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2013年8月30日 (金)

シリア:アサド政権、報復準備

シリアでは、化学兵器の使用の有無を調べている国連の調査団が31日に出国するのを前に、緊張が高まっている。米軍による爆撃に備え、兵器や司令部機能の移転を進め、電力や医薬品などの緊急対応も指示。政権軍による報復の準備も進めている模様だ。(朝日新聞:8月30日)

シリアについて考える。

まずは、シリアと隣国の面積、人口と宗教の割合をまとめた。

■ シリアと隣国の面積、人口と宗派分布
   国    面積[km2] 人口[万人] イスラム教 シーア派 アラウィー派 スンナ派 ドルーズ派  キリスト教 ユダヤ教
  シリア   185,000  2,082      90%             12%     74%               10%  
  レバノン   10,452   426      65%     29%             29%      6%        35%  
  ヨルダン   89,000   632      93%                    90%                7%  
  イラク    437,400  3,296      95%     65%             35%                4%  
  トルコ    780,576  7,563      99%             20%     79%                 1%  
  イスラエル 22,000   798      17%                             2%        2%      75%

出所は外務省ホームページに依った。宗派については資料がない部分については他の資料に依った。レバノンについては適当な調査 (宗教的対立による内戦が発生するなど政治的理由により公式資料がない) がなかったことから、中東世論調査(レバノン2012 年)単純集計報告書の数字から算出した。調査には地域差を無くすように注意が払われているが、国全体に展開して良いのかとなると人口分布の問題が関係してくる。一定の配慮は成されていると信じてそのまま集計したが、都市部が過小評価される可能性はあると考える。シーア派がイスラム教の半数を超えるという説があるが、上記の調査結果は少し小さくなっている。レバノンの内戦を扱うつもりはないので先に進む。
シリア周辺国において、宗教に注目すると、イスラエルでユダヤ教が多く、レバノンでキリスト教が多いことを除けば、イスラム教の多い地域である。しかし、ドルーズ派をイスラム教と考えるかどうかは微妙な話であるそうだ。アラウィー派についてはシーア派の分派という説もあるようだが、不明な点が多いという。イラクはシーア派が多いというのが、その他のイスラム教の国と異なる。多くは、スンナ派が多数を占めている。イスラム教の85%はスンナ派と言われるから妥当な話ではある。
シリアに注目すると、宗教派の分布にトルコに類似した分布が見られるので、ここと手を組めばよいと極東の島国に暮らしていると考えてします。しかし、トルコはNATOの一員であり、シリアは歴史的にロシアと友好関係にある。また、国境紛争もある。シリアはアラブ地域でエジプトに次ぐ軍事大国である。兵器は当然、ロシアから買うことになる。イスラエルは隣接するどの国とも仲良くしようとしていないようだし、相手の国も同様に思っているようだ。イスラエルと米国が仲が良いということは、敵の味方はやはり敵なので、米国と組むことに抵抗はあるだろう。パレスチナ問題に関係して、イスラム教の国はイスラエルと国交がない国が多いし、敵の味方の論理によると想像させる北朝鮮、キューバも国交がない。
言語は、トルコとイスラエルを別にすればアラビア語圏と言って良いようである。

シリアは第一次対戦後にフランス委任統治領になっているので、フランスとの関係もあるだろうと思われる。実際、フランス語が通じる地域も多くあるようである。それでも、フランスはシリアを守ろうとはしていないようだ。化学兵器使用の疑いのある国を擁護するのはないだろうが、ロシアは拒否権を使う姿勢にあるよう。ロシアは顧客重視が大切だと考えているのだろうか。内戦に外国が介入するのは、明日は我が身と思って反対している可能性が、ロシアにも中国にもある。
アサド大統領が少数のアラウィー派であり、微妙なバランスの中で生き抜いてきたのだろう。大統領夫人がスンナ派であることを表に出すのも意味の無い話ではないはずだ。

米国がシリアを攻撃して、アサド政権が倒れたにしても、国内の混乱は簡単には収まりそうになり。西側の攻撃慎重派 (当然、米国にもある) は、アルカイダが跋扈して西側を攻撃する事態を憂慮するところであろう。キリスト教の米国軍がシリアのイスラム教市民を攻撃したという図式になってしまえば、アルカイダの米国攻撃に正当性を与えることになる。他国を攻撃するのに正当性などなくて、自国の利益に対する思惑があるだけで、攻撃によって平和が守られるなどというセリフが正しかったことなどない。外国にかきまわされるより、自国の将来は自国が決めるということになることを期待する。どのような道を辿ってもアサドには退陣以外にないのだろう。そこへの足掻きが続いているようだ。化学兵器を使わなくてもとは思うが、戦う者に非人道的兵器と言ってもあれば使う。国際法違反の状態に以前からあったのに何も出来ないというのが、国連の現実であると考えると、戦争のない世界というのはずっと先のことだとがっかりする。


2008年にレバノンとシリアは国交正常化している。市民はレバノンに向かうよりない。

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