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2013年8月16日 (金)

野球:投手の投げるボールのキレとは

高校野球の中継をテレビで観ていたらキレのあるボールという表現があった。難解な野球用語について考える。


ボールが投手の手を離れた後は、ボールに対して仕事をするのは空気抵抗のみである。複雑な用語を現象の解説に持ちているが、投げたときに決定される要素を文学的な表現をしているに過ぎない。こう書いてしまうと身も蓋も無くなってしまうから、細かく分けて考えてみる。
変化する要素を少なくする為に、ボールの仕様は一定であるものとする。温度、湿度、風向き、風量といった気象条件に関わる要素も一定とする。温度や湿度は一定で、風はないことで考える。
投手が投げるボールに与えられるに物理量は、
   ・ ボールの初速
   ・ ボールの投げ出される方向
   ・ ボールの回転数
   ・ ボールの回転方向
   ・ 投げ出される位置
というところだろう。ボールは二枚の皮を縫い合わせたものであるから真球形状ではない。すると、投手の指先から離れたときのボールの位置 (回転方向のどこの位置であるか) も意味を持つが単純に考えることをしようとしているのに、パラメータを増やすのは筋が悪いから無視して良いだろうと考えることにする。
ボールの速さの単位に、144km/h の様に時速表記をしているが、現象を説明するのに相応しくないので、40m/sec と秒速で表すことにする。km/h で表した数字を 3.6 で割れば m/secに置き換わる。初速を 40m/sec として、ベースを過るところでの速さは空気抵抗によって減速 (マウンドの高さが10インチ=254mm あり、投手の投げる位置からすると重力がする仕事もあるが無視する) する。3m/sec 遅くなるとして、終速は37m/sec である。
投手が投げるマウンドに設けられたプレートのホーム側の端から、ホームベースのキャッチャー側の先端までの距離が18m44cmに規定されている。ホームベースの△部分の長さは8.5インチ(21.6cm) なので、ホームベースの中心付近でバットと接触するとする。投手はプレートから1m40cmホームベース側に踏み込んで、プレートより1m前でボールを離すとする。ボールの離される高さは、マウンドの高さを加えて1m60cmとする。(上手投げを想定)
プロ野球の投手の投げるボールの平均回転数は 37rps (毎秒37回転) と言われている。回転数を瞬間的に測定するのは難しいので、投げてから捕手が捕るまでの回転回数をそれに要した時間で割って算出したと思われるから、この回転数は平均回転数と考えて良いだろう。ボールの回転も空気抵抗の影響を受けるから、回転数は減少する方向に動くだろうと予想される。これらの条件をまとめると以下の様になる。

   投手がボールを離す場所からホームベース中心までの距離   17.2 m
   投手のボールの投げ出される高さ                    1.6 m
   投手の投げたボールの速さ                        38.5 m/sec (最大  40m/sec)
   投手の投げるボールの回転数                      37 rps
   ホームベース中心に到達するまでの時間               0.447 sec

 
人間の最小反応時間が 0.1sec 程度と言われる。水泳や陸上競技のスタート反応時間として、フライング判定の目安になっている。msec単位 (1/1000秒) で書くと、447msec でボールは届くが、バッターのスイングの時間があるのと反応時間の 100 msec を考慮すれば投手の手を離れて半分程度打者側に届いたときには、どのように打つかを決定し、その後の情報で修正を掛けるという行動を打者は行っていると推定される。つまり、打者は最初の 200msec でボールの軌跡を予想して打つ打たないの決定をし、その後の 150msec で修正をして、最後の 100msec は成り行きで打つという行為をしている。
初速 44m/sec (時速162km) の速球が投げられた場合には、上記の例と同じく 3m/sec 減速して平均 42.5m/sec だとすると、同じ条件での到達までに要する時間は 405msec となる。減った約40msec を投手から放たれた最初の部分の時間で修正するよりないから、少ない情報で見込みを立てることで打てない可能性が高まる。ただし、速いボールを投げる場合にはボールの軌跡が描き易いことが予想される。よって、予想情報が限られてもそれなりの対応で打てる可能性もある。

ボールの回転を故意に与えることで変化球を投げることが可能となる。ボールの回転によって生じる空気抵抗の変化でボールの軌跡が異なることになる。投手から投げられたボールの軌跡を打者は予測して打つという行為を行っている。そのことからすると、打者が予測した軌跡と異なる場合は打ち難いということになる。打ち難いことを総称してキレが良いというのではないかと想像する。
投手が投げたときのボールには、初速と回転数と回転の向きがある。ボールの投じられる方向という要素もあるが、投げる距離が短く、ストライクゾーンも狭く、速さの範囲も狭いとなると変化の度合いは小さい。ボールの回転の向きは地面から垂直に立てた線に対する傾きで定義して良いだろう。回転数と回転の角度は高速カメラが使える状態であれば測定は以前ほど難しくない。データを一年間収集すれば、来年からはそのライブラリーである程度予測できるし、三年もすれば投手の好不調の判断も出来るだろう。
野球というのはビールを飲みながら能書きを垂れるタイプの見物が似合うようで、科学的な分析より、情緒的な解説が好まれる傾向があるようだ。最近はあまり使われなくなったようだが、ボールの重い軽いという表現がある。打者が打ったボールが予想より飛ぶ場合を軽い、逆を重い球種と称している。これも回転数によるものだと思われるが定義が曖昧で理解が難しかった。高校野球のテレビ中継を観ていて、厳密な定義を求めるのがおかしいのかもしれない。ビール片手にテレビに向かって精神論を大声で言うようなタイプが似合う世界のようである。その隣には体罰もありそうだが、勝手な想像をしてはいけない。


ボールの回転方向が投げた後に変わるという解説をウェブで見た。野球は難しい。

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