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2013年8月19日 (月)

川崎重工、航空機の燃費三割改善

川崎重工業は航空機エンジン世界大手の英ロールス・ロイスと新型エンジンを開発する。大型プロペラの採用などエンジンの構造を大きく見直し燃費性能を3割改善する。2019年の初飛行を目指す。燃費改善により航空機の航続距離を大きく延ばせる。主に近距離路線向けの小型機 (座席数150人程度) が日本と米国を結ぶ国際便に使えるようになる。航空会社には燃料費の抑制になり料金の引き下げにもつながりそうだ。(日本経済新聞:8月19日)

川崎重工のことは以前調べたが、英国のロールス・ロイスは内容をしらないから、今回は英国の会社について考えてみることにする。
川崎重工と関係のある事業を営んでいる会社は、Rolls-Royce plc という会社である。plcというのは public limited company の略で公開有限会社の意味である。英国の会社法は、公開会社(public company)と私会社(private company)の二つに分類される。私企業は株式を公開できないから、plc は日本でいうところの上場企業と考えて良さそうである。英国での企業については、法律によって corporation とか Inc. と称するのは許されない。有限責任の会社であればlimited または ltd.となる。(これはイングランドの例で、ウェールズだと異なるからややこしい)  無限責任の会社については名称の規制はないようだ。
Rolls-Royce Limited は1906年に設立した航空機用エンジンや乗用車の製造を行う会社である。1931年に高級自動車会社の Bentley を買収している。自社にとって目障りで世の中から無くしたいと願う会社を買収するというM&Aの基本に則った作業を戦前に行っている。1960年代になると、乗用車製造での技術革新の遅れ、新たに開発・発売した航空機用ジェットエンジンによる損失の拡大などのために経営が悪化し1971年に経営破綻し、イギリス政府によって国有化された。1973年に自動車部門がRolls-Royce Motors として民営化されたが、その他の部門は国営企業のまま保たれた。その後、1988年に残りの部門も民営化され現在の社名になっている。
ロールス・ロイス社(以下ロ社)の決算資料からセグメント毎の売上をまとめた。ロ社の会計年度は12月末までとなっている。下に推移を示す。

■ ロールス・ロイス社のセグメント売上 [単位:£ millions]
              2012     2011     2010      2009     2008     2007
Revenue        12,209    11,277    11,085    10,414    9,082    7,435
Civil Aerospace    6,437     5,572    4,919     4,481    4,437    3,718
Defence Aerospace  2,417     2,235    2,123     2,010    1,688    1,636
Marine          2,249     2,271     2,591    2,589    2,200    1,542
Energy           962     1,083    1,233     1,028     757     539

航空用エンジン製造部門は、GE・アビエーションに次いで世界2番目、防衛航空宇宙部門は世界で17番目である。民間航空機エンジン関連が全体売上の約半分を占めている。ついで防衛関係、船舶関係、発電関係と続いている。売上の単位は百万ポンドであるが、最近のレートで1ポンドは150円くらい、年初で125円くらいであった。百万ポンドは、1.2億円から1.5億円で換算すれば良い。1兆8,000億円の売上のある会社で、飛行機用エンジン関連が9,600億円である。川崎重工の全体売上が1兆3,000億円で、航空・宇宙関連の売上が2,400億円であるから、全体としては一回り以上小さく、航空機関連は1/4程度であると言える。
ついでにロ社のキャッシュフローの推移をまとめた。これだけで何か言えることもないのだが、大きな会社であることを確認したということに留める。結果は下の通りである。

■ ロールス・ロイス社の Cash Flow [単位:£ millions]
                        2012    2011    2010   2009    2008   2007
operating activities           1,255   1,306   1,378    859   1,015    705
investing activities            424   -2,207   -759    -606    -648   -572
financing activities            -331    -655   -743     384    -221   -473
Cash and cash equivalents(12/31)  2,585   1,291   2,851   2,958   2,462   1,872

川崎重工が関係するのは、ロ社の主力エンジンであるトレントシリーズの派生モデルである。川崎重工は既に参加しているプログラムに続いて、新しいモデルにおいても開発・生産にリスク&レベニューシェアリングパートナー(RRSP)方式で参画することで同意していると7月に発表している。今回の燃費改善の新エンジン開発は、2019年の初飛行を目指すとしているから、7月発表の内容の一部であるだろうと思われる。特にニュース性を感じない記事を大きく報道しているのは、川崎重工と三井造船との一件のイメージ回復のように見えてしまう。それにしては少々弱いかなと感じるのは、結構多くの人であるのではないだろうか。


川重を扱うならガスタービン関連の方が注目度が高いと思うが、そんな記事は無かったか。

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