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2013年8月12日 (月)

PCとスマートフォン

米国のPCメーカのDELLの業績が芳しくない。いろいろな状況が背景にあるようだが、世の中の環境も含めて考えてみる。

DELLは、在庫を持たない注文生産 (BTO = Build To Order) で顧客に直販することで業績を伸ばしてきた会社である。近年の事業成功を実現したとして、事例紹介される代表的な企業である。最近は業績不振に悩んでいて、今年になってMBO(Management BuyOut = 経営陣が参加する買収) を行う発表したが、すったもんだしていて九月にずれ込むことが決まっている。
まずは、PCの販売をしている会社なので、PC市場の状況について確認する。PCの販売台数とスマートフォン、タブレットPCの販売台数の推移を四半期単位でまとめたものを示す。データは主にIDCが発表しているものを採用したが、都合により別のソースのものを採用した部分がある。タブレットPCは最近はリサーチ会社による差は小さいようであるが、2011年以前の発表では定義に差があるようで数字に開きがあった。タブレットPCの2013年CQ2については発表された数字がないのでブランクとした。出荷数の単位は百万台である。

■ 世界市場でのPC、スマートフォン、タブレットPCの出荷台数推移 [ 単位:百万台 ]
            PC   SmartPhone  TabletPC
  2009 CQ1   73     35
      CQ2   66     42
      CQ3   83     43
      CQ4   86     54
  2010 CQ1   85     56
      CQ2   82     64         4
      CQ3   90     81         5
      CQ4   93    101       10
  2011 CQ1   85    102        8
      CQ2   84    107       15
      CQ3   96    124       19
      CQ4   96    161       28
  2012 CQ1   89    153       20
      CQ2   85    156       25
      CQ3   88    181       28
      CQ4   90    219       53
  2013 CQ1   76    216       49
      CQ2   76    238       --

PCの売り上げ不振が言われるようになったのは2013年からである。2011年11月のタイ洪水の影響でHDD調達に影響が出てPCが出荷できない (この時期PCは好調であった) と心配されたが、調達面では深刻な状況には至らずに済んだものの、購入価格の上昇が生じたのは事実である。新しいOSである Windows8 が2012年8月にリリースされることから、これが出るまで待ちであるという報道が多かったが、リリースされても市場の活性には至らなかった。2013年からのPC販売不振により、PCからスマートフォンやタブレットPCに移ったことでPCの時代が終わりを迎えたような報道がされているのが現在の状況である。
PC関連について確認すると、デスクトップPCとノートPCの割合は2010年以降、ノートPCが優勢な状況が継続している。ディスプレイが液晶になって久しいから、デスクトップPCは省スペース型が増えている。ノートPCに関する出来事を確認する。2007-CQ4において販売が開始されたネットブックPCは、大きな成功を収めることなく忘れられてしまい、2011年にインテルが提唱したウルトラブックも販売不振のまま今日に至っている。ネットブックPCは性能を抑えて安くした持ち運びの小型PCであったが、性能不足は用途を限定することとなり2012年に新規販売を終了している。これに対しウルトラブックは性能を犠牲にすることのない仕様となっていたが高価格になって芳しい販売実績はあげられていない。技術的な見直しは行われているがPCへの注目度が低下する中でのアピールは難しい作業となるだろう。
スマートフォンの出荷数の推移をみると、2009-CQ1 ではPCの半分以下であったものが、2010-CQ4にPCを抜いて、2013-CQ2 ではPCの3倍に急成長した。タブレットPCも実質的な生産開始が2010年であるのに2012-CQ4 ではPCの1/2を超える台数が出荷されている。数字の上から見れば、PCの機能の一部を他のデバイスが置き換えたと言えそうである。他のに該当するのが、スマートフォンなのかタブレットPCなのかは意見の分かれるところだろう。出荷数の推移から判断するなら、スマートフォンの広がりはPCに直接的な影響を与えていないが、タブレットPCは効いているようである。2012-CQ1 の20M/QレベルであればPCとの競合は限定的であるものの、それを超えるとPCの販売数に影響すると見て良さそうである。最近はタブレットPCは50M/Qレベルで推移しているから、PCは30M/Q減ると思わなければならないようだ。
リサーチ会社がスマートフォンやタブレットPCに置き換わるとする意見を出しているのを信じない理由は単純なものである。彼らはネットブックPCの販売増加や、ウルトラブックの成功を当然のことのように発表していた。実際の結果は上に書いた通りである。

PCの出荷台数は四半期で 100Mpcsに届くのではないかと思われたが、その後減少傾向に向かってしまった。2011年のタイ洪水被害によるHDD不足がなければ 2012-CQ4 で100M/Qに届いた可能性があった。この時のレベルにPCが復帰するのは難しいように思える。PCが可能とする複雑な仕事は多くの人が関係しないようになり、少しだけ複雑な仕事はタブレットPCやスマートフォンに移り、それを実現する為に大量のデータを処理するサーバが請け負って、高速なネットワーク接続によって達成される。これなら従来型のPCの出番は少なくなる。大量のデータを処理するサーバの需要は拡大するだろうが、こちらの方は爆発的とはいかずに緩やかに増加しているようである。コンピュータ関連の仕事でも、景気の良い所と悪い所だあるようである。
DELLの話に行き着かなかったので、明日に送ることとする。


景気のいい話と、倒れそうな話しか報道されない。これでは状況を理解するのに手間取る。

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