の役に立ちその存在に意味のある人は、こんな教育の考え方の中から決して生れてこないだろう。教育は決してだまっていて上から自動的に与えられるだけのものではない。自分で求め何処までも自分で追求して行くのが真の教育の姿ではないだろうか。こんな方向を目指し、どんどん実現して行ける学校がこれからの日本にはどうしても必要であるということから、湘北短期大学が生れることになったのである。実技を通じて智識のみでなく、世の中を活きていく、人を率いて行ける人柄を身につける教育を、私は大いに期待している。』

昔から正しいことを言う人はいたのである。この短大は珍しい複合短大である。四大も経営すれば良かろうとも思うが、そうもいかないのがソニーの今日の状況なのだろう。もともとソニー学園というのは、ソニーに通う若年女子社員に教育機会を与える目的で1964年にできたそうである。十年して世の中が変化して高校から短大に移ったのがこの短大である。この段でいけば1980年代に四大に発展しそうであるが、その頃にソニーはコロンビア映画を買収している時代、つまり物を作るより証券を売買する方が儲かると思っていた時代であった。別にソニーだけがそう思った訳ではなくバブルという時代であったのだが、教育を重視する考えなどあったにしても取締役会の議題には上がり難かったであろうことが予想される。そうであったにしても非難される筋合いではないが、創業者の言葉を軽く扱うようになれば、会社としての文化的な継続性など消飛ぶ。会社に Heritage がないから競争力に劣ると嘆く会社からすれば、十分すぎる歴史を有する会社は憧れの対象だろうが、持っている者には持っているなりの苦労が付き物である。

学ぶのは正しい。その正しい作業を支援するのが学校である。地方では通学するのに大変なところもあるだろう。都道府県に一つはある国立大学には入学できないが学ぶ意欲がある人には短大は大切な存在だろう。それを四大に変更しているようだが、それでいいのかは分からない。高校卒業して二年学んで会社に入って、再び学びたいと思ってどこかの四大に編入するというような大学運営をすれば良いだろうと思う。井深の言うところの、有名大学を卒業するのがその後のコースを決定するということは、即ち、18歳の子供の学力が全てを決定するのであるという"学説"であり、世の中の多くで支持されているようだ。しかし、それでも実際には例外も幾らもあろう。例外を増やす為に学ぶ場所を提供するのが大学の役割の一つになっているのではないだろうか。社会人の聴講を拡大する動きはあるものの、社会的に受け入れられるには至っていないようだ。大学には社会の責任にするのではなく、継続して自分の責任として行って貰いたいものである。
多くの大学で社会人の聴講を受け入れたり、社会人の入学に配慮する学部・学科を設けたりしている。大変結構なことであるが、実際問題として難しいのだろう、あまり多くの人が学んでいる様子はない。日本の学歴が二十歳前後の学習記録以上の履歴保証に留まっている証である。転職に際して人材紹介会社が学歴として評価するのは高校の後に連続した大学、大学院への進学であって、社会人になってからの学歴は見ないという。理由はこの手の学歴をストレートに進んだ学歴と同等に評価して良いか不安があるようだ。社会人になってから学歴を加える方が簡単だと考えられていると思って良さそうである。本音は知らないが、評価しないという文章は見掛けた。
実は大学というところは、最も保守的で自分たちの既得権を犯されないよう気を使っているのだろう。いつでも同じことを繰り返していれば、不要な混乱を招くことはない。新しい提案は危険な提案でもある。社会人に教育機会を与えることで経営の安定化を計りたいという意見があったとして、この方針に反対する理由はないから実施するものの、本当の意味で賛成して推進しようとしていないように見えてしまう。そう見えるのが情熱はあっても能力が不足しているからというなら、適切なアドバイスを外部から受けることで改善するかもしれない。しかし、情熱など持ち合わしていないというのなら、表向きだけ整えるのは無駄だから止めた方が良いと御推奨しておく。例の如く、大きなお世話である。

高校卒業と連続する学歴が重視される世の中において、中途退学(中退)がどのくらいあるかを確認した。文科省はこの統計をとっていないということなので、各大学の報告からいくつか拾ってみた。話の流れで短大である。三短大の結果を下に示す。

● 千葉明徳短期大学
          入学者数  留年者数 社会人学生数  中退者数  中退率
  平成21年度   117      0       -         12      10%
  平成22年度   136      1       5         15      11%
  平成23年度   140      3       7         11       8%
  平成24年度   104      -        5     

● 共立女子短大 (平成23年度実績)
    学科     中退者数 在籍者数  中退率
  生活科学科    11      306     4%
  文科         6      347     2%
  看護学科      3      316     1%

● 京都女子大学短期大学部
              中退者数
  2008年度        11
  2009年度        11
  2010年度        12
  2011年度        11
  2011年度卒業者数 402 (3%)

二年生の短大の場合で、中退が発生するのは一年目に集中する傾向があるようだ。中退率を算出する場合には、千葉明徳短大のように1年の入学者で割るのが適切である。共立女子短大の方は1/2に中退率を下げていることになる。京都女子短大は中退者数は公表されているものの学生数が不明だったので2011年の卒業者数で代用して仮に算出した。この大学は既に募集を停止している。
大学(四大・短大込み)での中退率は一割程度だろうと言われている。中退率を公表しているのは、公表することがプラスに働くとの判断さろうから、相場より良いと想像して良いだろう。看護関係の学科は中退率が低いようで、公表していない短大でも中退は低い様子が載っている。しかし、留年率は高くなるようである。看護師になる為に入学するという目標意識がはっきりしているから諦めないのだろう。なお、看護師の国家試験は必修試験で八割以上を獲得することが必須であるが、一般問題+状況設定問題については相対評価になっている。相対評価は馴染まないと考えるが、試験問題による影響を排除する為なのかもしれない。

短大に進学したことが不本意であったり、短大を出てもその先に希望が持てないということが中退者を生む要素だと想像する。もちろん学費の捻出が大変だったり、家庭の問題が発生した場合もあるだろう。後者の問題であったにせよ、将来に期待が持てるのなら休学や留年はあっても退学はしないで別の方法の検討もできるだろう。短大が生き残る為には、短大から四大 (有名所を想定) への編入が期待できることが最も有効だろう。資格を全面に出すより効果が有りそうだ。地方の経済系の短大を出て、一橋大に編入する (フィクションです) とうのは夢がある。一橋大を出ても夢が描ける時代でもないだろうが、四大に進めない者からすればそれだけで大きな夢というより、宝くじに当たったくらいのドリームだろう。
国際的に通用する人材の育成を目指すことを大切と考える大学があるなら、地方の一部で有効な人材を重視する大学があって良い。固定的なたった一つの物差しですべてを計る方法で片付ける保守的な考え方を支持する一方で、多様性を認めようとする考え方を採用しようとする。もう少し工夫があって良いように感じるここ数日であった。


人を教育するのは大変だ。大学も企業も政党も人材不足を嘆いている。

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